(U KNOW)What the deal is
なんとも不吉な地球です。アイスランドの火山の噴火にはじまり、メキシコ沖での石油流出、昔なら飢饉が起きる前兆な訳ですよ。これをネタにまたどっかの種会社がのさばらないといいのだけど。
NYのタイムズ・スクエアの爆弾騒ぎに便乗し、社長...失礼、市長ブルームバーグがロンドンに視察に行った。ロンドンが誇る市内中のサベイランス・カメラ、つまり監視カメラの仕組みを見学という訳なのだが、そのシステムは市内の全てを監視出来るとうたわれており、普通に外出すると約300のカメラに撮影されるとされる。正にビッグ・ブラザーは英国ではじまっている。時としてパラノイアの材料としてシステムが利用するテロの脅威は、どこまで信じてよいのか分からないが、プライヴァシーを失うのと、システムになんらかの監視をされるのは、生きた心地がしない?
●今月の解散劇
とはいっても全く穏やかな解散であるのだが、最後のアルバム『Left Back』からのふさわしい一曲、「カーテン・コール」を引っさげリトル・ブラザーがツアーを行っている。NYの日程が5/11メリタイム・ホテル内のヒロで、地味な客層と事情通が集まった。グールーの死を偲ぶ一瞬もあり、リアル・ヒップホップをうたうクラウドの行き場がない?
●今月のジャム
イーヴルDとブギー・ブラインドのギグがダウンタウンはピラミッドで行われた。ラップトップでプレイする二人を見るのは複雑だが、 95年から、ほぼ同じ選曲じゃないかと思うD氏のプレイと、72年から現代を駆け巡った様なセットのブギー氏は、DJ道を考えさせられる対照的なものだった。元々、NYの人気DJは、決して玄人向けではなく、クラブ・プレイという点では、コーニーというか、ベタをやらなければと考えるDJが多かったが、スタートは飽くまでも実験と、意外性である。最近、家の近所でレギュラーをやっているヴェテラン勢に言ってやりたい事だ?
●今月のコラボ
結局、前作も泣かず飛ばずのナズがデミアン・マーリーとのコラボを5/18に本国でドロップ、同時に全米ツアーの日程も発表。アルバムにも参加しているナイジェリア出身のK'naan、なぜかこのアルバムのコンセプト=アフリカン・ルーツにほど遠いジョス・ストーン、スティーヴン・マーリーも参加するようだ。一夏かけて、西海岸を皮切りに東にゆっくりと移動するという最高のツアーになりそう?
●今月の引っ越し
長い間、ダウンタウンのAPTの月曜のパーティの顔となっていたボビ−ト・ガルシアが、APTの閉店の為、5/3からスパニッシュ・ハーレムと呼ばれるアップタウンの東側のカマラダスという店でレジデンシイをはじめた。正に趣旨と場所がはじめて合致した感だが、遠いなあ?
●今月の謎
同じ日にハーレムの書店ヒューマン・ブックストアになぜか女優、パム・グリアが入場料を取って講演を開いた。町起こしにやっきとなっているハーレム・ワンストップという機関が企画したらしいが、こっちの方が興味深い。若い読者の為にパムのプロファイルを書こうと思ったけど、ググレよ?
●今月のトリビュート
先月ガンで急死したグールーのトリビュートと、彼の息子へのベネフィットをかねたイヴェントが5/18に行われた。これを書いている時点のゲストはジェールー、ブラック・シープ、ブランド・ニュビアン、ローヤル・フラッシュ、マイク・ジェロニモ、AGが予定されている。DJは、グールーのソロでのDJであったDoo Wopなどが名を連ねている。なぜかプリモが参加しないのは、ジェールーとのビーフがまだ影響しているのか? ヤクザでさえ、葬儀ではかち合うってのにね?
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]