(U KNOW)What the deal is
●今月のアート・ショウ
1980年代シーンから大きく変化を遂げて来たリースことトッド・ジェイムスが、NYで初の個展を開いた。会場はプレイボーイ・ビル内にある怪しげなロペズ・ギャラリーで、1/15の初日には多くのファン、新旧のライター、事情通や、早くも世界各国の投資家が訪れた。会場ではバーガー・チェーン店のホワイト・キャッスルのハンバーガーが振る舞われ、居心地の良い雰囲気だった。「Make My Burden Lighter」と皮肉っぽく銘打たれたこのショウだが、出品された内容は2000年に入ってからの作品が中心で、漫画というか、分かりやすいイラストをモチーフにしたものが多かった。旧友のスタック、ノアのTFPクルー、ブラスト1、ウルフや、キオことロード・スコッチがバーの前で若手を威嚇していたのが、変わってねえなって感じ?
●今月のショウ
「エンド・オヴ・ウィーク」というNYでのフリースタイルの企画は紹介済みだと思うが、今月はスペシャルでタリブ・クエリがショウケースを行った。普段より小さめの箱のためより親近感が湧くステージの内容で、この企画をサポートするファンやコンテストに参加しているラッパーたちは、多いに沸いた。トークで、黒人大統領についてや不況で格差が広がるNYを懸念する発言もあり、きとくな存在と改めて感心してしまった?
●今月の集会
そのクエリも関係しているブルックリンの書店、という言葉すら最近めずらしくなってしまったが、グリーンライトというフルトン・ストリートの書店で、ソースマガジンのライティン番だったチノことデヴィッド・ヴィロレンテが監修したピースブックの第二弾の発売を記念したイヴェントというか、パネル・ディスカッションを含んだ集会が行われた。その本でも大きくフィーチャーされているキオ、チノ本人、TC5などが、ライティングの現状、当時のシーンや精神などを熱く語り、ライティングはNYのコミュニケイションの手段であると、改めて感心してしまった?
●今月の集会2
これは全米の各地で同時に行われた集会だが、ディマンド・エイド、ノット・オキュペイションと名付けられたハイチ地震の被害者をサポートする内容で、アメリカ政府も関わっているハイチの現状を糾弾する趣旨であった。1/29午後にブルックリンのダウンタウンで士気を高めた後、ブルックリンブリッジを徒歩で横断するというマーチもおまけにつき、一般の通行人はよく分からなかったようだが、参加した人々は、翌日から違った意識を持ち、我々の日常の生活がどの様な犠牲の元で保証されていて、更にそれがどれだけ脆いのか理解したと思う?
●今月のジャム
「ロウ・ライク・スシ」なる企画が、ロウワーイーストサイドの老舗サファイア・ラウンジで開催されているが、2/8には、DJスピナと弱輩の私が参加させてもらいました。スピナの独特な世界をフォローしていると見たファン達と、多くの邦人も訪れ、和やかな一夜でした?
●今月のアートショウ2
前述のリースと同じ初日を飾ったのだが、ロウワーイーストサイドのインビジブル・エクスポーツでは、NYをベースにしているフォトグラファーのヨーゴ・アレクソポロスの80年代LAのライティング・シーンを捉えたコレクションと、バートン・マッチェン、ステファン・ギルのプリントなどが展示されている。ニュー・オールドと銘打たれたこのショウだが、残念ながらコンセプトははっきりしないショウで、マッチェンのウォーホールばりのプリントは、何も新しくなく、なぜそれにギルとヨーゴの写真が一緒に展示されているか分からない内容だった。しかしながら、ヨーゴの写真は粗雑ながら、当時の雰囲気を収めたものとなっていて、誰かの家で思い出話を聞きながらスナップ写真を見ているという趣向だったと思う?
●今月の写真
Reas Show Photo by Silent Assassin。刈り上げの人はMCサーチじゃないよ。
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]