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CHRISTOPHER MARTIN
 
Text by Natsuki Toi
 

5年前、ジャマイカ中の注目を浴びてスターへの道を約束されたティーンネイジャーだったChristopher Martin。じっくり時間をかけて世に放つ、挨拶代わりのデビュー盤は、精力的に新譜を出しているKohashi Haikyuよりリリース。ちょっぴり大人になった彼の言葉をお届け。
 
 ジャマイカのTV番組『ライジングスター』といえば島中を夢中にさせ、社会現象になるほど人気のある、いわば『スター誕生』的なオーディション番組。
 Ladenや今年ペントハウスからデビューを果たしたRomain Virgoに先駆けて、2005年に優勝を掴んだのが、このChristopher Martinだ。国民総(自称、志望)アーティストといっても過言ではないジャマイカ、しかも先進国とは違って将来の選択肢が限りなく少ないこの国において、こうしたTV番組に対する注目度は半端なしに熱く、そしてもちろんその競争レヴェルも掛け値なしに高い。日本のアイドル・グループのメンバーを選出するようなオーディション番組とは訳が違う。
 
美声、たしかな歌唱力が最低必要なのはもちろんのこと、大衆にアピールし、それを魅了するアーティストとしての資質、タレントを兼ね備えたこの若きシンガーはしかし、オーディションを受けた最大の目的が「大学進学の学資にあてる優勝賞金」だったというのだから驚いてしまう。
 狙いどおりの優勝によって、島中の注目、祝福と賛辞、羨望、そしてお目当ての50万ドルを手にしても、決してハイプになることなく、コンスタントにリリースを続ける一方きっちり大学にも進学して経営学を学び、それから5年後卒業を迎える今年に、ついにデビュー作を出すことになった。
 それにしても前述のRomain Virgoも学生とシンガーの両立を果たしているし、この真面目・堅実派ニュー・ジェネレーション達と、いま島中を騒然とさせているようなゲットー地区出身のギャングスタ・アーティストとの陰陽の対比があまりにも凄い...のは、さすがジャマイカ。
 さて前置きが長くなってしまったが、まだ青っぽいキュートさが滲むその歌声が魅力のChristopher Martinはどんな人なのかというと...
「気楽で、のんびりで、謙虚な若者かな。サッカーとスピード運転と女の子、それにジョークが好きさ。案外、家庭的でもあるんだよ」とのこと。
 本作でもDemarco率いるStar Kutt制作のヒップホップ・トラックに巧みに絡んでみせたり、R&B調のチューンなどはその声質が似ているところもありChris Brownを彷彿とさせるような曲もあるが、影響を受けたアーティストというと...
「音楽的な影響はスティーヴィ・ワンダーとサム・クックの2人から受けたよ。サム・クックは"Oldies but Goodies"と称されるように、オールド・スクールなラヴァーズでソウル・ミュージックの人だし、スティーヴィ・ワンダーはR&Bってジャンルを代表しているからね。僕の父親が音楽好きなせいもあって、他にも色んなジャンルやアーティストから影響を受けたな。ジャンルなら、父も聴いていたカントリー&ウェスタンやラヴァーズ・ロック、アーティストなら、ガーネット・シルク、ボブ・マーリー、デニス・ブラウン...。良い音楽環境で育ったなって、心から思うよ」
 
「ラヴァーズ・ロック、ダンスホール、R&Bとヒップホップのフュージョンだよ!」と自身でいう今作に、参加しているプロデューサーはRobert Livingston(Big Yard)、Arif Cooper(Fresh Ear)、Christopher Birch(Birchill)、Rennaissanceら現行シーンの大御所から、若手のNotice Production、前述のStar Kuttや日本のRockers Islandから結成されたプロダクション、Gachapanなど実にヴァリエーションに富んだ布陣。代表的なヒット曲「Jamaican Girl」は80年代のトラック"Solomon"使いのジャメーカン・ギャル・アンセムで、北海岸の美しく陽気なカリブ海をイメージさせるようなスタンダードなレゲエ・チューン。基本はしっかり抑えつつ、Busy Signalとの「Galis」では最新のダンスホール・トラックを乗りこなし、Ce'ceilを迎えた「Love You Baby」では甘いベイビー・ボーイぶりを発揮。その他客演も、尊敬しているという所属レーベルのドンShaggyを始め、Assassin、D-Major、Mr.Easyなど、デビュー作らしく攻めの姿勢で音楽に取り組み、ポジティヴな意味において囚われのない自由さとフレッシュネスを武器に「This is Christopher Martin!」と、イマの力量を見せつけ、未来のポテンシャルを十分に予感させる内容に仕上がっている。
 
今後のChristopher Martinの目標は?
「音楽で成功し、世界中に僕の音楽を届けること! どこのエリア、どこの国でも、"Christo-pher Martin"って言えばそれが誰だか分かるくらいにね。Bob MarleyやUsain Boltと言えばジャマイカが思い浮かぶように、ジャマイカが生んだアイコンとして、自分の家族だけでなく国の代表になりたいと願っているよ。僕は国旗を掲げたいんだ。そして大きな成功を収め、他のアーティストのための入り口を切り開くこと。レコーディング・スタジオを作り、新たな才能を発掘したいな。そう僕のボス、Shaggyのようにね」

 

"Christopher Martin"
Christopher Martin
[Koyashi / KHCD-026]

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