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CK
 
オレはこの7月に、伝説的なグループThe Rootsのメンバー、Tariq "Black Thought" TrotterとAhmir "Questlove" Thomsonと共に世界最高峰のコニャックをHennessy一族の城でテイスティングするため、New Jerseyからフランスのコニャック地方へ行った。The Rootsの創設メンバーの2人は「Hennessy Artistry」というキャンペーンのゲスト・キュレーターなのだ。彼らはHennesseyのマスター・ブレンダーが高度な技術でエイジングされたコニャックをブレンドするように、Chicago、New York、 Los Angeles、Miamiといった都市で開催されるショーに様々なアーティストを選出し、プログラミングしていく役割を担っている。
 
プライベート・ジェット機のGulfstream G4に搭乗するにあたり、オレには知らないことが幾つかあった。例えばフライト・ナンバーの代わりにテール・ナンバーがあるということ。そしてセキュリティ・チェックの類が一切ないということだ。極端な話、New Jersey からコニャック地方へ核兵器を運ぶことも可能だっただろう。幸いなことに、Questloveが持ち込んだ重いバッグに入っていたのは大量破壊兵器ではなくDJ機材だった。彼はChateau de Bagnoletで開かれる、Henne-sseyの重役やマスコミ、そしてHennessyの広告に登場する美しいフランス人モデルらが参加するVIPパーティのゲストDJを務めるのだ。
 
恐らく世界で最も働くバンドにとってこのHennessyからのオファーは彼らの地位を更に高めてくれるだろう。1987年に結成されたThe Rootsは20数年に渡ってベスト・ヒップホップ・バンドとして君臨し続けている。彼らの評価は必ずしも常に高いものではなかったのだが、最近それが変化しつつある。The RootsはNBCの人気番組『Late Night With Jimmy Fallon』のハウス・バンドとなり、新作『How I Got Over』はIsland Def Jamの夏の目玉新譜として発売されたばかりだ。このコニャック地方への旅は創設メンバー2人にとってある意味"ご褒美"の様なものかもしれない。Questloveは多才な男で、ドラマー、プロデューサー、DJ ソーシャル・ネットワークの達人(彼のTwitterは130万人にフォローされている)など実に幅広い肩書きを持っている。そして今回の旅行で彼はコニャック・ブレンダーの称号をも手にしようとしている。「自分の風水についてもよく知っているよ」と彼は笑いながら言う。
 パーティではBlack Thoughtがバーでリラックしていた。彼はHennessy Black(Hennessyの新しいコニャック)とブラックベリーをミックスした「Black Thought」というカクテルをテイスティングしていた。嘗てMalcolm Xが「黒すぎるということは、強すぎるということだ」と言っていたが、オレは彼にそのカクテルのインスピレーションをどこから受けたかのかと訊いた。「いつもHennessyを嗜んでいるが、やはり違った飲み方も研究しなければいけないと思う」と彼は答えた。同じことが彼の音楽についても言えるだろう。Black Thoughtはソロ・プロジェクトでDanger Mouse、MC collectiveではDice RawやP.O.R.N.とコラボレートしている。因みに彼ら全員がThe Rootsの新作でフューチャーされているのだ。
 
『How I Got Over』のレビューアーの殆どが『Late Night〜』に出演するようになったおかげでThe Rootsの音楽が多様になったと勘違いしている。昔からのファンはThe Rootsがいつも異ジャンルの音楽を積極的にブレンドしているのを知っている。Black Thoughtはこの件について「その通りだ」とうなずく。ただ、番組のおかげでコラボがかなりラクになったと彼は認めた。「Herbie Hancockと共演したいと思ったら、それを番組内で実現できると思う。それにスタジオもそこにあるので、すぐにレコーディングが可能だ」。彼らの最新シングル「Dear God 2.0」は、番組での共演がきっかけで生まれた。Monsters Of Folk やDirty Projectorsといった明らかにヒップホップ畑ではないアーティストをフューチャーした曲だ。また、番組の視聴者は彼らとゲストとの共演がいつも自然なことを感じているはずだ。「全ての共演アーティストをオレ達が事前に承認しなければいけない、ということでもないんだ」とBlack Thoughtは言う。「ただ、アーティストの出演を決める担当者はオレ達がそのアーティストに対してどのように感じるかを常に念頭に置いている。その際にオレ達が『コイツではうまくいかない』と言えば、そのアーティストの出演はなくなるよ」
 
このコニャック地方への旅はThe Rootsが更にスケールアップし、認められてきたことの証拠だろう。「今、気づいたが、The Rootsは過去18年間、ちゃんとしたリハーサルをしたことがない」とQuestloveはアフロヘアーをいじりながら言った。「そうかもしれないな。比較対象がないので根拠はないが、いつもオレ達は30%の力しか発揮していないって言ってるんだ。オレ達は練習を大きなライヴの前にやる小さな町でのショーの様に考えていたと思う。ライヴの2時間前にホテルのロビーに集合したと思ったら、あっという間に開演時間だ。でも、このアルバムの制作には毎日5時間もリハーサルをした。だから過去最高の曲が出来上がったよ。ミュージシャンとしてのスキルがアップし、何よりもグループがガッチリと一つになっていると思う。その結果、今までで一番成熟したアルバムが完成したと思う。このアルバムを言葉で表現するとすれば、そうだな、実存主義者の様で、スピリチュアルで、かつ自身を深く見つめ直している...、といったところだな。自発的にオレ達はこのアルバムを作ったんだ。決して誰かに金を払って貰うために作ったものではないよ」

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