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"SOUL REBEL" SPECIAL : REVIEWING DI SCENE of 2010 no.05
KILLA BAM BAM (SUNSET the platinum sound) × RYO the SKYWALKER
 
Interview by Toshiaki Ohba / Photo by Masashi Sakurai
 

 言わずと知れたトップDJの一人、Ryo the Skywalkerと、東京を中心に日本全国各地の街を轟かすトップ・サウンド、Sunset The Platinum SoundのKilla Bam Bam。今年も日本中のレゲエ・ファンを躍らせてきた二人に日本のシーンについて話を聞いた。
  
Ryo the Skywalker(以下R):日本のレゲエ・シーンもやっぱり基本はジャマイカを見ているから、そっちの動きから話さへん?
Killa Bam Bam(以下B):今年の前半はまだガリvs.ガザの抗争がくすぶってて、それが沈静化されたと思ったら、Dudusの件で非常事態宣言が出て、ジャマイカは結構動いていたよね。ダンスも派閥によってかかる曲が全く違うから、この春キングストンに行ってたDizzyもあまり面白くなかったって言ってたし。
R:それに言葉狩りみたいなのもあって音楽シーン的には停滞してたよね。
B:ラジオもバッドマン・チューンやヴァイオレンスなものはかけられなくなったし。ラジオと現場でかかる曲が全く違ってきてるからね。でも、日本に目を移せば、トラックはジャマイカの最先端を真似する傾向はあっても、リリックは比較的クリーンですよね。やっぱりリアリティとかけ離れるものは出てこない。
R:ジャマイカを追いかけてきた僕らからすると、本場が壊されてシーンが停滞しているのは寂しい。でも10年、15年前の日本と違うのは、ちゃんとシーンがあるからジャマイカのアーティストがいなくてもある程度、現場を回してはいけるようになってきた、というのもあるんやけど...。
 
●ジャマイカが音楽どころじゃなかった状況だったから、逆に日本のトラック・メイカー達に機会が増えて、日本のシーン全体としては底上げに繋がったのでは?
B:昨年末に出た『Riddim Island』(Kon"MPC"Ken、Zura、Backyaadie、Ma$amatixxx、Daddy Dragonが参加)なんて正にその集大成でしたよね。
R:ジャマイカがあんなんだったからしょうがないってのもあるけど、長年積み上げて来たものもありつつ、皆の才能もありつつ。偉そうな言い方ですけど、みんな数年前よりもどんどんスキル・アップしていってるし、実際、世界に通用するものを作っていて頼もしいとは思う。
B:Gachapanなんてジャマイカを拠点に活躍しているしね。でも日本にいながらにしてジャマイカから古き良きものを吸収し続けて来た僕らとしてはシーンに責任を持たなきゃって凄く思います。
R:責任ある身だからこれからも自分を曲げんとやってかなきゃいけない。元々レゲエって雑草だし、メジャーになれへんのは分っててあえてメジャーで挑戦してきたんだし。もちろん信じてやっているけど、この国でやるのは難しいのも分ってる。
B:でも今や土台がしっかりしているから。一時期に比べたらレゲエ不況なんて言葉も聞きますけど、10数年前の不況に比べたら大したことない。
R:もちろん先輩方もおりますけど、ムーヴメントとしては何もないところからここまでやってきたからね、このままで良いとは思うんですよ。ただ、"フェス"という観点から見ちゃうと、どこも規模を縮小しているのは確か。でもそれはレゲエ・バブルと言われてた時代には「レゲエってどんなん?」って興味を持った人が沢山いてただけ。それがフルイにかけられて「そっか分った、まあいいかな」という人が減ったと。裏を返せば、それでも来てくれてる人はシーンの中心の人というか濃いお客さん。実際、今年も色々なフェスに行きましたけど、お客さんの数は減っても熱気は全然落ちてない。それはどの会場でも同じなんです。
B:確かに5年ぐらい前まではレゲエをあまり知らないお客さんも今より多かったから、サウンドがジャマイカの音だけで会場全体を盛り上げるのは大変なことだったけど、今は濃いお客さんが増えた分、攻めれるのは確か。確実に土壌が肥えてる証拠ですね。
R:誰かが言ってたんですけど、「それってどんどんシーンの贅肉が落ちて筋肉質になってるんですよ」って。それって凄く的を得てる。脂肪だってそれが筋肉になるんだから脂肪も無駄ではないんだよって。そう言えばこの間、Bam Bamとフェスについて話をしていてBam Bamが「来年が底なんじゃないかな」って言ってて、それに共感して...。
B:実はクラブのイヴェントの数ならば去年の方が少なかったんですよ。Sunsetに関して言えば、今年の方が増えている。お客さんも横ばいかちょっと増えている位じゃないかな。で、フェスという一般層がメインのものは、クラブの動向よりも1、2年ぐらい動きが遅れると思うから、そうなると"フェス"という意味では来年辺りが底なんじゃないかなって思って出した答えなんですけど。
R:やっぱりクラブが基本で、そこから面白さが徐々に伝わって、結果的にフェスになるわけだから、今の話は次の盛り上がりへの予兆でもあるよね。ただ、そうだからって楽観視しないで、俺らがもっとキープすることでそうなる話だし、その予想も更に覆すぐらいもっと頑張らんとイカンよね。
B:あと感じるのは昔フェスで出会ったカップルが、結婚して、子供もひと段落して、また戻ってきてるんですよ。親子二代で楽しめるシーンも作んなきゃなって思いますね。
R:やっぱりお客さんと共に成長しているシーンだと思いますしね。そう考えてみても核の部分ではずっとファンが増えてるんだと思いますよね。

●フェスと言えば、10月3日には日比谷野音にて「Soul Rebel」が開催されます。
R:一発目は2000年ですよね、全国においてもフェスの先駆けであり元祖。初回から僕も出させてもらって、その時の音源がCDにもなってね、凄くよく覚えている。
B:東京で唯一のレゲエ・フェスって印象が強いですね。季節もちょうど良い感じで。1回目は観客だったけど、あの時代に2,000人以上入って「凄いなあ」って思いましたよ。あの場所でレゲエのコンサートが出来るってだけでも凄いし、しかも毎回ソールド・アウトって凄いと思いますよ。
R:「Soul Rebel」ってアーティストが厳選されているイメージがあって、選んでもらえるのが嬉しくってね。襟を正すって言うか、〆にピシッとさせてもらえるイヴェントというイメージもありますね。トドメと言うかね。
B:実際、「明宝」辺りからフェスが始まって曲順とかMCとかを探り探りやってるけど、「Soul Rebel」の時期になるとそれはもう完成度が高くなってね、今年もショーの間の時間を退屈させないようにするんで期待してて下さい。
R:今年はここから盛り上がって行くというスタート地点に立っていると思う。だから、しばらくフェスに行ってない人こそ来て欲しいですね。今年来てくれたら、あの時代にあった芽があちこちで生えているはずだから、きっと再び確信してもらえると思いますよ。そういう意味では初めて来てくれる人も昔と同じあの熱気を目の当たりに出来るはずだから、きっと食らいますよ。

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