STREET

JOHN CARDIEL

Interview by CB Ishii Photo by Nakashima Photography

2013年7月にRiddimOnlineに掲載された記事です。

 ハイスピードとハイエアーで人々を魅了してきた超人スケーター、ジョン・カーディエルが世界のスケート界に与える影響力はハンパなかった。だが、2003年のオーストラリア・ツアーの最中、車に轢かれ下半身不随の車椅子生活になるも、決してあきらめないポジティブ精神と不屈のリハビリでなんとか歩けるまでになり、数年後にAnti Heroの広告でマニュアル(ウィリー)している写真が掲載された時は、世界中のスケーターがその復活に沸いた。彼の凄まじいまでのポジティブなエネルギーに背中を押され彼の動向や言動ひとつひとつが神格化されてもいる。しかし、皮肉なことに彼が愛してやまないスケートボードには満足に乗れていない。 それでも彼はスケーターなのだ。スケートと共に生きていたいのだ。希望と葛藤が見え隠れする彼の現在は?Riddim Magazine、これが2度目のインタビュー。

CB 石井(以下C):僕はカーディエルとスケートしたりSizzlaのコンサートに一緒に行ったりっていう間柄だけど、もう一度Riddimの読者に年齢やスポンサーを教えてもらえますか?

John Cardiel(以下J):ジョン・カーディエル、38歳。Anti Heroのデッキ、Spitfireのウィール、それにIndependentのトラックをセットアップしたスケートボードに乗ってる。靴はVansを履いてChromeバックパックを背負っているよ。

C:ではあなたの日常生活はどんな感じですか?

J:僕の人生はクレイジーだよ。コンスタントにツアーやイベントでアメリカだけでなく世界中をまわっていて、この混乱状態の生活をなんとか整理出来るように頑張っている。それに、なるべく沢山の人と触れ合う様にしているし、自分自身をポジティブに持っていける方法を常に探しているって感じかな。

C:サクラメントの貴方の家に行ってインタビューしたのは5~6年前かな?あれから足の調子はどう?

 

J:良くなったことって言えば、強いて上げれば精神的な部分かな。バイク(自転車)に少しでも多く乗る様にしているし、それが自分自身を鍛えることに繋がっている。でも車椅子に乗っているみたいなもので、僕の足の筋肉のほとんどが満足に動かないし他の筋肉がとても疲労するんだ。

C:一日中立っていたり歩いたりは出来るの?

J:いや、それは出来ないね。筋肉が弱っているからね。

C:カーディエルはスケートで活躍する前はスノーボードもプロの腕前だったと思うんだけど、どこかのインタビューでスノーボードをもう一度トライしてみようかな?みたいなコメントを読んだけどトライしたのかな?

J:いや、やってないよ。僕はグーフィー・スタンスで、僕の左足はとても弱くて右足も身体を支えきれるほど強くない。寒い気候も足には堪えるし、とても繊細なんだ。気温が極端に低いと脳からの伝達が脚に届かなくて大変なことが起きちゃうんだ。

C:それはシリアスな問題だ。それならスケートはどれくらい出来るの?

J:もちろん少し痛みがあるけど、友達と一緒にいる時はスケートしたりする。だけど自分がスケートに乗っていることが、みんなの目に変に写っているんじゃないかと感じたりするんだ。僕の身体はまったく思い通りに動いてくれないし、スラムもたくさんする。だから自分がバカなんじゃないかと感じるんだよね。シンプルなトリックをするだけでもかなりハードにトライしないといけないし、僕にとっては周りがポジティブなバイブス(雰囲気)であることが必要なんだ。

C:そうか、人一倍ポジティブなカーディエルでさえそういう気持ちになったりするんだね。このヘビーな状況をどうやって克服しようとしているんですか?

J:ウ~ン、続けていくしかないよね。ベストの状態になるように、僕が出来ることは全てやっているさ。そうすることで過去を振り返ったり不安な気持ちになることもなくなるし。自分の足や身体にあるこの忌まわしい問題から将来自由になれるとは言えないけど、前に進む為に僕が出来ることといったら、一生懸命頑張ることと常にポジティブでいることだよ。

C:以前Thrasher Magazineに掲載されて、SpitfireのフォトTシャツにもなっていたアート・サリ(プロ)のバックヤード・プールでのF/Sグラインドは周りにいた人達のバイブスが良かったからスケートしたくなったって言ってたよね?

J:そう、その通りだ! あのプールには招待されたんだ。とてもキレイな形をしていて圧倒されちゃったというのもあるけど、あの時は周りには友達しかいなかったし、コーピングにグラインドをしてみたい!!って思っちゃってさ。他人が自分をどう見るかを考えなくてもいいっていうのは安心できるからね。

C:でもグラインドするってことで痛みはないのかな?どれくらい難しいの?

J:もの凄い痛みがあるわけじゃないんだ。だけどその日はそれで終わっちゃうんだ。その後は何も出来なくなる。歩くのとかも大変になってしまう。

C:前回来日した時に僕の知り合いがカーディエルが会話をしてるのを横から聞いていたらしいんだけど、もう自分の意思ではスケートをしたくないって言ってたって、、。

J:そうじゃない、スケートをしたくないわけじゃない。ただ僕の身体から手応えが感じられない。トリックをする為に必要なことや感覚は頭の中にあるんだけど、どうしても身体が動いてくれないんだ。とてもガッカリするかもしれないけどそういう意味でその時に言ったんだよ。

C:僕はカーディエルが誰よりもスケートを愛しているだろうと思っているし、スケート界の頂点に立ったスケーター(Thrasher Skater of The Year-1992年)だから、たとえスケートに乗れても以前のように出来ないことがフラストレーションになるっていうか、、さらにカーディエルは人一倍運動神経が優れていてエネルギーの塊みたいな人間だからね(笑)。きっと毎日乗るのは可能なんだろうけど、その程度ではカーディエルにとってはスケートじゃなくて、それは単なるクルージングであったりふざけて乗っている様な感覚なんじゃないかなって思うんだけど、、。

J:そう、その通りだよ!! CBよ~く分かってるね。

C:これは凄くヘビーな質問になるかもしれないけどAnti Heroはカーディエルが事故にあってからもカーディエルの名前が付いたプロ・モデルを出し続けているよね。でもそれってプロって意味だよね。プロと言うのは定期的にスケートボードに乗っていなくてはいけないんじゃないか?プロである以上スケートボードに乗っている義務があるんじゃないか?っていう意見もあるんだけど?

J:僕からスケートボードをする能力は奪われてしまったけれど、僕がスケートボードを愛するエネルギーは奪われてはいないんだよ。僕は今でもスケートボードに関わる生活をしていて、スケートこそが僕の人生に埋め込まれているものだよ。もし僕の名前が入ったデッキを買って「よっしゃ!カーディエルのデッキをゲットしたぜ!!」ってハードにスケートをする良い手助けになっているのなら、それ以上にポジティブなことはないはずだぜ。僕らが「Anti Heroとは何か?」を作りあげてきたんだ! Anti Heroが1番なんだよ! CBもそう思ってくれると良いんだけど。

C:もちろん思っているさ。Transworldから出ていたビデオ『Sight Unseen』のカーディエルのパートのイントロでGONZ(マーク・ゴンザレス)が「カーディエルはオリジナルだ。彼の様なスタイルでスケートするヤツはほとんどいない。とんでもなく速いスピードでスケートをしているのに速ければ速いほどコントロール出来ている様に見える。説明不可能だよ!」って言ってて、僕はこれを初めて見たときカーディエルはもちろんのこと、コメントしたGONZも超カッコいいと思って、それからはビデオを何度も何度も見たっけ。僕がスケートに出かける前の儀式は、こいつを見てからだったよ。そしてほんとに毎日毎日カーディエルを真似したんだ (笑)。

J:うん、GONZはとてもヤバいコメントをしてくれたと感じたよ。昔からの僕のアイドルの一人である彼が僕についてあんなにポジティブな言葉で言ってくれるなんてとても興奮した。

C:最近はレゲエ・セレクターとしても活動しているけど、レゲエについて少し聞こうかな。僕も2回ジャマイカに行った事があるんだけど、カーディエルはいつ頃行ったの?

J:実は何回かジャマイカに行ったんだけど2000年代の初めだったよ。暖かい気候とフレンドリーな人達にとても癒された。今はレゲエに夢中だからとてもスペシャルな場所だよ。

C:10年後は何をしていると思いますか?

J:ははは(笑)10年後かァ、、まだ生きていることを願ってるよ。

C:それでは今進行中のプロジェクトは?

J: VP Recordsの『Dub Rockers Album』のミックスCDを作ってるんだ。もう少しでリリースされるけどすごく興奮してるよ。それにVPとはジャマイカでスケートパークが作られるように動いている。これはとても幸せなことだ。ジャマイカに僕の愛しているスケートボードでお返しが出来るんだぜ。僕に数えきれないくらいのバイブスをくれたジャマイカにだよ。これ以上ない気持ちさ。

C:えええ?!そりゃスゴイね!いつかカーディエルとジャマイカに行けるといいな。最後に一言。

J: Give Thanks For Everyday King Bless Up!!