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RING RING RING
 
【下條ユリの巻】
 アメリカ合衆国で20世紀の後半に盛んになった地下鉄の車体や壁にスプレイで視覚的な表現をする人々、そこから始まり広範囲なものとなったこの世界的な現象について時間軸に沿って調査するのではなく、ある程度距離をもって眺めると、見えることも出てくるかも知れない。ありとあらゆる層で活動してきた下條ユリというアーティストに通信によって話を聞くのは、ひとつにはその意味で、そしてなによりも行動することの雄弁さについて感じとってほしいから。
 
●あなたは日本でのイラストレーター/アーティストとしての活動後、NYに移りました。
下條ユリ(以下Y):はい。
●その後、自己の生活を含めてのアート活動が多くなったように思えますが。
Y:はい。
●そもそもスプレイ缶を使っての作品(もしくは、作品制作)には興味は持っていたのでしょうか?
Y:いまだにスプレイ缶は全然使えません。スプレイ缶にも、その作品制作にも興味をもったこともあまりありませんでした。スプレイ缶で絵や文字を巧みに描いている人を横で見るのは好きだし、その深さに感心するし、改めて尊敬します。
●バーンストーマーズのメンバーとして活動し始めたのはいつからなのですか?
Y:『Apostrophe』DVD制作から(2002年)。
●また、どのようにそれは起こったのでしょうか?
Y:Madsakiと一緒に、家から3ブロック裏に住むDavid EllisとKiku Yamaguchiのガレージ住居に遊びに行った時(当時はみーんなWilliams-burgだった)、Apostropheをガレージで撮り始めて2日目だった。David Ellisとは顔見知りだったけど、彼らの活動を「おもしろいことしてるなー」って隅っこで見てる感じだったんだけど、Daveが「ユリも絵を描くって聞いたよ。今度見せて」って言うからその時なんかの紙の裏に描いてたDrawingを見せたら「ユリも描かない? 描きなよ」っていきなり言われて、ちょっと恥ずかしかったけどせっかくだから描き始めた。そのとき描いてた絵(『Red Flower and Horse 赤い花と馬』2002/グラマシー・パーク・ホテルの便箋のうら/図版)。
http://vimeo.com/groups/19626/videos/7633205の02:03くらいからがそのわたし。いきなり本番ナマでノーカットDVD!(笑) まったく予期していなかったから赤いミニスカートのドレスを着てて、みんなにパンツ丸見えで描いてた。死ぬほど楽しかった。数週間後にはノースキャロライナでバーン(納屋)に絵を描いてました。なかなかこうもうまくはいかない、っていうカンジの出会いが、その頃のWilliams-burgはいっぱいあった。
●実際に、バーンストーマーズのメンバーとして作品を制作する時の過程、例えば、作品の(もしくは、作品を描く)場所は予め決まっていますか?
Y:場所は大体決まってるけど、なにを描くかは全く決められない(決めてくる人、決めてこない人、それぞれで、決めてくる人もその勝負がどう転ぶかは全く見えない)。使い古された言い方かもしれないけど、ジャム・セッションと同じだから。
●あなたは実際にはどのような道具を使って作品制作に参加するでしょうか?
Y:水と相性のよい絵の具、筆と鉛筆。紙、ここ数年、色々な理由のもとに日本の画材を深く愛用しています。画材に限らず、わたし道具は昔から好き。
●バーンストーマーズとしての制作、もしくは自分の作品の制作では、「ストリート・アート」ということ、を殊更意識するでしょうか?
Y:バーンストーマーズというコレクティヴに縁があって仲間入りし、その発生、活動時の時代の背景、性質から言って、世のViewerたちが「ストリート・アート」とカテゴライズする分野で活動したことは自分でも興味深い。でも、それがわたし個人の活動、となると、妙な異質感を感じたりも、納得したり、もする。よくわからない。「わたしはストリート・アートと関係ないところから来た」というとそうなんだろうけど、イラストレーターという役柄は大衆を対象にしたエンターテイメント的な視覚伝達師だったから、世俗=ストリートの反応を意識した場所から来た、ともいえるかもしれない、とも思う。でも、どちらにせよ、わたしがもともと盛岡でこけしを創っていた作家でも、宗教哲学科の学生だったとしても、90年代半ば〜2000年代のBrooklyn=「ストリート・アート」のサンジェルマン・デプレ、みたい(だったんだと思う)なところで日々生活、制作していたこと自体が「ストリート・アート」と称する世界と切り離せないと思う。でもわたしは『ストリート・アーチスト名簿』(笑)には載らないと思います。
●いわゆる「グラフィティ」に関してイリーガル性が議論されることがあります。特にここで言いたい意見は?
Y:もともとイリーガルなものの方に趣向をおく性質だから、それを議論することは個人的には興味ない。注目されるべき点は法的な境界線よりもアプリケーター本人のインテンションだと思う。
●どうもありがとうございます。
  
荏開津広
(One Hand Clappin')
概念行商人。カタリスト・クルーとICHI-LOW先生と一緒にビールとスカで過ごしたあの夏の午後はどこへ行ったのでしょうか? ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの本を翻訳中!

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