YOSSY LITTLE NOISE WEAVE
VOLCANO
Interview by Hajime Oishi / Photo by Tatsuya Okumura
元DeterminatiosのYossyとIcchieによるユニット、Yossy Little Noise Weaverの新作『Volcano』がついに登場。過去2枚の同名義のアルバムとはカラーが異なり、バンド編成による躍動感に溢れた今作の内容を2人に紹介してもらおう。
2005年の『Precious Feel』および07年の『Woven』という過去2作品では、エレクトロニカ風の世界観を提示していたYossy Little Noise Weaver。だが、今回はThe K、笠原敏幸、菅沼雄太と共に、ニュー・ウェイヴ風味も香る独自のサウンドを作り上げてきた(しかもほぼ一発録り!)。
「デタミが解散した時にちょっと人間不信になったんですよ。その後、宅録のアルバムを作ったんですけど、2枚目を作り終わった後に欲求不満で耐えきれなくなってバンドでライヴを始めたんです(笑)。人間とやりたくなっちゃったんですね。もともとバンド育ちだから、自然にやっていくとバンドっぽい発想になっていくんですよ。その意味では今回が一番ナチュラル。今までの2枚は......頑張ってた感じかな(笑)。今回はそれが吹っ切れたんでしょうね」(Yossy)
では、『Riddim』なのであえてこんな質問を......。過去2作では"デタミのYossy"というイメージを払拭しようとしていた?
「ああ......そうですね、たぶん。『Riddim』だから言うんですけど(笑)、デタミの解散っていうのはメンバー全員に影響を与えてるし、ウチらも何かを変えようと思って東京に出てきたぐらいだから。ただ、私は十代からロック・バンドをやってたんですけど、今回の曲はその頃のイメージに戻ってる気がする。デタミ以前の自分に戻ってるというか」(Yossy)
「ニュー・ウェイヴ世代なんで(笑)」と話すYossyの音楽的ルーツは、今回Plasticsの「Peace」をカヴァーしている点からも見受けられる。その他にもニュー・ウェイヴ・ディスコ調の曲があったりと、これまでには見られなかったYossyの(いい意味での)吹っ切れ感、開き直りが今作に風通しの良さを与えているのは重要なポイントだ。
また、今作においてかけがえのない魅力のひとつとなっているのが、1曲を除く全曲でYossyが歌声を披露している点。
「たぶん歌いたかったんかな(笑)。ピアノのほうが全然スキルはあるし、インストものをやればみんな納得してくれると思うんですけど、逆に納得されへんぐらいのことをしたれっていう(笑)。なんていうか、初心者感がすごく新鮮だったんですよ」(Yossy)
不思議なのは、宅録作品だった過去の2作品よりも、Yossyの持つ日本的叙情性が如実にあらわれていることだ。
「それはあるな。曲を書いたら全部にあるわ、独特の情緒は。今回はそれが特に出てる気がする。宅録の時は半分オレがやってたからYossyのコントロールが利かないところもあったけど、今回はYossyがメンバーに直接言いながら作っていったから(Yossyのカラーが)よりダイレクトに出たのかも」(Icchie)
レコーディング・エンジニア/ミックスを務めた山口泰、ジャケットのイラストを手掛けたカッズミイダ、2曲で歌詞を提供した山崎円城、そして現在ライヴ活動も共にしているバンド・メンバーや周囲のスタッフ......Icchieいわく「今回は本当にチームっていう感じやな。そこが今までとは違う」というこのアルバムは、そうした人々の輪が作り出すピースフルなムードもしっかりと刻み込まれている。そして、Yossyはそのなかで新たな"歌"を育もうとしているところだ。
"Volcano"
Yossy Little Noise Weaver
[Bus / BUS-004]