text by OVERHEAT
松永孝義は、音大出身の天才ベーシストとしてエレキベースとコントラバスを駆使し、80年代からレゲエ/DUBのMute Beatを皮切りに、ロック、タンゴ、ポップス、クラシックなどジャンルを問わず数多のライブとレコーディングを行っていた。
Mute Beatを解散して12年が経った2002年、「ちょっと相談がある」と松永くんを青山の事務所まで呼び出し「ソロ・アルバムを作りたい」と声をかけた。だが松永くんは開口一番「絶対に無理」という答えだった。いつだって彼の言葉は重い直球だったから、あきらめるしかなかった。
しかし2年ほどして、どうせまた断られるだろうなと思いながらも「ちょっと相談が・・・」と電話した。現れた松永くん、今度は「やります」というではないか。正直言って驚いた。おそらくその時の松永くんは自身の音楽状況に加え、結婚した宮武希さんとの新たな生活の影響もあったのではないかと思っている。
レコーディングにあたり彼が選んだミュージシャンたちが凄かった。彼がよく知る人達、過去に一緒に音を出し信頼しきっている11名。選んだ曲は盟友、松竹谷清作曲の2曲をはじめ彼の幅広い音楽センスからサルサ、アフリカ、ハワイアン、レゲエ、ポップス、ラテン、タンゴなどなど。
レコーディングに突入する前に集まってリハをしているところをそっと覗きに行った。松永くんがカウントをとっていただけで感動した。出てきた音、一言で言うならあったかい音、情けないことに彼らの出す音を1曲も聴き終えないところで、不覚にも涙腺がゆるみ「今年の風邪は目に目にくるんだね」などと言いながら下を向いていた。
松永孝義46歳のソロ・デヴュー、ファーストCD『The Main Man』が完成、原宿アストロホールで行われたレコ発ライブは、入場できない音楽ファンで騒然としていた。
しかし2012年、彼は54歳という若さで惜しまれつつ他界。
このアルバムは当初からずっとアナログ化しようと考えていて、あっという間に20年も経ってしまった。ジャケット・デザインは最初っからアナログ盤をイメージしたデザイン、このアルバムの音の温かさを大切にしたデザインだった。
やっと発売・・・・きっと松永くんも皆さんも喜んでもらえそうな気がします。
石井志津男(The Main Man / エグゼクティブ・プロデューサー)
■ 予約開始:2月1日
■ 締め切り:2月6日
■ 発売:2025年 3月15日
■ 価格:¥4,000(税抜)
■ WEB SITE(試聴できます)
https://overheat.com/mainman/
■ 予約URL
http://overheat.shop-pro.jp/?pid=184653745
■ Riddim誌に掲載[The Main Man]リリース当時の記事
BASS IS NOT JUST A BASE
https://overheat.com/backnumber/254/matsunaga.html
BASS IS NOT JUST A BASE(2)
https://overheat.com/backnumber/255/matsunaga.html
The Main Man
https://overheat.com/backnumber/256/matsunaga.html
Man From Backside
https://overheat.com/backnumber/257/matsunaga.html
The Main Man Live At Astro Hall, July 16.
https://overheat.com/backnumber/258/matsunaga.html
■ 参加ミュージシャン
井ノ浦英雄 Drums, Percussion
岡地曙裕 Percussion
田村玄一 Pedal Steel, National Hawaiian, Steel Pan, Ukulele, E. Guitar
今井忍 Acoustic Guitar, Ukulele
松竹谷清 Guitar
桜井芳樹 Guitar, Mandolin
エマーソン北村 Keyboard
矢口博康 Saxophone, Clarinet
増井朗人 Trombone
宮武希 Vocal
カルメン・マキ Vocal
■ 収録曲
A面
1 MAMA SHILE OGA
2 PUA LILILEHUA
3 JAZZY
4 SPINNER
B面
1 TWO-STEP
2 しのやん
3 よろしく
4 TO LOVE SOMEBODY
5 LA CUMPARSITA