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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
 
ALBUM
 
1. Rise Up / Cypress Hill (Priority)
プライオリティの事実上のボスSnoopが直接契約した第1号、6年ぶり8作目。今回はDJ Muggsが1歩引き、指揮を執ったのは事実上のリーダーB-Real。これが功を奏したのか風通しのいい内容で、新生Cypressを打ち出す事に成功。MuggsはDJ Khalilと日本盤ボートラを含む3曲を制作。その他の大半はB-Realが関わり、RageのTom MorelloやMike Shinoda、Daron Malakianらロック勢に、Pete Rock、Jim Jonsin、Jake Oneらも参加。アップテンポのスタジアム・チューンが目立つ、重厚かつド派手な1枚に。Marc Anthony、Pitbullとのラテン・アプローチも光っている。 
 
2. Wu Massacre / Meth, Ghost, Rae (Def Jam)
Wu-Tangメンバーの中でもトップ3の人気を誇る彼らのコラボ作。「W」を「3」に見せるコンセプト(?)らしいが、"三つ巴曲"はスキット3曲込みの全12曲中、4曲のみで登場回数にバラつきアリ。それでもRZAを筆頭にMathematics、BT、Ty Fyffe等の繰り出す"過去曲の引用"も効いたトラック群、そして活き活きしたパフォーマンスには抗い難く、「Criminology」のニュー・ヴァージョンや、故MJとの掛け合い(?)となるRZA制作の「Our Dreams」等のキー・トラックもファンには嬉しい仕上り。A&RはGhostが担当しDef Jam 2000キャンペーンを思い出すアメコミ・ジャケに。
 
3. Battle Of The Sexes / Ludacris (Universal)
メジャーでのソロ通算7作目。「男と女の主張・見解の違い」というテーマで、Luda率いるDTPの紅一点だったShawnnaとのコラボ作を想定。が、彼女のクルー離脱後に切り替えられ、Diamond、Trina、Eveの参加した「My Chick Bad (Remix)」やLil' Kim、Nicki Minaj、Monica等、女性陣を配した曲が半数近くを占める内容に。男性では、Trey Songz、Flo Rida、Gucci Mane、Ne-Yoらのパートもあり、主役が本来得意とする下ネタ路線を時にはマジに展開。The Legendary Traxster、Neptunes、Khao、The Runners、Bangladesh、Swizzらのプロダクションもあり、R&B作に近い馴染みやすい痛快娯楽作。
 
4. Land of Make Believe / Kidz In The Hall (Duck Down)
新生RawkusからJust Blazeの後押しで登場し、08年には『The In Crowd』も発表しているMC=Naledgeとプロデューサー=Double Oからなるデュオの3rd。ヒップスター振興地の一つであるシカゴのアーティストらしく(?)、今回はエレクトロなシングル「Flickin」、MC Lyteとの「Juke-box」等、これまでの90s憧憬・継承路線から大きな変化を遂げている。プロデュースは髪伸ばし中のDouble Oで、他ゲストにはMarsha Ambrosius、Amanda Diva、Chip Tha RipperやJust Blazeまで。この種のニュータイプの中でもかなり刺激的な作品!

 
5. How We Do / L. (HHR)
「L.」と聞いて、"ああ、あの..."と即答できる人は相当のヘッズ? そう、あのブラジリアン使いの涼しげな「How We Do」の彼である。J-Liveを始め、NYを中心とした新しい才能を紹介してきたDJ Spinnaが、名作『Mix Tape 1』に放り込んだ事で話題となり、「Montara」ネタの「Check The Flow」、「May I?」等のアナログ・リリースのあった彼の初のアルバムが登場した。Laura Greene「La La La」のコーラスをサンプリングした「You Love Me」他、J-Funkと彼自身が制作した未発表の5曲の完成度も高く、スムース・オペレイター系のラップを含め黄金時代にタイムスリップしたかの様な充実感が得られる。
 
6. ストリート文学 / DEN (Legendary)
Legendaryを率いるDENの2nd。渋谷夜曲を自分目線で綴る様は基本不変だが、より複眼的でトータルに世界を見ている立ち居地は本作でより明確になった。自身が主宰する『A+』のテーマにもなった「Resurrection」もスチャダラパーANIと、連続出場の宇多丸との新版から、PVも入ってるSpina B-iLL、B.Dとの「Cuz I'm Japanese」、THE LEGEND$コンビ曲、リュウドウと帰国したZorroとの「真夜中のZoo」、DJ TY-Koh、Vikn、L&J、十影に、『A+』で5ヶ月連続勝ち抜いた新鋭Yuki a.k.a. Jutoとマイクを回すLucha制作のタイトル曲までバラエティに富みながらも芯の太い内容に。
 
D.O.P.E. / "E"qual Presents Dope Boys (Tearbridge)

名古屋のレジェンド "E"qualが音頭を取り、大注目のCity-Ace(Bigg Mac Works)に、Ballersの中核メンバー、G.B.L.(10C、Stealerのコンビ)、Deep Kavar(Youngest In Charge出身)で構成された東海エリアを代表する新勢力の初アルバム。ストレートなヒップホップ・マナーに則ったDopeさ加減で魅せる彼らは、"E"qualを筆頭にDJ Ryow、Natoといった名古屋のビートメイカーから、DJ Taiki、Buzzer Beatsらと共にそのBadなアティチュードを露にする。千葉から京都までを繋いだ黄金の7人が参加した「City Circuit」も圧巻!
 
8. Lovin'/ L-Vokal (Matenro)
歯に衣着せぬ物言いでヒネったライムを武器に真っ向勝負する男の3rd。その主題は物議を醸したデビュー作の延長線上にある"愛のあるDiss"、いや"社会への警鐘"となるもの。VerbalとKrevaとそれぞれのスタンス、スタイルでへイター達を斬り、Kダブと"ヒップホップに出来る事"=声教育を改めて説き、Seedaとは"頭を下げる事"をテーマにフリートーク、秋田犬どぶろく、Mega- Gとは時に暴力と化す言葉について語る彼はやはりズバ抜けたセンスとスキルの持ち主だ。盟友Doc-Deeらの新種トラック群との相性も良い。「Fakeな愛じゃ絶対見えない!」
 
9. Ramb Camp / Ramb Camp (File)
福岡天神から「黒いヴァイナルみたいにザラついた街の音」を吐き続ける彼らの約5年ぶりのフル。Olieve OilとのEl Ninoでの活動他でも知られるFreezとIll Slang Blowker出身のBig Faceの2MCに、前作EPにも参加していたトラックメイカー、バックDJのDJ Makotoのトリオ編成で活動する彼らは、ここでも絶妙にコントラストの効いた2MCの掛け合いとソウルフルな王道サウンドで、その燃え滾る想いを直球で刻み込む「Livin' Truth」スタイルを貫く。K-Bomb & Jube、B.I.G Joe &JFK、茂千代ら猛者との共同戦線の熱量も凄い。
 
10. Riz0. Break Boy / 環Roy (Popgroup)
「予定調和を断ち切る喋り手」、"少年モンスター"を通過したBreak Boyの2ndが登場。型に捉われない感性と、岡本太郎の後光が見える様なクリエイションへの限りなき情熱、そして小箱のコアなイヴェントから異ジャンルの大ステージでも確実に沸かすマイクコントローラーとしての力量を持つ彼は、三浦康嗣(ロロロ)、Punpee(PSG)、Ryo Arai、Olive Oil、Himuro Yoshiteru、Fragment、Bun、Conflictといった多彩なトラックメイカー陣が揃った本作でもあくまでも本音でハードにスピットする。チャボの名曲 「BGM」を現代のJ-Rapに置き換えた曲や、七尾旅人とのコラボ曲も眩しい。
 
11. おみゆきさん / おみゆきChannel (Mary Joy)
デッカくそびえる鳥居がシンボル...山梨県笛吹市一宮町出身のstillichimiyaのサウンド・ブレイン=Young- G&Big Benの初アルバム。"繋がる交わる"地元の祭「おみゆきさん(神様)」をテーマに集まった衆も実に色とりどり。田我流、MMMらstill-ichimiyaの皆々衆は勿論、鎮座ドープネス、Norikiyo、Bron-K、KYN、Monju、Chiyori、Candle、Meiso、The Flex Unite、Gebo、ひらちん等、ゲスト達と奏でたスピリチュアルかつ下世話な"朝まで生ラップ"の宴は興味深スギで、プリミティヴな音もオモロイ限り。チャンネルはそのままで...。
   
12. Unpopular-在日外国人奇声集- / Axis (Libra)
最強レーベルLibraの新譜は英語、日本語、ベンガル語の3言語で毒舌の限りを尽くす在日インド人ラッパーの初アルバム。キャリアは約15年、Kool G RapやBiggieをアイドル視し、日本語でも速射・連射が可能な彼が「世界中の都市伝説やタブーまで無修正版で暴露」。Malik、Val、DJ Baku、DJ Tagayaや本人によるDopeなビートに乗っかるのは、彼の目に映る歪んだFuckな現実と理想郷を、歴史観と社会性に基づく豊富なボキャブラリーと巧みな比喩表現でのドスの効いた奇声の結晶。ゲストがDragon1とPrimalのみ、というのも潔い。

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