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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
ALBUM
 
1. Recovery / Eminem (Universal)
『Relapse 2』改め『Recovery』として投下されたソロ通算7作目。そのコンセプト変更は、ドレイクの「Best I Ever Had」や、エミネム、リル・ウェイン、カニエ・ウェスト参加曲「Forever」等を手がけた旬のBoi-1daや、意外にも初顔合わせとなる連中...DJ Khalil、Just Blaze、Jim Jonsin、Emile、Supa Dups(らとの新鮮なセッションの中で生じた、とか。クリーンな状態で本人が楽しみながら制作した、という本作はフラストレーションの捌け口に留まらない、毒舌でも前向きなモノ。Lil' Wayne、Rihannaらも参加。
 
2. Goon Affiliated / Plies (Warner)
誰が呼んだか"マイアミのメロディアス番長"堂々の4th。その云われは、T-PainやNe-Yoといったゲストとの絡みが上手く、R&B寄りのメロウなトラックの活かし方も心得ているから、だが、彼の魅力は何と言ってもそのルードなガラ声で放つギラついたチンピラ・ラップにこそある。今作で言えばチャート・バスターPolow da Don制作、Keri Hilson参加のバラード・ラップ?「Medicine」等がそうなのだが、同シングルは何と日本盤のみのボーナスとか! 相性のいいJ. R. Rotemが手がけた「Becky」(ジャマイカンはOutのオーラルねた)や、絶好調のTrey Songzとの甘いの、またYoung Jeezy、Fabolousとのタッグ曲も強力。
 
3. Thank Me Later / Drake (Cash Money)
Young Moneyが誇る...と言うより、シーン全体で後押しする大型新人のデビュー盤が遂に登場。その"ヴォーカリスト、リリシスト"としての才能を見抜き自作でもフックアップしたJay-Zや、Lil Wayne、T.I.、Swizz Beatz、Young Jeezy、The Dream、Nicki Minajといったゲストが駆けつけた本作は、お祭り的なイケイケ感は一切なく、例えは変かも知れないがCold Playのファン辺りが聴いても不思議ではないトーンの作品に。例の代表曲「Best I Ever Had」や、今作にも参加しているAlicia Keysの「Un-Thinkable」にも顕著な様に、彼は賞味期限の長い"いい曲"が作れるラッパー、であり、本作はその真骨頂と言えるだろう。
 
4. A Classic Example Of... / Funky DL (Bad News)
コンスタントなリリースと日本ツアーでUKのラッパー兼プロデューサーの代表格としてすっかりお馴染みとなった彼の"日本デビュー10周年"記念作。Jay-ZやDiddyの映像ディレクター兼プロデューサー=DJ Parrisをプロデューサーに、そしてゲストにDLの右腕的プロデューサー/シンガーのDukus Alemayと、DLのプロデュースで日本でもデビューを飾った女性シンガーLei-an、『Classic Was The Day』を共同制作したDJ Stixxを迎えた本作は、あの『Black-current Jazz』を彷彿とさせるシブ派手な仕上がりに。この男のセンスはやはり並みじゃない!

 
5. Kinetic World / Kero One (P-Vine)
ジャジーからソウルフルへと昇華した前作の路線を引き継いだMissionのKero Oneソロ3作目。「動的世界」というテーマを掘り下げる作業に拘った本作はあの「Let Me Clarify」から、Sam Ock参加の「On Bended Kee」、Othello & Dminorとの「We Stay Fly」に、彼のルーツである韓国で大きな影響力を誇るEpic Highとの「Asian Kids」など、キャッチーでソウルフルな好トラック目白押しの快作に。主役のオーセンティックなフロウが流れるように飛び込んでくる様は、確かに前作以上かも。DJ Deckstreamによるリミックスも。
 
6. Guilty Simpson / Guilty Simpson (Stones Throw)
デトロイトの岩窟王リリシスト=Guilty Simpsonと、"毎月リリース記録更新中"の鬼才中の鬼才=Madlib(本誌読者には渾身のルーツ・ミックス『420 Chalice All Stars: All Jamaican』をオススメ!)のコラボ・アルバム。これまでにもMadvillain、Jaylibといったタイマン秀作を生み出したStones ThrowらしいこのOJ Simpson、その肝となるのは例によってMadlibなのだが、ここではGuiltyのバリトン・ヴォイスによるファンキー・フロウを立てた本来の路線で勝負。その漆黒のトラック群と、サントラを想わせるインタールード使いも"らしい"のだが、ラップ・アルバムとして成立してるのだから恐れILL。
 
7. Ye Fre Mi Richy Pitch / Richy Pitch (BBE)
USアングラの良質レーベル、7 Headsから02年にデビューを飾ったUKのクリエーターが実に8年ぶりの新作をBBEより。ガーナに2年の滞在し、アフリカ音楽の素晴らしさに心を動かされ、現地でレコーディングしたという本作には、地元ガーナのスター=Moboを筆頭に、MTVアフリカのベスト・アーティストにも選出されたSamini、ヒップ・ライフの父=Reggie Rockstoneなどアフリカのヒップホップ・ シーンの精鋭をフィーチャー。その理性と本能的のせめぎ合いの如きアフロ・ビートと洗練された都会的なブレイクビーツの融合はかなりFresh!
 
8. Scenes From Life / DJ Ryow a.k.a. Smooth Current (Rambling)
儚くも美しく、その味わいは普遍的。優しくも力強く、クラブとラウンジで両立可。そんなアンビバレンツな魅力に富みつつもしっかり筋の通った音楽を紡ぎ出すビート職人DJ Ryowの2ndソロ。テーマは"音の情景"で、今回はインスト主体。サックス、フルート、ギターも担当するマルチプレイヤー=Kenichi Fukushimaに、Shinsight Trioも参加し、これまでよりもジャズのエッセンス(と言ってピアノを想像する人、残念でした...)を主軸に、ファンキーなグルーヴやMista Donutを迎えてのスクラッチ合戦(?)も聴かせる。気鋭のフォトグラファーKeita Suzukiによるアートワークも素晴しい!
 
9. Ten Years After / ECD (Final Junky / P-Vine)
禁酒決行から10年目らしく、このタイトルに。前作『天国よりマシなパンの耳』にも痺れたが、そこからヒップホップによりフォーカスした本作も相当スリリング! 言葉数の多さや韻への拘りからも明らかな通り、これはある意味"回帰"であり、変にガラパゴス的ではない、外部からの影響(例えばサウス)も露にした本作は、近年の即興性やインダストリアルな音楽性とも共振する様なヒップホップであり、オールドスクーラーらしからぬ表現の数々も逆に説得力を感じさせたり...。「暗いトラック/せこいリリック」というフレーズもあるが、Illishit Tsuboiの援護射撃も効いた他では絶対に味わえない逸品。
 
10. Development / Suiken (Columbia)
ソロでのメジャー・デビュー10周年とリンクする4thアルバム。盟友DaboとRyuzoがとの「Tokyo Party」以外は全て独り勝負曲で、プロデューサーはDJ Watarai、Macka-Chin、Jhett a.k.a. Yakko、Ita-Cho a.k.a. Mr.Itagaki、DJ Taiki、Jashwon、Maric、Starwax、Lostface、Golby$ound$、Yellowdiamond、Kuraと1stを想起させる今を感じさせるヴァテラン〜ニューカマーとのセッションの果てに完成した本作は、とにかく濃厚なラップ作品。格好よいラップとは何なのか? これを聴けば解るハズ。B-Boyアンセム「Don't Stop」はPVもキテる!
 
11. Filters / DJ Perro a.k.a. Dogg (Nico Studio, Sapporo)
相変らず精力的な活動を見せるMic Jack Produc-tionのDJ Perroが今度は初となるラップ・アルバムを制作。B.I.G. Joe、Ini、Taboo1(MSC)、 Rumi、Ramb Camp、Nagan Server、Gouki、Yurah Blah、Medulla、Y To The One、更にはO.C.(D.I.T.C)といったオリジナリティを感じたMC達に声をかけ、彼の美意識=ビートでまとめあげた本作は、ただならぬ熱量でコンピとは呼ばせない!という主張、一貫性に満ちたものだ。Mix CDサイドではDJとしてのスキルの高さも発揮。
   
12. Session / Hyena (Victor)
ウエッサイ・シーンが根付いた川崎が生んだ路上の語り部=Hyena。画が浮かびやすい言葉選びとストーリーテリングで、 聴き取り易い唄に徹するリリシストである彼の通算5作目のミニ・アルバムは、自身初となるメジャー・リリース物。盟友DJ RyuukiとのStreet Pharmacyのカラーも絶妙に発揮しつつ、Akashingoをフィーチュアし"夢を諦めない"大切さを実体験と重ね合わせて説く「Dream Goes On〜真昼の夢〜」から、Ghetto Inc.のOne 2を迎えた壮大なクロージング・チューン=「男の仕事」(ライヴDVDでもお馴染みの曲)までサスガの変幻自在っぷりで一気に聴かせてくれる。

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