Interview by ”CB” Ishii
2014年6月にRiddimOnlineに掲載されたインタビューです。
スケートボードはストリート(街、道路)で生まれた遊びだ。だからこそレゲエ/ヒップホップ誌としてスタートしたRiddimでも遜色なくフィーチャーされる。きっと昔キングストンやブロンクスでストリートをブロックして始められたダンスと共通する部分が有るんだと思う。僕たちも近所の道路にジャンプランプを運んでスケートをするところから仲間が増えていった。ストリートで生まれたからこそ色々なカルチャーとも混ざり、ミュージシャン、フォトグラファー、アーティストになったりするスケーターも多いのだ。
単純にトリックの多さや難易度の高いトリックが出来れば世界一というわけではないのがスケートボードの難しさ。どのトリックをチョイスしているか?どのセクションやスポットをどのように使っているか?さらにそこにオリジナルのスタイルが入っているかもとても重要な部分だ。コンテストの結果はもちろん大きなひとつの指標となるが、だがそれは全てではなく、僕の感覚の中でスケートボードがオリンピック競技になる事が腑に落ちないのはその“ストリートである部分”から離れてしまうかもしれないと思うからだ。
その点世界一のスケート雑誌である”Thrasher Magazine”はコンテストを開催するというよりは、ある有名なスポットでベスト・トリックを競わせて、名物編集長のJake Phelpsがプロアマ問わずガッツとトリックでオーディエンスを沸かせたヤツに現金をその場で渡すというThrasherらしいスタイルでイベントを開催している。そのThrasherが毎年一番イケていたスケーターに送るのが”Thrasher Skater Of The Year”であり、スケーター目線からも最も信頼されている賞だ。過去にもDanny Way, John Cardiel, TNT(Tony Trujillo)といった蒼々たるメンツが受賞している。今回インタビューしたGrant Taylorは2011年に若干20歳にして”Skater Of The Year”を受賞したトンデモナイやつなのだ。そんなGTを、先日Volcomが発表した映像作品”Holy Stokes”の試写会の合間にキャッチ。その日の午後に来日し、翌日には帰るという日本滞在わずか1ナイトというハードスケジュールの中、終始ニコニコとインタヴューに応えてくれたGrant。
●まず名前と年齢は?
Grant Taylor(以下 G) : Grant Taylor。24歳だよ。
●お父さんが元プロスケーターで今はアトランタでStratosphere Skateboardsというスケートショップを経営してると伺ってますが?
G : うん、その通りだよ。たぶん子供の頃からずっとスケートをしていて、プロコンテストにも出場していたって話しだよ。お父さんの名前が入ったシグネチャー•デッキが出ていたかは分からないんだけどね。Stratosphere Skateboardsは86年にオープンしたから今年で30周年だよ。
●30年?! 凄いね。僕もスケートショップ(Heshdawgz)をやっていて、昨年ようやく10年でした。それではAnti Heroのチームメートで先月結婚したPat McClainのウェディング•パーティーはどうでしたか?
G : ハッハッハー! よく知ってるね! とても素敵な時間だったよ。大きなパーティーでみんな来てたね。Patlanta!!
●Patは昔からよく知ってるの?
G : そう、8年くらいかな。僕ら2人はジョージア州出身でPatはかなり前にアトランタに引っ越してきてよく一緒に滑るようになって、そこからPatがStratosphere Skateboardsのショップライダーになってね。2011年に初めてSkate Rock Australiaで一緒にトリップにも出かけたよ。その時から、さらに本当に仲が良くなったね。
●PatとGrantはどちらが先にAnti Heroのライダーになったの?
G : う~ん、Patは特にいつからってのはないんだよね。とにかくPatは色々な場所にトリップで出かけていたし、常に乗りたいデッキを使ってた。ただそれがず〜っとAnti Heroだったってことだよ。PatはずっとAnti Heroだし、ある時から僕とPatはよくつるむようになって2人ともオフィシャルに18(1→A, 8→H, Anti Heroのこと)になりファミリーとなったわけだ。最高だよね。
●じゃあPat McClainをVolcomに紹介しようなんて思ったりはしないんですか?
G : ははは、タダで洋服が貰えたら嬉しいだろうけど、PatはDickiesばっかり履いてるからきっとDickiesがフィットしてるんだと思うよ。
●どこかのインタビューでGrantが最初に乗ったデッキはAnti HeroのボスであるJulien StrangerがStratosphere Skateboardsに置いていったお古だったって読んだけど、あれはホント?
G : その話しを聞いてそう信じたいけどね。ただいつだったかJulienに聞いたら「オレはスケートボードなんかどこにも置いていかねぇって言ってたからね、ははは。
●それは何歳のときですか?
G : 歩き始めてからすぐだって聞いたけどたぶん3歳だよ。でももちろん当時は膝でデッキに乗って滑ってた。
●Anti Heroに移籍する前にJeff Grossoからよくショートメール(Grosso's Love Letter)が届いてたって話しですが?
G : そうなんだよ、その月の18日になると"今日は何の日だい?"って聞いてきたり、短いけどサブリミナルなメッセージが沢山送られてきた(笑)。Jeffは当時のスポンサーを辞めた方が良いとは一度も言わなかったけど「Check it out! Anti Heroこそヤバいよ、一員になりなよってね。だからその時期が来たときに僕は、迷わず前のスポンサーを辞めてAnti Heroに移籍した。それ以来僕は100%じゃなくて118%満足してるよ。
●Maka Lassi Posseとはなんですか?
G : アトランタのクルーだよ。でも今は街を越え国境を越えてワールドワイドにクルーがいるよ。△と□が目印だよ。
●Maka Lassiとはどういう意味ですか?
G : それはね(ニヤリ)秘密の幾何学配列だよ、フフフ。まあ僕らが思いついた事なんだけど僕らしか分からない言葉というわけではなくて色んな意味を持ってる。ただMaka Lassiと関わり、時間を共有する事で分かるものなんだ。
●クルーには誰がいるんですか?
G : う~ん、、今はSethtafariってだけ書いておいてよ。
●Sethtafari?? あ!! あのMaka Lassi Posseのフッテージによく出てくるドレッドヘアーのスケーターか!ルックスが怪しいから誰なのか気になってました(笑)
G : そうだよ(笑) ただSethtafari以外は言えないな。Posseというのはチームよりも壮大だから他の名前を挙げるのは難しいんだ。
●(きっと彼らだけの秘密結社みたいなノリらしい) OK!! では秋にVolcomからAnti Heroとコラボが出ると言う情報がはいってるけど。
G : そうなんだよ! 凄い楽しみだね! とてもクールなアイテムが出てくるよ! それにもう少ししたらVolcomの秋のコレクション用にニューヨークで撮影をする予定なんだ。ヨーロッパに住んでいるAnti HeroのChris PfannerとDaan Van LindenもVolcomライダーだし、ニューヨークで再会するのを楽しみにしてるよ。
●今回プレミアを行った“Holy Stokes”はどれくらいの期間を撮影に費やしましたか?
G : プロジェクトは2年くらい前にスタートしたんだ。ただその間もVolcom以外にもスケート・トリップに出かけては帰ってきてを繰り返していたから、健康に注意して、ケガもしない様に休養も充分に取って、いいフッテージを残せるだけ残した。もちろん怪我をした時期もあったし、どれくらいかかったかと言われると難しいけど2年前から動いているのは間違いないよ。
●あなたのパートはとんでもなく素晴らしかったし、映像作品として見てもドローンを使った映像シーンなど新しい発見がたくさんありました! 今日は忙しいのにインタビューありがとう!!
G : こちらこそありがとう!!