SHIBA-YANKEE
UNLIMITED VELOCITY
Text by Thander Killa
正に言葉のマシンガン! ベイリーでハマり、パパ・サンの超絶早口に影響を受けたというその早口スタイルは、もちろん健在。「溜まりに溜まってた膨大な作品の中から、バランス良く厳選」したと自身も語る初の(!)フル・アルバム『Unlimited Velocity』をリリースしたShiba-Yankeeに話を聞いた。
ミニ・アルバムだったデビュー盤『Buffalo Express』から4年振り、遂に待望のフル・アルバム『Unlimited Velocity』、直訳すれば"無制限速度"(!)をリリースするShiba-Yankee。今やレゲエ界随一の早口スタイルと、独自の世界感を持つリリックは、この4年の間でどんな進化を遂げているのだろう。
「リリックの組み立て方や韻の踏み方なんかは基本的に変わってないですね。前作は収録曲数が7曲だったから曲を選ぶのも大変だったけど、今回は15曲とたっぷりだから、キャッチーなものからコアなものまで盛りだくさん。あえて前作との違いをあげるとすれば、音の厚みかな? 前作は早口の疾走感を出すために、ヴォーカルのマイクはサビ2本、バースは1本で録ったんだけど、 今回はかなり気合い入れて、メインで2本、ロウで2本入れたり、他にも自分でコーラスやハモリも頑張ったせいか、かなりワイド感が出て聞き易く、音圧もいい感じです」
Shiba-Yankeeと言えば早口はもちろんだが、「ありきたりは好きじゃない」と語る通り、いわゆるレゲエ言語に頼らない独特のリリックには相当のこだわりがあると知られているが、今作では曲数が多い事もあって更にその多彩さが際立っている。特にシリーズにもなっている「ガラクタな街〜通勤電車編〜」や「婿殿ブルース」など、他のアーティストならまず選ばない様なトピックをネタにしているのも特徴だろう。
「常に、『世の中、綺麗ごとばかりじゃない』というのが念頭にあり、皮肉の美学を追求してるところが多々あるからね (笑)。そっちの方が言葉もリアルに映えるし、画期的なライムも踏める。リリックは自然に言葉を詰めちゃうんで早口になりがちだけど、それは特別意識してる訳じゃない。それよりも心掛けてるのは、ライムとフロウ。早口は訓練次第だけど、この2つだけは自分の中から滲み出てくるものだから、絶対に譲れない」
「今回は各トラック・メイカーにもかなり気合入れて作ってもらってるので、音はもちろん、リリックも妥協は一切無し」とも語る様に今作では有名、無名にかかわらず、マイク一本で全国の現場を渡り歩くShiba-Yankeeらしく、各地での出会いから生まれたコネクションをフルに活かした制作陣は豪華そのもの! 中でも、やはりV.I.PからリリースされたばかりのReiliのアルバム『Sound Of Freedom』中でも使用された鬼才Stephen McGregor制作オケによる「Positive Intention」や、唯一(!)のゲスト・アーティスト、盟友Wassyを迎えての「Wマシンガン」等々、聞きどころや、今後のライヴでの重要曲となるだろう曲が満載の、充実の出来映えとなっている。
最後に、これからのご自身の活動や所属するV.I.Pレーベルの動き等、今後の展開について教えてもらった。
「詳細は決まってないけど、3/3の発売日と同時に全国を回りたいと思ってます。それと今年は地元新潟県上越市で隔月やってるイヴェント『Don Chaka Friday』を、長野や群馬でも開催予定中。作品の方もV.I.P レーベルからコンピ・アルバムや、V.I.P Hi-PowerのセレクターCriss-Tuffのジャパニーズ・ダブ・ミックスもリリース予定。その辺のチェックして下さい」
"Unlimited Velocity"
Shiba-Yankee
[V.I.P / RREC-004]