MUSIC

Stepper Takes The Taxi

 
   

Interview & Photo by Shizuo Ishii

2015年4月にRiddimOnlineに掲載された記事です。

世界最強のRiddimデュオ、スライ&ロビーが牽引するTaxi Gangの一員としてサックスを担当するフランス人、Stepperに彼のソロアルバムとフランスのレゲエ事情について聞いた。なんと日本はもう4回目だという。

●10年前のことですが、フランスに住んでいた娘がNutteaの「Urban Voodo」と言うCDを買って来てくれて、彼の声の良さですごくハマりました。気がついたらUB40とも一緒にレコーディングしているアーティストでした。その時一緒にDJものも何枚か買って来てくれたんですが、フランス語のソフトさとDJのフロウが合わない気がしていたんですが、最近Youtubeを見てフランスで活躍してる若いレゲエアーティストが素晴らしいと思っています。もちろん、ほとんど知識がないんですが、例えばMarina P,  Soom T,  Naamanなんていう若いアーティストはとってもウマいし、レゲエを好きなことがビシビシ伝わってくる。あなたが勧めるフランス人アーティストはいますか?

Stepper(以下、S) : そうですね、彼らがニュー・アーティストであることは間違いないです。他にももちろんいますが、やはりまだアンダーグラウンドなアーティストばかりです。先程ECが言っていたNutteaは10年以上前のマーケットでとてもビッグでした。次にPierpoljakというアーティストがジャマイカの数多くのアーティストと曲を作り、Tuff Gong Studio等でレコーディングをしてミリオン・ヒットを出したこともありました。

●それはSingerですかDeejayですか?

S : Singerです。Clive Huntがプロデュースして、僕もその時にジャマイカへ行き、初めて沢山のアーティストに出会えました。90年代後半の話しです。当時Pierpoljakは本当に売れたのでレゲエの枠だけでなくポップスのマーケットでも1位でした。彼に比べればMarina P,  Soom Tはアンダーグラウンドなアーティストです。だから彼らの音楽をTVやラジオで耳にする事はないですね。現場のダンスのサウンド・システムで聞く感じで、例えばNaamanなどはダンスに出かけた時にラバダブで出てきた彼を、そこで初めて知るという感じです。Nuttea、Pierpoljakたちがヒットした後はRaggasonicという2 Deejayが90年代にとてもビッグでした。彼らをプロデュースしていたのがFashion Recordsで昔働いていたMaximum SoundのFrenchieです。今はロンドンに住んでいる男です。

●あー!! 彼なら知ってます。90年代後半にキングストンでボロいクルマを買って長期滞在していたエンジニアですね。フランス人だからフレンチーだってスティーリー&クリーヴィに紹介されてKingstonで何度も会いました。たしかLukie Dのとてもいいアルバムを1枚プロデュースしていた記憶があります。

S : はい、沢山のアーティストをプロデュースしています。

●それでは、あなたのアルバム『Sly & Robbie Present Stepper Takes The Taxi』について聞きます。Sly & Robbieとはどこで知り合いになりましたか?彼らと一緒にやるきっかけは?

S : Tabou 1というレーベルをやっていたGuillaume Bougardに頼まれてU-RoyとHorace Andyの曲をプロデュースしました。その時にSly & Robbieに出会いレコーディング・セッションをしました。Taxi Gangは結成されてからずっとメインのサックス・プレーヤーはDean Fraserでしたが、彼は他のアーティストのプロデュースやレコーディングが忙し過ぎて、僕にお呼びがかかったんです。断る理由など全くないし、子供の頃からの夢が叶った気持ちでした。それから10年間Taxi Gangのメンバーとして活動して、スタジオで沢山の曲も作っています。

●サックスという楽器にこだわっている理由はありますか?

S : そうだね、、このアルバムではキーボードやオルガン、パーカッションなどの他の楽器もやってるんだけど当然サックスが一番長くやっているし生き甲斐だね。

●ジャマイカの好きなサックスプレイヤーは?

S : もちろん沢山いるんだけどRoland Alphonso, Tommy McCook, Dean Fraserだね。インスピレーションを豊富に与えてくれる。

●ではもっと広げて、世界的に好きなサックスプレイヤーは?

S : 同じことだね、レゲエが好きだからやっぱりRoland Alphonsoになるね。

●あなたのアルバムはスライ&ロビーの有名Riddimにサックスをのせています。ちょっとずるいくらい(笑)良いアイディアです。アルバムを聴いてMixがJamaicaのエンジニアのフィーリングではないとわかりました。なぜジャマイカンを使わなかったのでしょうか?

S : Fabwiseというフランス人の若くて才能のあるエンジニアにやってもらいました。彼は僕と一緒に成長してきた1人で、今はフランスで一番有名なエンジニアです。King TubbyやScientistなどの古いレゲエが大好きでスタジオを持って、機材もヴィンテージの物が揃っています。だからレコーディングのほとんどをジャマイカでやって、幾つかのオーバーダビングした部分とミキシングがフランスです。

●レゲエのインストゥルメンタルをやっているStepperとしてはインストゥルメンタルの魅力とはどこでしょうか?

S : 僕は歌も歌うけど(笑)、インストゥルメンタルはジャマイカの伝統だと思います。先程も触れましたがRoland AlphonsoやTommy McCookはいつもインストゥルメンタルでレコーディングをしてRiddim/Versionを作ってきた。だから僕もこの伝統を不朽のモノと考えてB面にVersionがあるレコードがとても好きです。昔はレゲエ・インストゥルメンタルのアルバムも沢山あったけど、今は少ないですよね。昔Wackiesから出ていたRoland Alphonsoの「Roll On」というアルバムとは大好きだよ。何度も何度も繰り返し聴いたものだ。だからその伝統を残して行きたいよね。(Oct.10.2014)