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328    ARTISTS    K'NAAN

K'NAAN
 
Interview & Photo by Masataka Ishida
 

K'NAANは、ソマリアの首都モガディシュで生まれた。内戦が激化する1991年、13歳のときに最後の民間機に乗ることができて脱出。難民だった少年は、その後カナダを拠点に活躍するラッパーになり、ワールドカップの公式ソング「Wavin' Flag」を歌うまでになった。
 
●K'NAANさんは『The Dusty Foot Philosopher』(06年)で注目されました。ここに収録されている「Soobax」は、クドゥロやバイリ・ファンキに通じるゲットー・ミュージックで、ミュージック・ヴィデオがとにかく強烈でした。
K'NAAN(以下K):「Soobax」のヴィデオは、ケニアにあるソマリア人難民が住む街で撮影したんだ。この映像を見てくれたDamian Marleyと交流するようになって、『トルバドゥール』(09年)はタフゴング・スタジオで録音した。
●『トルバドゥール』の1曲め「T.I.A.」が、いきなりBob Marleyの初期のヒット曲「Simmer Down」を早回ししたサンプリングで、カッコ良いですね。
K:Bob Marleyは平和を代表する人ですが、タフでラフな環境で育った人です。ソマリア人として、そういう部分に共感します。
●91年にソマリアを脱出して以来、里帰りする機会はありましたか?
K:生まれ育ったモガデッシュ(ソマリアの首都)は危険で入れない。09年12月に初めてハルゲイサ(ソマリア北部、ソマリランドの街)に行きました。
●叔母がソマリアで有名な歌手だったとか。
K:70年代から80年代にかけて、ソマリアで一番と言って良いぐらいの歌手だった。Magoolって言うんだ。(78年の「ワン・ラヴ・ピース・ コンサート」で、当時のジャマイカの首相、マイケル・マンリーと、ジャマイカ労働党のエドワード・シアガ党首をステージ上で握手させた)Bob Marleyのように、91年に、ソマリアの大統領だったシアド・バーレ(Mohammed Siad Barre)が追放されたあと暫定大統領になっていたアリ・マハディ(Ali Mahdi Muhammad)と、最大の武装勢力を率いていたアイディード(Mohamed Farrah Aidid)将軍の手を繋がせた、なんてこともやりました。
●『トルバドゥール』はエチオピア音楽をサンプリングした曲が多いですね。
K:「ABC's」は、Mulatu Astatkeの曲からサンプリングしています。「Dreamer」「I Come Prepared」「Somalia」「America」「15 Minutes Away」にもエチオピア音楽をサンプリングしています。メロディの構成とか、ソマリアの音楽にとても似ている。言語も、ソマリ語とエチオピアのオロモ語は近いです。ただ残念なことに、エチオピア音楽は"エチオピーク"のシリーズなどで残されたけど、ソマリアの音楽は内戦のため残されなかった。
 
●"エチオピーク"のシリーズは主に70年代の録音です。ソマリアにも、70年代には同じような時代があったということですか。
K:そうです。ソマリアはエチオピアよりずっと人口は少ないですが、昔は、ナイトクラブなどに豊かな音楽シーンがありました。むしろソマリアの音楽がエチオピアに影響を与えていたと言えるのではないでしょうか。
●エチオピアはソマリアに空爆してるし、ソマリア人のエチオピアに対する感情は悪いと思っていたのでエチオピア音楽をたくさんサンプリングしているのは意外でした。
K:じつはそうなんです。ソマリア人はエチオピアのことを良く思っていません。『トルバドゥール』をレコーディングしているときも、エチオピアはソマリアに侵攻してきました。「America」という曲で、僕はTelahoun Gesseseというエチオピアの歌手の曲をソマリ語で歌っています。そこにメッセージを込めています。
●Nas & Damian Marley の出たばかりのアルバム『Distant Relatives』で2曲、「Tribal War」と「Africa Must Wake Up」が feat. K'NAANですね。
K:これはもう3年ぐらい前にダミアンと一緒に作っていた曲。エチオピア音楽のサンプリングをしたりして。NasとDamian Marleyが、僕のインスピレーションがアルバム作りに大きく寄与したという話しをHardnock TVで喋ってくれている映像があります。
●「Wavin' Flag」はたくさんヴァージョンがあります。ハイチ地震のチャリティとして、Avril Lavigneほか多数が参加したYoung Artists For Haiti名義で出た「Wavin' Flag」もありますね。
K:Pink Floydの『The Wall』(79年)のプロデューサーだったBob Ezrinから電話がかかってきて、アメリカではハイチ救援のために「We Are The World」が歌われているから、カナダでは「Wavin' Flag」をやろうって言ってくれたのです。
●「Wavin' Flag」のCelebration Mixは、ワールドカップ用に作ったわけですか。
K:ワールドカップといえば、パーカッシヴで多くの人がチャントしているような感じを連想したので、こういうヴァージョンになりました。
●さらにCelebration Mixにもたくさんヴァージョンがあります。そのうちのひとつに、F伺獅tィーチャーしたのがありますね。
K:F伺獅ヘ、フランスで活躍しているSa病n Supa Crewから独立したマリ出身のラッパーです。
●日本人のAIとやった「Wavin' Flag」もありますね。
K:相談しながら別々に録音して、音声ファイルをやりとりして仕上げました。
●13歳でソマリアを脱出したとのことですが、おそらくほとんど脱出できなかったであろう当時の友達のその後は判りますか。
K:多くの人が亡くなってしまいました。何人かは悪いグループに入っているようです。
●あなたがソマリアに残っていたら海賊になっていましたか。
K:僕はリーダーになる気質があります。海賊のリーダーになっていたかもしれません。でもたぶん、もっとポジティヴなことをするリーダーになっていたんじゃないかな。
●そもそもK'NAANとは、どういう意味ですか?
K:ソマリ語で"旅人"という意味です。
 

「The Dusty Foot Philosopher」
K'NAAN
[Interdependent Media / IM1052]
インタヴュー内でもピックアップされた「Soobax」などを収録した2006年作品。



「Troubadour」
K'NAAN
[Universal / UICA-1055]
世界的に話題となった2009年の出世作。今年6月に「Wavin' Flag」の別ミックスを加えたものもリリースされた。



「Distant Relatives」
Nas & Damian "Junior Gong" Marley
[Universal / UICT-1056]
「Tribes At War」「Africa Must Wake Up」といった重要曲にK'NAANが参加。

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