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THE MAZE

MONKEY KEN
　
Interview by Takashi Futatsugi
　
Monkey Ken (Photo by Makoto Kitamura)

　地元滋賀や京都を中心に90年代から独自の活動を続けてきた歌えるDeeJay＝Monkey Ken。本誌登場は2度目となる彼の新作は、歌心全開の前向きブランニュー「Let's Try」に、これまでのキャリアのベスト・セレクション＆スキット的ジングルの全44トラックを、'96 年「DMC」日本２位の凄腕ターンテーブリストで、Technicsの "The Official World Championship Mixer" SHシリーズの開発協力でも知られる盟友のDJ Shark（彼は'99年のソロ作『Inqubation』にもKenを招いていた）がその名の言われでもある切れ味鋭いスクラッチを交えて、怒涛の勢いで聴かせる「特殊仕様」となっている。その首謀者２人に話を聞いた。
　
Monkey Ken：ある日友達から"ケンちゃんのミックスCD聴きたいな〜！"って言われてピンときたんです。俺も昔はセレクターやったし、いつかみんなが面白がってくれる特別なミックスCDを作りたい。何気にそれが夢やったんで。で、曲数数えたら「イケる！」ってことで。自分なりに色んなスタイルでやってきたし、トピックやリリックに自信があるので、それを昔からのファンだけでなく、 若い子にもまとめて聴いて欲しかったんです。そこにNYから５年の武者修行を終えて同じ（滋賀の）長浜育ちの親友DJ Sharkが示し合わせたかのように帰ってきてくれて、一日でミックスして、スクラッチ入れて。ほぼ一発録りでした。こだわったのは展開の音源とサンプラーの入るタイミング。彼に頼んだのはやっぱりDJとして一番信用してるし、スキルも俺が知ってる中では一番なんで。『Monkey Magic 1』も実は俺がジャマイカとNYで買って来たレコードを自分でミックス・テープにした作品で、今回の『５』は人生の半分"40歳"（片手）って意味でも繋がるし、凄くいいタイミングで作れたことにも運命を感じました。
　
新曲の「Let's Try」は、最近自殺人口の増加とか重いニュースばっかりで、若者も夢より現実主義が増えて、諦め癖がついてるような気がして、前向き、チャレンジ、癒し等の題材で"元気になるスタミナ料理"的な曲を目指しました。「Beautiful Island Jamaica」はずっと昔からジャマイカの歌を書きたくて、やっと形に出来た、と。未発表の残りの５曲は、実は'02年に録っておいたものなんですが、当時のジャマイカの主流じゃないな〜って思い、キープしといた音源です。ターニング・ポイントになった過去曲は...初めて出した7インチ（しかも歌詞カード付き！）の「女子高生」（'97）、それとSharkと一緒にラガ・ヒップホップ路線で作った「Smoky Ragga」（'99）...それからオリジナル・ヴァージョンで使ったSky Line Bandのオケが後から流行った「Step By Step」（'06）ですかね。あと、Rankin（Taxi）さんプロデュースのコンピ『Bad Bad '98』『XX Bad』に参加させてもらった時の反響の大きさは格別でした。自分の曲で、自分の構成で夢が実現した今作は、俺の集大成であり、未来系であり、今のところ最高の財産ですね。なんやかんやでレゲエ始めて20年近いし、これからも新しいことに挑戦しながら、歩ける限り歩き続けますんでヨロシクです。
　
DJ Shark (Photo by Shino)
DJ Shark：彼とは中学から一緒なんですけど、僕とは全然発想が違ってて、でもピン・ポイントは一緒って感じで、何も話さなくても勝手に息が合うんです。中学の時からやっぱり目立ってましたよ。今回のミックスでは、彼の持ち味を出しつつ自分の個性も出すことにこだわりました。スクラッチ、ジャグリングを入れつつライムを生かす、って感じでNYで覚えたノリで自分たちなりの"レゲエとヒップホップの融合"を目指しました。今後は、現住所の茅ヶ崎を拠点に個人のミックスCD、アルバム、そしてDJチーム＝Beat Tricksとしての活動にも力を入れたいです。もちろん、Monkey Kenとは切っても切れないコンビみたいなもんなんで、また一緒にやるつもりです。