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MUSIC TO READ
PICKUP BOOKS - III - 大石始

Text by Hiroshi Egaitsu
 

 本誌の他にも多くの音楽専門誌やカルチャー誌、CDのライナーノーツなどを手掛けている大石始が、関東地方のダンスホール・レゲエ・シーンの黎明期の物語を綴った『関東ラガマフィン』を完成。当時を知る当事者34名に取材し、その証言のパズルを1ピースずつ丁寧にまとめあげた力作だ。
   
今から3年前、2007年から1年ぐらい日本を離れていたんですが、帰ってきてフリーのライターを始めて、新橋の飲み屋でこの話をしたのが......2008年の秋ぐらいに構想があって、1年半ぐらいかかりましたかね」
 
 ライター/エディター/選曲家の大石始氏の著書『関東ラガマフィン』は、関東ダンスホール・レゲエの歴史を数多い人々に会見することにより、紐解く本だ。
 「まず個人史、レゲエ以前から、を証言者の方々に聞いていって、それが積み重なっていったときに、そこに共通する何か、共有されている何かがあるときに、ここが繋がっているんだ、と見えてきて、そこでインタヴューさせていただいた方にはもう1回、そこで連絡をとったり。最初にインタヴューさせていただいたのは石井(志津男)さんだった、と思います。当然、色々な方にお話を伺うと当然、予想と違ってくる箇所がでてくるんですね。『大石君が言っているパーティもあったけど、こういうパーティもあったんだよ』とか」
 「興味深かったのは、東京の80年代後半のシーンではファッション系、というか、アパレル系の方々と繋がっていた、というのは、今のダンスホールのファンにはあまりイメージできないというか、驚くようなことだったのかな?と思います。ダンスホールの捉え方、がいまと違っていたんだな、と」
 
 すなわち関東におけるサウンド・システムという場の歴史、そしてむろん、クラブという場についての歴史を紐解いていく作業でもあったろう。
 「当時を知っている方には説得力が欠けると思う方もいるかも知れません。単純に僕がダンスホールという音楽が大好きで、今そういう音楽がかかっている場所で遊ばせてもらって、それが自分のなかで糧になっている部分もあり、刺激になっている部分もあり、そこがスタート地点になって、どこがルーツをなっているのか、という、実った果実がどうやって育ってきたのかな?と調べる作業だったんです」
 
 本を通してもっとも印象的なのは、大石氏の明るい視点である。これはレゲエという音楽の魅力のひとつに近い。
 「レゲエを聞き始めたのは中学生のボブ・マーリィとかなんですけど、ダンスホールは、テクノ、ジャングル、ハードコアのパーティを行くようになったあとに、そうしたものが総合されたものとして聞こえたんですね。いろいろなものを内包したものとして。また、ジャマイカの社会的な状況を知ったりして、世界の見方が変わった、というのもあるんですね。それは旅の前なんですけど、いろいろな国を経験することによってレゲエっていいなぁ、と思ったりしたんですね。キューバに行ったときに、普通の広場でルンバを演奏している連中がいて、それに盛り上がっている地元の人がいて、それを見ても『昔のジャマイカってこんなだったのかな?』とか連想したり、僕の持つイメージがより広がっていたんですね」
 
 街角の物語に興味を持つ人にもお勧め「関東ラガマフィン」。


 

"関東ラガマフィン"
大石始 著
[Blood]

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