MUSIC

flexible journey Yossy Little Noise Weaver

 
   

Interview & Photo by Shizuo Ishii

2014年10月にRiddimOnlineに掲載された記事です。

Yossyたちが我が家からクルマで10分の場所、SENKIYA(千木屋)という植木屋さんがやっているスペースでライブをやるというので家族3人予約しておいた。初めて出かけたSENKIYAは、民家を改造したスペースにレザークラフト、雑貨屋、ギャラリーなどを併設したカフェだった。 icchieとYossyはDeterminations時代からの知り合いだからかれこれ15年になるのかな? 最近Yossy Little Noise Weaverで精力的に全国をツアーしている。文字通りアットホームなライヴ終了後の慌ただしい中、ちょっとゴメンナサイです。

●お疲れさま! 楽器を片付けないといけないからソッコウで話を聞くね。今日はあったかいお客さんだったね。icchieはブッシュ・オブ・ゴースツをやったり、スカバンドとかを色々やっていたよね。で、今日演ったのはYossyのバンドですね。

icchie(以下、I):そうですね、Yossyのイメージの。

Yossy(以下、Y):こっちは、プロジェクトですね。

●このアルバムっていつ出たんだっけ?

Y:えっと、そう最新の3枚目が『VOLCANO』で4年位前かな、地震の前の年だったから、2010年に出たのが一番最近です。

●Yossy Little Noise Weaverを最初にやろうという動機は?

Y:それはファーストを出す時がちょうどDeterminations解散の前後で、なんか男の人の中ばっかりでやってて、いかつい事ばっかりしていたのでちょっと自分のドリミーな世界、ファンタジックな世界をめっちゃ出したくなって曲を作り始めて、2006年頃かな。今はそんな気持ちは無いけどその頃は反動っていうか、それがいっぱい溜まってきてたから、絶対にこの人達(Determinations)とは出来ないサウンドにしたいっていう反動みたいなので最初にやり始めたんですけど。

●歌、上手いよね、雰囲気とか英語とかも、失礼な言い方なんだけど。

Y:いや、そんなことないです。最近よく歌っているからましになったけど。ファースト・アルバムはEGO-WRAPPIN’のよっちゃんに歌ってもらって作って、自分で歌い始めたのはわりと最近なんですけど、セカンドぐらいから1、2曲歌い始めてサード・アルバムはもう全部自分で歌って、自分の作りたいものを作りたいっていう。

●でもどうして英語でやっているの。

Y:あ~、なんか子供の時から英語の歌を好きで歌っていて、今後の課題としては日本語の歌を作って歌いたいんですけど、なんか日本語の歌詞だと凄く深い事が分るからなかなか作れなくて。

I:最初はもっと音的に使っていたよね。

Y:そう、最初の頃は意味はどうでも良いから、勝手に曲の方が大事だからやっていたけど、ここへきて日本語の唄は歌わないの?ってことも聞かれるし、日本語をちゃんと歌っている人とかを見たらずっとそれに向き合ってやっているから、私も今後の課題かなとは思うんですけど、でも声色っていうか声には結構その人の生き方とか考えが載るかなっていう気持ちが凄くあるし、英語の歌とかはリズムにすると楽器の一部になりやすい。

●ジャズのスキャットとか。

Y:自分ではめっちゃ探さないと何が言いたいとかは特に無くて、だから自分のスタイルとしては声色とかで全体を判断してもらいたいし、自分がピンとかじゃなくて、それぞれのミュージシャンと自分の歌全部が楽器と絡んで作るみたいな、バックと自分が別じゃなくて、、、あまり日本語で自分の想いはこうですみたいなのを出せないというか、出したら別の扉が開くんでしょうけど、今のところはそういうポップなところです。

●そう言えばDeterminationsも英語でやってたね。

I:そうですね。日本語の唄をやりませんか?と言われましたけどなかなか出せなかったですね。

●icchieに、この前電話で聞いたんだっけ? 今年はちゃんと廻れる様に色々考えているからって。このスタイル(アコースティック)では今年は何回くらいやっているの。

I:今年は結構やっていますね、平均すると毎月4~5本ずつくらいはやってるかな。

●それはスゴいね。

Y:今日4人セットでしたが、2人だけでやったり、ドラムかサックス、トロンボーンを加えた3人とか、色んなセットでライヴをしていますね。

●月に4~5本やってるってことは、今は9月だからもう30本くらいはやってるんだ。

I:やっていますね。今迄こんな事は無かったんですけど。

Y:自分等でPAも積んできて。

●そういう動きをしようというきっかけっていうのは何なの。

I:やっぱり最初のきっかけは震災が一応一つの区切りで、それまで東京で割とサポート・メンバーをしていて、その時に考え直したくなったというか、あの時色々と凄く電気を使いにくくなったじゃないですか、レコーディングも全部キャンセルになって。電気を使う事自体も変な罪悪感みたいなのがちょっと出てきたりして、そんなんで色々考えて1回まあ西に戻ろうかっていう話になって最初大阪にいて、また仕事に戻ったりもしたんですけど、それはそれでしっくり来なくて。でまた京都に引っ越して、知り合いのユニットがマイペースで、ずっと昔から2人だけのアコースティックのセットでライヴを廻ってるんですよね。本当に各地へ行ってて。殆ど楽器だけ持って2人で廻ってるんですけど、そのユニットにたまに誘われて一緒にやったのが凄く良かったんですよ。殆ど生音で、俺もトロンボーンなのにむちゃくちゃ小さい音で吹くんですけど、でもそれが電気を一切使わずに40~50人のお客さんの前で、みんな息をのんで聴いているんです。なんかその気持ちよさというか、今までは僕の現場は本当に爆音で、サウンド・システムでガンガンやって、それが急にこれに出会った時に凄く面白かったんですよね。Yossyのバンドも最初はバンド編成でエレキギターとエレキベースにドラム・セットを入れてやってたんですけど、今のスタイルを1回やってから、これ面白いんじゃないかと。Yossyは声もそんなに強い方じゃないので、アコースティックのセットが合うかもなと話していて、それでちょこちょこやりだしたんだよね。

Y:うん、2人だけでやったりとか。

I:そう、最初は『VOLCANO』の後はバンドでやってたんです。震災があって、1回、殆どやらなくなってたけどエマーソン(北村)さんに誘ってもらって。

Y:そう、エマーソンさんが「最近どうしてるんですか」って。

I:僕らが1回止めたのを知ってて「何かやりませんか?」みたいになって、ちょうどその時エマーソンさんとTUCKERが京都と大阪でスプリット7inchのレコ発ライヴをするから2人で何かできませんかって誘われて。

Y:2人で出来る事を探して、リズムも何も無くてベースも無いけど、2人だけで成立することをちょっとやってみようという風にしたら凄く面白いんです。自分がちゃんとしてないと出来ないから。

I:丸裸の状態でね。

Y:だから凄く面白いし、ダイレクトに伝わるからお客さんからも返りが大きいというか、喜んでいるのが伝わってくるから。

●そうか、アコースティックの強さっていうのがあるんだよね。

I:それがいい感じで凄くすっきりきて。

Y:PAとか気にせずに歌とマイクだけで、ピアノだったらピアノ生音でみたいな。だから凄く楽しくなってきて。

I:で、これは廻ろうかっていう気持ちになったんですよね。先に言ったユニットの2人が言ってたのが、リヴァーヴとか色んなものをかけてやるんじゃなくて、こういう今日のお店もそうなんですけど、各地に行くと色んなお店の響きがそれぞれ違っていて、それが凄く面白いらしいんですよね。演奏するとそこのお店の響きとお客さんの雰囲気と、そこでしかない演奏が毎回できるから凄く面白いよっていう話しをしていて。俺らもやってみると確かに全然響かないところもあるし、今日みたいにちょっといい感じで柔らかく響くところ、アコースティックでやってそれが初めてわかるんですよね。だからリヴァーヴとかかけるともうなんか違う世界になっちゃうから、あまりかけずにその場でみんなと何かを共有するっていうのが凄い良かった。そういう事してると、どんどん色んなところからオファーがきてやり出したというか。

●さっきプラスティックスの「Peace」のカバーをやってて、Yossyはその世代?

Y:子供の時とかに、凄く好きで。

●『VOLCANO』に入っててびっくりしたんだけどね、一番最初知った時に「オー!」みたいな。だから、『VOLCANO』はちょっとニューウェーヴしてるんだよね(笑)。

Y:そうそうそう、ニューウェーヴ。

●だけど今日は全然違う。

Y:アコースティックな感じになって。

I:あのアルバムを作った時は凄いニューウェーヴの感じで、バンドでソリッドな感じでやってたんですけど、その後はアコースティック。同じ曲をやるんですけど全然違う感じで、どんどん変遷してます。

Y:好きだったし、『VOLCANO』に入れる時にバランス的にカバーをやるんだったら日本人のニューウェーヴの人を入れたらいいなっていうので選んで、そのまま今もやって。

I:最近またやりだしたよね。昔やってた曲をアレンジし直してまたやり出してますよね。

●では今後のicchieプロジェクトは?

I:僕はね、まだ直ぐは無いと思います。最近またトランペットを吹きだしたんですよ。ここ数年はずっとトロンボーンだけを吹いていたので、トランペットの感覚をすっかり忘れていて吹けなくなってたんですけど1~2年時間を見つけてちょっと吹いたりしてやっと最近またライブでも演奏出来るぐらいになったんです。それがいい感じでしっくりきだしたらまた何かやりたいなと思っています。それまでは色々ライブに参加して演奏を続けながら。

●忙しい所、今日はありがとう。Yossyプロジェクトも3年経ってそろそろ次のEPかLPか?

Y:そうですね、今のライヴがアコースティックなので、この作品はまだ作ってないから、ホーン・アンサンブルとかそういう小さい音のアルバムをちょっと残したいなと思って考えています。

(23.09.2014@Senkiya)