リディム・オフィシャル・ウェブサイト
THE MAZE

DAIBUTSU
XXX F.A.T. - TRIPLE X FRESH ARTISTS' TUNES -
　
Interview by Nobuhiko Mabuchi / Photo by Masashi Sakurai
　

　スタジオではエンジニアとして数多くのジャパレゲ作品が生まれる瞬間に立ち会い、ステージではAlps Bandのベーシストとしてアーティストを支え続けている大仏。その大仏がリディムの制作からミックスまでこなした初のプロデュース・アルバム『XXX F.A.T.』を完成。Rudebwoy Face、Chehon、Domino-Kat、Akaneといった実力派だけでなく、親指Head、Snake Killer、Apolloといったフレッシュな現場直結型アーティストたちとの競演で生まれたモノとは？
　　　
●2001年からオーバーヒート・スタジオのエンジニアを務めていたってことは、00年代の多くの主要作品に関わってきたことになりますよね。
大仏（以下D）：そうですね。学校を出て別のスタジオでアシスタントをやってた頃にオーバーヒートからのHさん（H-Man）のシングルとかLife Styleの１枚目の作品に携わらせてもらってたんですが、ここ（オーバーヒート・スタジオ）に来てからだとHさんの『レゲエ馬鹿道場』がエンジニアとして初めての仕事でした。最近だとMoominのニュー・アルバム『Souls』のミックスも５曲やらせてもらいました。
　
●リズム・トラックの制作はいつ頃から始めてたんですか？
大仏：高校生の頃にサンプラーを買って遊び感覚でやってましたけど、歌い手に渡せるトラックを作りはじめたのは５年前くらいですね。ちょうどその頃に地元の仲間とバンド（Alps Band）をはじめて、そこでリンクした人にオケを渡してって。そっから徐々にって感じです。
　
●初めて世に出た音源は？
大仏：Goyamanって奴の曲で、2007年くらいですね。7インチだけきって、そのA面がArareと親指（Head）の「困っちゃうぜ」って曲だったんですけど...。でも、本格的にトラック・メイカーとしてクレジットされたのは、Pushimの「Dancehall Dynasty (feat. Rudebwoy Face)」からですね（シングル「My Endless Love」のカップリング曲）。
　
●今作『XXX F.A.T.』は、どのようなコンセプトで制作に取りかかったんですか？
大仏：90年代にRankin（Taxi）さんが企画してた"Bad Bad"シリーズのような、いま勢いにのってる次世代アーティストを集めたコンピですね。いつもジャマイカのダンスホールを聴いてるんで、そこから受けたインスピレーションでトラックを作って、バンドでリンクしたディージェイやシンガーに片っ端からオケを渡していった感じです。親指とSnake（Killer）は渡したオケ全部にリリックのせてきたし。
　
●リリックや曲のテーマについて、アーティストに何かお題は出したんですか？
大仏：みんなに共通して伝えたのは、「いま言いたいことを言ってくれ」ってことだけですね。
　
●偽善者に"愛はないのか"と訴えるRueedの「ウソツキ」など、攻撃的なチューンも目立ちますよね。
大仏：この時代にうっぷんがない奴はいないし、キレイごと言うよりもリアルですよね。もちろんラヴ・ソングもギャル・チューンもダンス・チューンも、正直な気持ちって意味では共通してると思ってます。
　
●PVも作ったりとリード曲になっているSnake Killerの「Jesus Love」は、どのように作られた曲なんですか？
大仏：ジャマイカの彼女にラヴ・ソングを書きたいって言うんで、これはSnakeの新しい一面が見れると思ってオケを渡したらすぐ作ってきましたね。オートチューンを楽器として使える器用な奴なんで、曲の世界観が上手く引き出せたと思ってます。
　
●今作には昨年末にYouTube上で勃発したHibikillaと親指Headのバトルで使われた２つのリディムが収録されてます。
大仏：ふたりがクラッシュする前に作ってあったオケなんですけどね。Hibikillaの「Cyaan Believe」と同オケで親指とSnakeの初コンビネーションも録ってるし。だからバトルに使うんならオレは協力するよって感じで。
　
●全面プロデュースした今作を振り返って、改めて感想を聞かせてください。
大仏：依頼した通り、みんな言いたいことを曲にしてくれたと思います。ここまで言っちゃっていいの？ってところまで言うのがディージェイだと思うんで、その辺も聴いて欲しいですね。シーンの中でも、もっとレベルなことを言える歌い手が出てきたほうが面白いと思うし。で、また新しい曲や作品を作っていきたいですね。
　
　
　
- from Featuring Artists -
　
■ Triga Finga a.k.a. 親指Head

　去年の夏くらいにヘコまされてることがあったんすけど、レゲエがあったから乗り越えられたし強くなれたと思うんすよ。そんときの気持ちを曲にしたのが「Be Strong」って曲です。今まではダンスホールとか自分のことをトピックにしてたけど、この曲はちょっと切り口が違うから、男も女も子供も大人も聴けると思う。挑戦だったけど、ショウをやったときの〆になる曲が出来たんで良かったすね。Snakeとのコンビネーションでも言いたいことを曲にしたし、このコンピ自体が若い奴の言いたいことが詰まった作品になってると思います。

■ Snake Killer

　　一昨年の4月にはじめてジャマイカ行って、エルシャ・ビーチでナンパしたオネーちゃんに対して書いた曲っす。オレ、そんときバブリーだったから、けっこう金つぎ込んだんすよ。結果も出して（笑）。で、日本に帰ってきてからも連絡とってたんすけど、やっぱメールとかで繋がってるだけじゃ気持ちが抑えきれないっていうか...。そんな切ない気持ちを書きました。だからリリックが出来上がるのは早かったっすね。このコンピは同世代もいるから負けらんねぇって気持ちにもなれたし、いろんな意味で自分を高めてくれた1枚だと思います。

　

"XXX F.A.T."
V.A.
[OVERHEAT / XQEY-1005]