HOME > 333 > DABO / HI-FIVE

topics

333    ARTISTS    DABO

DABO
HI-FIVE
 
Interview by Takashi Futatsugi / Photo by Masashi Sakurai
 

 ソロ作としては実に4年ぶり...と言っても、彼の出番は常にあったし、初の著書『札と月』のような別の側面を照らした作品もあり、ブランクは微塵も感じさせない。だが、"何もねえなら牙磨くしかねえ"という初心を忘れない彼は、待たせただけある、いや、それ以上のボムを映画『太陽を盗んだ男』よろしく制作していた。いや、そのイメージは内省的でゲストなしで作り上げた前作のものだろう。今作は"風通しの良さ"こそが売り。そう、鎧を取り払った今回の彼の"突き抜け具合"ったらないのだ。それはあのシーンにドデかい風穴を開けたクラシック1st『Platinum Tongue』を完全に超えている...
 
DABO:(ヒップホップの)シーン的には2年で一回りしてる、って言うか基本目まぐるしいじゃないですか。そういうところも好きだったりするんですけど(笑)。ニューカマーもどんどん出てきてるし、ラップすげー上手いじゃん!ってヤツも多いですよね? そこも含めていいことだと思うし。ただ、ラップ巧い!って言われてきた俺がそれだけにこだわってるヤツと思われるのも嫌だし、ヴェテランらしいものを提示しないと、という気持ちはありましたね。そう、ヴェテランになって、より謙虚に、そしてよりハングリーになった、ってこともあるんですけど。ラップで鎬を削る、という気持ちは前よりも強いかも知れないし。去年ベスト(『I'm The Best』)を出した時、自分の中では何か成し遂げた感とか全然なくて。それより、やれてないことの方が多くね? デビュー10周年? まだまだ、やりまっせ!と。
 
だから、それを今の自分の役割を踏まえてアルバムという1個の形で示したかったんですよね。まあ、フロウや言葉選びもそうだし、トピックとかも結構色々やってきた気がするんですけど、ブログやTwitterをやって素の自分を出してみたり、みんなの反応を見てると、あ〜まだやれてねーこと一杯あるべ!?って感じて。そういう意味でも原点回帰モードでこのアルバムに取り組んだ、って感じですね。「AZS」 みたいなTwitter語もいっぱい使ったし。でも、それと同じくらい"おはこんばんちわ(ッス)"やガンダム用語みたいな親子2代で会話できるような昭和ボキャブラリーや、「デッパツ」みたいなNEOヤン(キー)語も使ってて、逆にB-BOY用語は極力減らしてますね。そこは目線を下げたというか、間口を広げたかったし、これまでも旬なお笑いのフレーズとか結構使ってきたんですけど、普段の自分をより色濃く出したかった。伝わらないようなコダワリは捨てて、もっと違う部分にこだわった、と言うか。
 
そうそう、二木(崇)さんが言われた通り、"カッコつけずに、カッコつけたかった"ってことですよ。例えば、言葉のキャッチーさ、とか。英語っぽい発音も無くしたり。それは、韻とかディティールに凝ることよりも、感情を"伝えたい!"という気持ちが今は強いので。日本語ラップのパンチラインの引用も、それがあってのものだし、「サンテグジュペリ」とかYOUちゃん愛以外の何物でもないですしね...。みんなが何を求めてるのかがブログやTwitterでダイレクトに解った部分もあるし、今回のアルバムと以前との違いにそのコミュニケーション・ツールのアリ/ナシはあると思う。例えばRyo the Skywalkerと初めて一緒にやったのもTwitterがキッカケだったりするし、その恩恵は受けてますね。
 
 とにかく、シンプルでいて力強いものが作りたかったんです。それが今、やるべきことだと思ったんで。生きてれば自然とくっついてくる感情、喜怒哀楽を等身大で歌ってるだけ。人間なんて(気高くも愚かで)、言ってみたら"生きる矛盾・歩く矛盾"じゃないですか? 生きてりゃ変化もするし。その二面性もしっかり出したかったし...。そう、人間性、ですね。クローズアップしたかったのは。つまり、DABOもアナタと同じ人間ですよ、と。そりゃ必死こいて生きてりゃ、人生山アリ谷アリ。涙アリ笑いアリで。そんな中で成長するんだし。そんな自分の中での実験が色々あって、あとゲストの絡みとか、自分の中では完全にボムなんだけど、まだ世間に出てないってこともあるし、これが最初の単独インタヴューってこともあるので、感想はおいおい聞けるとして、どんな反応かな〜という大きな期待と若干の不安があったんですけど(笑)、最初に"風通しがいいアルバム"って言ってくれたじゃないですか? ヤッタ〜!って感じですね(笑)。
 
みんながそう受け取ってくれたら言うことナシですよ。あと、昔は"Back In The Days"ものとか気恥ずかしくて出来なかったんですけど、今回は過去バナも自分なりのやり方でやってますね。90年代、宇田川町界隈に溜まってた時の話とか、昔のオンナのこととか...。金がねえ!とかいう話をリリックにすることとか昔じゃありえなかった(笑)。(DJ)HazimeのミックスCD企画でやった 「I Rep」にしても、録る前は"そのテーマ、ベタじゃね!?"と思ったし、それを自分のアルバムに、とか昔なら思わなかったけど、やってみてその意義を充分感じたし、ここに入れる意味もあるな〜と感じて。そう、今回の初の試みは、Hazimeをトータル・プロデューサーとして迎えて、トラック選びの段階から共同制作したことで。やっぱり、クラブ・ヒットに対する感覚ってMCとDJは違うと思うし、だからこそそれを近づけたくて。
 
Hazimeとはクラブでかかる日本語ラップはどんなんだ?という話を前からずっとしてたし、ヤツが裏方仕事=A&Rに興味を持ってたことも知ってたから。それを試すにもいいタイミングだったと。早くも"デッパツ進行"でその成果は出た訳で。トラックの幅もバランスいいものになった。そういう部分でも完全な俺のエゴの押し通しじゃなく、トラック・メイカーやゲストとのやりとり含めて、いいチームワークで出来たアルバムです。だからこそ、より多くの人に聴いて欲しいんです! 文句を言うなら、ちゃんと聴いてからにしてちょ、と。人間なら絶対にフィールするポイントが何かしらあると思うし、誰が何と言おうが、全部ヒップホップですから。間違いなく。


 

"Hi-Five"
Dabo
[EMI / TOCT-26997]
 
 

 

top
top
magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

columns

GO BACK

ISLAND EXPRESS
UK REPORT
WHAT THE DEAL IS
PLAY IT LOUD
RECORDS & TAPES
RAW SINGLES
CHART
RING RINg RING
BOOM BAP
Day In Da West

columns
columns

columns
columns
columns
columns
page up!
Riddim Nation

"Riddim"がディレクションする
レゲエ番組「Riddim Nation
第19配信中!

Go RiddimNation!

nation