PAPA B
BRAND NEW WAY
Interview by by Takashi Futatsugi / Photo by Tack
素晴らしいアルバムだ! Fresh!でナンボなモノから、手のかかった職人芸の光るモノまで、とにかく"ネタ"は目一杯(音もカレントなダンスホールから、ルーツ、ロック・ステディ、カリプソ、さらにはヒップホップまで)。それなのに、どこを切っても同じように聴感は清々しく、栄養素も満点。つまりは身体に即効性がありながらも、しっかり考えさせてくれる......というクセになる作品、なのだ。早速、本人に話を訊いた。
Papa B:今回は、いい意味で流れに任せて作ってみたんです。今までは割りとカチっと作りこんできたので、それはそれで好きなんですけど、原点回帰じゃないけどあえてテーマを設けずにやってみようと。あと、作り込み過ぎるとライヴで披露するタイミングを逃してしまうこともあるので、そこはザックリと"現場チューン"を意識しましたね。その中でヴァリエーションを付けて魅せるのもアリかな、って。だから「PICA 1」や「Better Life」とか、何気にラバダブとかでも歌ってきたものが入ってます。タイトルは、そんな感じで完全に後付けですね。でも、"エレメンツ"という言葉は使いたかった。音楽とか友人とか、そんな人生に欠かせない要素がある、という部分は何となく意識してたので。ジャケですか? これは、"打ち上げ"のイメージなんです(笑)。
このアルバムに協力してくれた仲間との打ち上げで、ここで何を喋ってるのかと言うと......Sami(-T)が俺の昔のパトワでやってたダブにウケた、みたいな封印モノの話を切り出して(笑)、ツボに入ってひとしきり笑ったあとの、落ち着いてきたときの1枚、だったと思います(笑)。そういえば、NY修行時代の思い出話は「Bed of Roses」でも歌ってるんですけど、Cojie君や同時期に向こうに行ってたNanjamanにも喜ばれましたね......。あと、今回はいわゆる歌い切るスタイルでやってないんですよ。もっとDeeJayっぽく、というかシング・ジェイみたいな方が自分には合ってるな、と思って。それとコラボ、コンビネーションもそれぞれ違った流れで。
例えば、I-Vanとの「Dancer's Anthem」は2人で4行ずつ書いたんですけど、こんな感じでダンサーにリードされる形で曲を作ったこと自体が初めてで。キッカケは、ダンスホールとダンサーのカルチャーが近年分かれてきている気がしていて、「ダンス・チューンで現場をボスしたいね!」と彼に持ちかけたこと、です。Gachaのトラックは他もそうなんだけど、現場志向の最先端なんだけど、エディットとかも丁寧で音楽性も高くて、そういう点でも満足でしたね。あと、Shingo(★西成)君との 「Jealous」は、自分のパートだけで一応出来上がってたんだけど、もう一声あったらいいな、オケもヒップホップっぽいし、と考えていたところ彼の声が頭の中で鳴り出して。彼のパートは大阪で録りました。地元の西成、新世界で、一緒に立ち寄ったとある店で歌っていた"流し"に唐突にセッションを請われ、そこにいる大人のお客全員をロックした姿は、まるでボンティ・キラーがキングストンのそこら辺の店にフラリと現れはDeeJayしてみんなを狂喜させた、というくらいにヤバかったですね! 彼こそストリートに密着したアーティストだと思います。
mule trainとの「知らない街」は、デモとして寝かせていた曲を形にした感じです。最初はスキンヘッド・レゲエの線を狙っていたんだけど、リーダーの Doca君が、スカっぽいメントのオケを提案してくれて、中々ないタイプの曲になりました。The Slackersとセッションした「Love I Bring」は、「何かやろうよ!」と誘われていたのが曲になったんですけど、(Mighty)Crownのスタジオに入るまで何も決めごとをしてなくて(笑)、オケをVic(Ruggiero)が持ってきた中から選ぶところから始まり、2人でアイデア出し合ってその場で掛け合いのように書いていったんです。元々は向こうのアルバム用って話だったんだけど、あまりにも出来が良かったんで、「こっちにも入れたいんだけどいい?」って訊いたら快くOKしてくれて。そういう友達感が出てるあったかい曲......。うん、どの曲もライヴでやりたい! やれる! そんなアルバムになったと思います。
「Elements Of Life」
Papa B
[Life Style / LSRD-0001]