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MUSIC TO READ
PICKUP BOOKS - I - こだま和文

Text by Hajime Oishi / Photo by Sho Kikuchi
 

 『スティル エコー 静かな響き』『ノート・その日その日』に続く、文筆家こだま和文の著作『空をあおいで』。本書は、雑誌『すばる』に連載中のエッセイを中心に、『スティル エコー 静かな響き』全編と『ノート・その日その日』の一部で構成。行間に静けさが滲む、実にこだまらしい内容だ。
   
こだま和文(以下K):(この本では)ちょっと音楽から距離を置きたかったんですよね。『すばる』の連載は、文芸誌としてのカラーもあるんで、書きたいことを書かしていただこう、と。それをまとめたかったんですね。ただ、"テーマがない"っていうのは大変なんです。僕の音楽はほとんど歌がないから、自分のなかの言葉を書けるチャンスがあれば書いていきたいと思ってるんですけど、文章でこれこれを書きたいという思いはないんですよ。
 
●こだまさんの場合、言語化することで自分のなかの思いを見つめ直そうとしているようにも思えます。
K:それは過去2冊出して感じましたね。過去の記憶や事実を発表することで、それを"置いていける"というか、次にいけるんですね。語弊があるかもしれないけど、"捨てられる"というか。
 
●江戸アケミさんや佐藤伸治さんのように亡くなられた方に捧げる文章もありますが、言葉で喪失感を乗り越えていこうとする思いも感じられるのですが。
K:誤解があると困るんですけど......お葬式って、亡くなってしまった本人のためじゃなくて、残された人のためのものだっていう話を聞いたことがあるんです。残されたものたちが気持ちにケジメをつけて、次に生きていくためのものという意味で。死んだ人のことを書くのも----もちろん弔いの思いもありますけど----自分が明日生きていくためのものなんだと思う。あと、書かずにはいられなかったんです、ここに入っている文章は。そこそこ生きてくると、将来がどうこうっていう考えじゃなくなってくるんですよ。自分より若くして亡くなった人も多いですし......。キザに言うと、次のライヴ1本のために生きていこう、そんな感じですよ。
 
 結構ギリギリのところでやってるんです、文章を書くのも、音楽を作るのも。ある程度いろんなことをやってこれたからでしょうけど、どこかにすべてを終わらせてしまいたいような気持ちがある。でも、なぜ書くのか・なぜ演奏するのかというと、読んでくださる人がいて、聴いてくれる人がいるから。
 
●こだまさんにとって、"日々の暮らし"というのは重要なテーマですよね。僕なんて、ここに書かれているようにちゃんと味噌汁を作ったことなんてないですよ。
K:ただ、ここに書いてあること以外は本当にトンでもないんですけどね(笑)。そういう部分も書くべきなんでしょうけど。"お前、本当に書くべきことがあるだろう?"っていう思いは常につきまとってる。
 
●あらゆる葛藤(Struggle)とどう向き合うか...。
K:そう、そこは出ちゃってると思う。
 
●でも、それはある種の人には救いになりますよね。この本も、読後感は爽快なものですし。
K:それは嬉しいですね。ものすごく嬉しい。そりゃ願わくば、自分が作ったものに触れた人がイヤな気持ちにならないほうがいいし、できることならプラスになって欲しい。ロクでもない自分だからこそ、少しは役に立ってもいいだろう?っていう気持ちはありますよね。ハイチやチリに行って何かできるわけじゃないけどさ......(と、2本目の缶ビールを開ける)。
 
 

 
【Information】
●「こだま和文 インストア・ライヴ&サイン会」
5/15(土)19時 タワーレコード新宿店
●「こだま和文×西加奈子 トーク・セッション」
6/12(土)19時 ジュンク堂書店池袋本店
[問]K&B パブリッシャーズ/www.kb-p.co.jp

 

"空をあおいで"
こだま和文 著
[K&Bパブリッシャーズ]

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