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333    COLUMN    PLAY IT LOUD

GREAT BRITISH SONGS / ALI CAMPBELL
[JACARANDA/JACARCD2/輸入盤]
80年代初期からUB40を追いかけ続けてきた者としては、突然のアリのUB40脱退劇は寂しくもあったが、昨年リリースされたソロ作『Flying High』が素晴しく、その寂しさは消え去った。本作は出る出ると噂が先行していた60〜70年代にUKを賑わせた名曲ロックのカヴァー集。選曲の妙はあまり感じられないが、やはりアリの声は特別、直球勝負で潔いと思ってからは何度も聴き返してしまった。アレンジも◎。(大場俊明)
 
DUBBER SIDE OF THE MOON / EASY STAR ALL-STARS
[EASY STAR RECORDS / ES-1023/輸入盤]
Pink Floydの『狂気』のレゲエ・カヴァー作品がDUBになりました。リミックスを手掛けた人選が鋭い。一筋縄ではいかないダブ・アーティストばかりやね。月や宇宙をイメージして聴くとより一層世界が拡がる。このEasy Starは時代を先取りする嗅覚の持主だ。原曲を更に尖らせ動きを与えた。DUBになるとよりRanking Joeの声が生きるのは流石ですね。Pink Floydファンの方にも聴いて欲しい好盤さ。カツオ興奮。(磯野カツオ)
  
JAH IS MY ROCK / CYRENIUS BLACK
[CONSCIOUS SOUNDS/CSCD005/輸入盤]
精力的に作品を発表するジャマイカ出身のシレニアスが生粋のロンドナー、ダギー主宰の同レーベルよりアルバムを発売。往年のグレゴリーを彷彿とさせる甘い声とコンシャスなリリック、そして揺ぎ無い歌唱力はEU諸国で注目されている。オケはダギー率いるブッシュ・ケミスツのキラー・サウンド&ダブでがっちり聴かせてくれる。リトル・カークの"Weed Them Out"オケ・リメイクのタフ・チューンも収録。(楳原豊人)
 
DUBS FROM GREENHOUSE STUDIO 1984-1988 / RAS MUFFET
[ROOTS INJECTION/RILP001/輸入盤]
ジャー・シャカ・サウンド・クルーの経歴を持ち、マイティ・タボット・サウンドの一員として活動する傍ら作品を発表し続ける彼の同レーベル初となるアルバムは、80年代に自身のスタジオで録音したインスト&ダブで構成されるショウケース・スタイル。全ての曲が20年以上経った今聴いても全く色褪せない。そのヘヴィなチューンはモダン・デジタル・ルーツのパイオニアの一人である彼の足跡を知るのに格好の秀作。(楳原豊人)
 
STRICTLY THE BEST VOL.42 / V.A.
[VP/VP1919/輸入盤]
ジャマイカとニューヨークから世界へと届けられたヒット曲を網羅する毎年恒例のコンピ・シリーズが今年も登場。シンガー編となる本作にはジャー・キュアやコートニー・ジョン、トーラス・ライリーらによるお馴染みのヒット曲を収録。昨今のヒット曲のおさらいにも、もちろん入門編にも最適だ。DJ編となる『Vol.43』も同時発売。2枚揃えることで、シーンの現在を一気に把握することができるはずだ。(大石始)
  
ノー・リミット/ゴースト
[ビクター/VICP-64913/国内盤]
そのルックスに似合わない(笑)スウィートな歌声が根強く支持されているゴーストが、実に8年ぶりの新作をリリース。もともとカヴァー曲を得意とするシンガーだが、今回もマイケル・ジャクソン&ポール・マッカートニーの「The Girl Is Mine」を筆頭にシェイン・ワード、ジェイムス・ブラントらのカヴァーが並ぶ。中性的で繊細な歌声は中毒性が高く、聴けば聴くほど旨味が染みだしてくる。流石の出来だ。(大石始)
 
アフリカン・レヴォリューションン/ティケン・ジャー・ファコリー
[ライス/WRR-5195/国内盤]
西アフリカのレゲエを代表するアーティストの新作。アフリカの楽器や旋律を重視した凄まじいパワーが漲る音楽。ルーツとルーツのぶつかり合いが、新たな刺激を生み出した。洗練されたアレンジに引き込まれ、説得力を増す深い歌声に耳を奪われる。楽器の音色も光輝いているからアコースティックな響きを好む方にもお薦め。特にナイジェリアのシンガーAsaが参加した「Political War」は必聴。カツオ太鼓盤。(磯野カツオ)
  
ディア・ジャパン/コリン・ジャイルス
[スカ・イン・ザ・ワールド/SIWI-146/国内盤]
本邦初登場! プロ・サーファーとして活躍中のシンガー・ソングライターです。ロックステディの媚薬に取り憑かれたかのようなサウンドとソフトな歌声が魅力。"サーフ系"と一括りにしてはいけない。真摯にジャマイカン・ソウルと向き合う姿勢は、聴く人の胸をノックするでしょう。海と波しぶきがバックに映るムードを満喫出来ますよ。出会いに感謝、グッド・メロディ&グッド・フィーリング。(磯野カツオ)
 
トキソラ/サヨコオトナラ
[エイピー/ApeeRecord-03/国内盤]
原始的祝祭のための音楽、とでも表すればいいのか、自然と手拍子を打ち、足を踏み鳴らし、腰を動かしたくなってしまう音楽を奏で続けているサヨコとOTOと奈良大介によるユニットの『ワと鳴り』(傑作!)に続く2作目。日本全国の旅を通じてその土地その土地で得たヴァイブレーションが曲にじんわりと染み込んでいる。そんな自然のパワーに満ち満ちた本作を聴けば聴くほど腹の底からパワーが漲ってくる。(大場俊明)
 
昭和残響伝/ワッツラヴ?
[メディアファクトリー/FAMC-46/国内盤]
前述のアリの作品と同様、こちらも全曲カヴァー集。とは言ってもワッツラヴ?だから、歌謡曲、しかも昭和の時代の臭いがプンプンするような少しクスっとしてしまう演歌やフォーク、ポップスからのチョイス。狙い過ぎと思ってしまう曲もあるが、こうしたアクの強い曲をきっちり自分達の色にしてしまうのだから大したものだ。プロデューサーのDJ吉沢のアイデアなのかあちこちに散りばめられた仕掛けも楽しい。(大場俊明)
 
カリプソ・フィーヴァー〜フロム・トリニダッド・トゥ・ロンドン/V.A.
[スカ・イン・ザ・ワールド / SIWI-148/国内盤]
ロンドンに渡ったトリニダードのカリプソニアンの楽曲をまとめたコンピとしてはオネスト・ジョンズの『London Is The Place For Me』が名高いが、本作はそのコンピとほぼ同時期、50〜53年にかけての録音を収録したもの。ロード・キチナーを筆頭とする名カリプソニアンらのコクのある歌唱とキャラクター性豊かなパフォーマンスを存分に楽しめる内容だ。チリチリとしたノイズすらも愛おしくなるような逸品。(大石始)
 
ジャパニーズ・レゲエ・イン・アコースティック/V.A.
[リディム・ゾーン/RZCD-46576/国内盤]/span>
ジャパニーズ・レゲエ界を代表する新旧の歌い手たちがアコースティック・スタイルで自身の楽曲を披露するというユニークなコンピが登場。Nodatin(ギター)らによる暖かみ溢れる演奏の上でRyo the Skywalker、Pushim、Rankin Taxiらがリラックスした歌声を聴かせる。シンプルなアレンジゆえに楽曲の魅力やひとりひとりの個性が際立つ。レゲエの持つもうひとつの側面に光をあてる好企画だ。(大石始)
 
ウェイク・アップ!/ジョン・レジェンド&ザ・ルーツ
[ソニー/SICP-2839/国内盤]
いざ、こうして並べられると、大袈裟ではなく少しばかりの震えも来るというものだ...。しかも、このタッグで繰り出されるのが、70年代を中心としたソウル・クラシックときた! クエストラヴのタイトなリズム・セクションに乗って、雄々しいまでのジョンの歌声が交錯する様は、ファンキーの一言だし、ここでの営みがそのまま温故知新へと繋がっているあたりも、実にニクい。これでアツくならずして、どうする?(石澤伸行)
  
エアタイトズ・リヴェンジ/ビラル
[ウルトラ・ヴァイヴ/PLGCDJ-105/国内盤]
途中のお蔵入りもあって、なんと9年ぶりとなったセカンド。レーベルを移籍した上でのリリースだが、かつてのネオ・ソウルな佇まいはどこへやら、プリンスを通過した音世界の落としどころは、ロックやジャズにフューチャー・ソウルを混ぜたような"ごった煮"状態。でも、この壊れっぷりが妙にハマっていて、サー・ラーやロバート・グラスパーらを招いての好き放題には、確かな音楽性もあって、心底ヤラれる。(石澤伸行)
 
ジェニュイン/イーシャン
[スターベイス/STBC-008/国内盤]
イラン生まれオランダ育ちの男性シンガーによるデビュー作。その軽やかな喉使いには、彼自身がクレイグ・ディヴィッドをアイドルに挙げている件にも大きく納得させられるし、実際、リル・エディやエリーシャ・ラヴァーンらを招いての演目は、USメインのみならず、欧州寄りのクラブ系アプローチまでバリエーション豊かで、早くもシンガーとしての引き出しの多さを感じさせる。アッシャーのカヴァーも良質。(石澤伸行)
 
オープンーエンディッド・ファンタジー/ニーナ・ヴィダル
[ヴィレッジ・アゲイン/VAUR-0008/国内盤]
2年前にデビュー済みのシンガー・ソングライターによるセカンド作。NY出身という彼女だが、スタイリッシュというよりは、ふくよかな歌ごころを信条とした楽曲が、どれも清楚ながら確かな存在感を放っている。シャーデー的洗練の向こう側にあるスモーキーな雰囲気は、どこかアニタ・ベイカーを思わせ、聴くほどにイマジネーションが拡がっていく様な世界は、必ずや聴後の耳に幸せをもたらしてくれるハズ。(石澤伸行)
  
ラヴ・ラスト・アンド・ライズ/レイナード・シルバ
[ヴィレッジ・アゲイン/VAUR-0009/国内盤]
3年ぶりのセカンド作。ベイエリア拠点のアジア系アーティストとなる彼だが、時流をふまえつつも、まろやかさ満点のミッド系でその魅力がマックスになるあたり、台頭著しいUK勢が醸すテイストとも共通するし、感情移入が熱くなる場面の表情からはジョーを彷彿される向きも多いだろう。とにかく技巧派という言葉がふさわしい彼だけあって、どんなトラックにも見事対応、それはMJ曲のカヴァーでも顕著だ。(石澤伸行)
 
僕が君にできること/マーロン・デイン
[スワンキー/SWIP-7517/国内盤]
サンディエゴ出身のシンガー・ソングライターによるデビュー作。25歳にして10年以上のキャリアを誇る彼の強みは、ズバリ"美メロ"。自らプロデュースを手掛けた本作では、アップにスロウにと仕立てこそ様々ながら、全ての楽曲でその柔らかな歌声が辿る豊かな旋律は、時に若き日のベイビーフェイスを思わせる。一方でサウンド・スケープでは、きっちり現代感覚をプレゼンしてくるあたり、流石の一言。(石澤伸行)

 
UNDENIABLE / TERROR DANJAH
[HYPERDUB/HDBCD007/輸入盤]
英国のグライム・シーンでは重鎮のプロデューサーによる新作が、先進的レーベルHyperdubからリリース。ラッパーをフィーチャーした曲とインストを収録し、インストでのグルーヴと、ラップとの絡みから生まれる有機的なグルーヴの多様性を存分に楽しませてくれる、ベース重視のビート・ミュージックとして極上の内容。そして(先月当欄に続き)このレーベルの持つ哲学を浮かび上がる重要な1枚。(飯島直樹)
 
DON'T THINK TWICE / TAMCO
[EDITION RECORDS/EDN1022/輸入盤]
トーキン・ラウドからデビューし、それ以降ブリストルを拠点に活動するTammy Payneの新バンド。Portishead他で演奏するベーシストであり、夫Jim Barrらとの5人編成で、ボブ・ディランやエルヴィス・コステロ、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスらをジャズ・アレンジでカヴァー。艶歌とも形容される彼女の自由な歌声とヴォーカル・アレンジがやはり素晴らしく、それを支えるサイケで渋みある演奏との絡みも完璧。(飯島直樹)
  
COOL WATER / MAXMILLION DUNBAR
[RAMP/RAMP038CD/輸入盤]
シンセ色の強いビート・ミュージックをリリースし人気のレーベルRampから、ユニットBeautiful Swimmersでの作品も人気のプロデューサーによるアルバム。先行シングルで聴くことができたバレアリックな空気に加え、アンビエント・タッチでキラキラな電子音と初期On-Uを感じさせるオールドスクール・エレクトロなファット・ビーツを、色々並列できる現在の耳だからこそ出来るバランスでミックスした傑作。(飯島直樹)
 
WORTH THE WEIGHT - BRISTOL DUBSTEP CLASSICS - / V.A.
[PUNCH DRUNK/DRUNKCD004/輸入盤]
英国で生まれ世界中に拡散しながら進化するダブステップの重要都市のひとつ、ブリストルから生まれた楽曲を収めた2枚組のベスト選。収められた26曲どれもがシーンにおけるクラシックと呼べる名曲で、本作だけでもシーンから生まれるサウンドの多様性を感じることができる。そして、この小さな街には、まだまだ多くの秘密が隠されている事を感じずにいられない。封入ブックレットのライナーノーツも必読。(飯島直樹)
 
SCIENTIST LAUNCHES DUBSTEP INTO OUTER SPACE / V.A.
[TECTONIC/TECCD010/輸入盤]
ブリストルのダブステップ・シーンを築き上げてきたPinch率いるTectonicから、ブリストル内外のプロデューサーの楽曲に、ダブ・マスターScientistがミックスを施したコンピレーション。"ダブ"と付いてはいるものの直接的な影響はあまりなかったダブステップに、本流のセンスと技によるミックスが施されることで、また別のブレイン・ミュージックが表出している。ダブ/オリジナルをそれぞれ収録した2枚組。(飯島直樹)
 
ディープスケッチ/AZZXSSS
[ハイドラ/HYDRA-009/国内盤]
ヒップホップ〜ブレイクビーツのシーンで活躍してきたAzzurroと、フランソワKのハウス名門レーベルDeep SpaceからリリースをしているShigeru Tanabuによるプロジェクト、アズクスの初アルバム。ダブステップを指針にしつつも、それぞれの出自と美意識が音の細部にまで感じられる、彼ら2人の絡みからしか生まれ得ないディープなグルーヴィ・ビート集に仕上がっている。本場シーンとの絶妙な距離感が心地よい。(飯島直樹)

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