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SOUL REBEL 2010
LIVE REPORT
 
Text by Naohiro Moro
Photo by Hiroto "Photowarrior" Sakaguchi
 

 毎年7月から始まるジャパニーズ・ダンスホール・レゲエの野外フェスティヴァルのトリを飾る「Soul Rebel」。今年11回目を数える老舗フェスにはフレッシュなアーティストからトップ・アーティストが揃い、皆、スリリングなステージを見せてくれた。
 
 平成22年10月3日。
 前日までの予報は覆って、雨どころか、薄日が差せば軽く汗ばむぐらいの陽気となった。11回目の「Soul Rebel」。都会の森に丸く切り取られた、こじんまりとしたこの空間。日比谷野音。多くの伝説的なライヴを見守って来たこの場所は、ジャパニーズ・レゲエにとっても聖地だ。音楽も空気も気持ちいい。無数のシャボン玉が空に吸い込まれて行く。
 
 Big Blaze Wildersの選曲が客を迎え入れ、Alps Bandのファットなベースが鳴り響き、ショウはスタートした。
 
 まずは恒例の若手ショウ・ケース。Chaqura、J-Rexxx、Tomo。短い時間だが、アピール出来るいい機会。3人3様の印象が残った。
 
 続いて大阪からの注目の実力派、Apollo、Mison-Bの2人のステージ。100%レゲエな濃密なヴァイブスを発散し、心意気を披露してくれた。
 
 1年近く続いた抗争を、このステージで終結させたHibikilla、親指Headの共演。もっと大きな敵を見据えて共闘を宣言した2人。確実に1年前よりひと回り大きくなっている。
 
 そしてダウンタウン・ムーヴメントの旗手、Ken-U、Micky Rich、Domino Kat、即ちEnt Deal Leagueの登場。一気に客席は総立ち。暮れ始めた秋の夕方を盛り上げ、粋な祭の神輿が通り過ぎた様な爽やかな雰囲気を会場に残した。
 
 最初のセグメントが終わり、ステージ上ではセットの転換作業。その間、Maximumの届けるハイ・グレードなセレクションを聞きながらリラックス・ムード。こうした時間もまた楽しい。
 
 第2部からは国内最強レゲエ・バンド、Home Grownの登場。ここからガンガン上がって行く。
 
 まずは"Mr. CCPP"、もしくは"レゲエ金八先生"、御大Rankin Taxi。ウィットに富んだ猛毒ギャグと「ヨロコビノウタ」のメッセージに感謝。
 
 "ハマのNew Gun"、Rudebwoy Face。緩急自由自在のDee Jayテクニックで野音を魅了。
 
 "ハマの核弾頭"、Yoyo-C。いつもながらの独自のDee Jay美学に彩られたステージ。最終的にはフリー・スタイルで持って行ってしまう。
 
 H-ManとHome Grownの乱れぬ呼吸の演奏はいつ見ても素晴らしい。H-Manがワザと外そうとするタイミングすら見極めるHome G。途中、Apolloとのバトルも交えつつ、名人芸を見せてもらった。
 
 いよいよ佳境。その前にお馴染みSunset。笑連隊Yongkongも登場し準備体操的に盛り上がる。もうすっかり暗くなっている。最終セグメントの開始だ。
 
 ソロ・アーティストとして堂々登場、Chozen Lee from Fire B。弾け跳ぶポジティヴなヴァイブレーション。元気が出るレゲエ。
 
 爆発的な勢いで完全にロックしたMJR3本マイク。Jumbo Maatch、Takafin、Boxer Kid。「こんな先行きの分からん時代やからこそ、オレたちは迷わずしっかり真っ当に生きて行こう」というJumboのメッセージがひたすら熱い。
 
 Ryo the Skywalkerの登場で更にヒート・アップ。メジャー活動10周年の年のRyo the Skywalker。ソロ・ツアーを残し、充実したアニヴァーサリー・イヤーを締めくくる堂々たるステージだった。
 
 そして、ひとつのディケイドを越え、ある意味、再スタートとも言える11回目の「Soul Rebel」の大トリを勤めたのは、第1回の時もそうだった様にMoominだった。「Moonlight Dancehall」でゆっくりと登場する姿は、やはり野音に似つかわしい。次々に紡がれて行く極上のメロディ。思わず一緒に口ずさむ。彼の歌を沢山知っている自分に気付く。安らかに、ホッコリ、優しく迎えるエンディング。数少ない本格派の男性シンガーとして、やっぱりMoominには大きなステージのトリが似合うと、改めて思った。
 
 最後は「Things & Time」のリディムに乗せて、恒例、出演者全員でのフィナーレ。満足し、納得し、2010シーズンの幕引きを感じた1日だった。
 
 「"Soul Rebel(魂の反逆)"の反対語は"Mental Slavery(精神的奴隷)" 。オレたちはやっている音楽の質について考えて行こう」。この日、Rankin Taxiは言った。もちろんだ。もとより歌謡曲なんざ、やるつもりは更々ない。なのでレゲエを続けて行くことに、何の問題も無いのであった。


 

▼SOUL REBEL 公式HPでフォトギャラリーオープン。
http://www.overheat.com/soulrebel/
 

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