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t-Ace
REASONABLE DOUBT in SHIBUYA
at CLUB ASIA - JANUARY 24 2010

 
Text by Takashi Futatsugi / Photo by Masashi Sakurai
 
t-Ace with Alps Band 

 
 孤高の華=t-Aceが地元水戸で仲間達と築き上げてきた"他のどこにもない味わいのライヴ・イヴェント"、その記念すべき10回目が、さる1/24に渋谷Club Asiaで行われた。Alps Bandを従えてトリを務めたのはいうまでもなく、"その男"だった...。
  
 まず最初に個人的な体験談を。t-Aceの楽曲を初めて"しっかり"と聴いたのは、『The Truth No.X』('05)から。それ以前にも当時マネージメントしていたアーティストから、そのミックス・テープ・シリーズの何作かを受け取ってはいたのだが、完全な自分(達)の音源と化していたその10作目で遅ればせながら、彼の"芯のある男ならではのカッコよさ"と"哀愁漂う孤高の世界観"に気付いたのだ(特にクロージング・トラックの「Promis」〜旧ヴァージョン〜にヤラレた)。以来その音源、クレジットやライヴ・スケジュールに眼を光らせる破目になるのだが、Gocci、Tad's A.C.、Woods-manとのユニット=Slash Spit Squadronのアルバムや、同作にもビートを提供したMuroの『Tokyo Tribe 2』('06)でのソロ参加曲「Trail Blazer」などを経ての、『The Truth』シリーズの11作目『Heatbluce』('07)、そして'08年本誌アワードでも選出された『孤高の華』の全2集と、特にこの数年間の充実したリリースは十分に光っていたと思う。
 
しかしながら、彼にとってそれらは「あくまでも自分(の存在)を知ってもらうため」の"大切な通過点"に過ぎなかった訳で...。そして、グラウンド・ゼロ状態からLTSら先輩が耕し、自身もその草の根運動に深く関わってきた地元=水戸という確かな土壌で3年もの間、クオリティを落とすことなくキープしてきたイヴェント『Rea-sonable Doubt』を、そのまま渋谷に運んでくる、という今回の"あまりにもストレートな試み"も、どうしても自分の目で確認しておきたくて、気が付けばそこにいた、のである。Woodsman他のライヴ・アクトや、迫力のダンス・ショウケースを挟んで、Alps Band(本誌読者には説明不要だろうが、ベース担当は今注目のレゲエ・プロデューサー=大仏。彼はまたt-Aceの新作のRECエンジニアでもある)が登場。重厚なイントロが鳴り響き、「Ka-f-Ka」のあの印象的なサックス・フレーズと共に舞台に現れた"主役(飛べないカフカ)"は、フロアにいる全員に向かって語りだした。
 
「たとえ 灰色の空だとしても 俺なら唾吐いてGet Ya Hands Up!」。そのフレーズを待ち構えていたように無数の手が挙がる。しかし、その声の主は"盛り上がれ!"などと強要はしない。そう、彼のラップの特徴・持ち味は、大雑把に言って、フロウがどうという以前に「発音と意味が明瞭」な一本勝負のヴァースにこそあり、あくまでもフックがメインでその間を埋めるヴァース......というような発想が全くない点にある。だからこそ、フックで盛り上げてノリでメドレーに持っていくのではなく、どんな状況でも"キッチリと曲を聴かせる"ようなライヴが出来るのだろう。それがCDであっても目の前で直接語りかけられているような気分になる......そんなガチなラップがすぐ目の前で展開されるのだ。感じ入らない訳がない。そして、大切なツレに捧げた「Dear...」では背後のスクリーンにその仲間達との写真(結婚式他)も次々と映し出される。
 
そこからの「Promis」、ビートレスの独白「Dead The Past」、全てが美しい「Stay With Me Mama (Remix)」の連続には心底痺れた! また、そして、バンド・セッションの意義も思い知らされた次第。"今日、Nike履いてるヤツ!"という前置きから、それを履いてバスケに明け暮れた日々をレミニスした新曲「My Nike」(先の「Trail Blazer」とセットで聴いて欲しい)、そして今回のショウの唯一のゲストであるLunaのアカペラから、Muroプロデュースの「Over The Day」が。先行配信されて間もないこの新曲もすっかり浸透している様子。「こんな時代に後ろ向くのは簡単だよ。今日から、今から前向いていこうぜ!」という最後のメッセージからの、次の「手紙」もかなり効いた...。アンコールで披露した「Phan-tom〜Piano Version〜」では、背筋を伸ばして空いた左手でリズムを刻みながら切々と語る姿がピンスポットで真上から照らされる。その佇まいは、イヴェント・タイトルの由来となった"あの男"をも髣髴させるものだった。
 
真の男気。そして過去の清算。その時、背中の翼が見えたような気がする。「奪って帰る オレの街へ それまでソコで見ていてくれ」。その最後のフレーズ(約束)の後、ステージから去る彼に向かって"もっと!"という声があちこちから飛んだのは言うまでもない。しかし、命を削った詞をベストなテンションと構成で1時間近くも吐き続け、"まだまだ、これから! ここで満足してねえから"と自らにハッパをかけた彼は、普通なら聞こえてない振りをしてもよさそうなその場面で笑いながらこう言ったのだ。"今日は、無理だよ..."しかし、水戸から駆けつけたファンだけでなく、かつて彼が憧れたあの街のファンにも、"届いた"はずだ。しっかりと。
 「1人でも行く もうオレの番だろ?」
 
 
 
94Ghost&Clown / Dear'Bro / Bad Foxy / DJ Shinji - (L→R)

Lips / Serendi-Pity / T-P-M / Woodsman / Zillteach - (L→R)

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