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REGGAE DISCO ROCKERS
FRAGMENTS OF15 YEARS LOVE
 
Text by Jose Saito
 

 一般的に"ラヴァーズ・ロック"という言葉を日本に定着させたのは、もしかしたらこのバンドかも知れない。常に上質な歌モノ・レゲエを披露してくれるReggae Disco Rockers(以下RDR)からキャリア15年にして初のベスト・アルバム『Any Love -Best of Lovers Rock-』が到着。さっそく中心人物である高宮紀徹、西内徹の両氏に話を聞いた。
  
高宮「『ラヴァーズ・ロックを演ろう』ってやってた訳じゃないもんね? もともと」
西内「意識の中にそんな言葉はなかったし」
高宮「僕らが始めた15年くらい前は、日本人のヴォーカルでカッコいい歌モノのレゲエがあんまり日本になくて。...嫌いじゃないけど、UKラヴァーズとかまったく意識したこともないし、ただ"シンガーもののレゲエ"がやりたかったっていう」
 
 今でこそ「ラヴァーズ・ロックと言えば...」という言葉で形容されることの多い彼らだが、スタートは単純に「カッコいい歌モノのレゲエ」を演奏するセッションだったようで。
 
高宮「クラブで俺がDJをやってて、そこでラバダブをやってる時にてちゃん(西内徹のこと)がサックスを吹きにきたりとか、堀口(The K)がDX100を持ってきて弾いたりとか、そんなセッションみたいな感じで始まったのかな」
 
 現在、高宮紀徹(トラックメーカー/写真左上)、西内徹(サックス&フルート/写真右上)、有坂美香(ヴォーカル/写真左下)、小林洋太(ギター/写真右下)という4人体制の彼らだが、15年のキャリアの中では、先に名前の挙がったThe K(元Dry & Heavy)の他、山本貴志(元Rocking Time)、Hakase-Sun(Little Tempo他)、林夕紀子(元Choro Azul)などなど、いまだにシーンの最前線で活躍している錚々たる名がズラリ。それだけ、日本の歌モノ・レゲエ創世記において、RDRが標榜し、鳴らしてきた音が実験的で刺激的だったということだろう。
 
 そんな彼等が、マイペースな活動の中でじっくり時間をかけながら熟成させてきた5枚のオリジナル・アルバムと名曲揃いのシングルの中から選りすぐった珠玉のラヴァーズ15曲を含む自身初となるこのベスト・アルバムだ。
 
 物悲しいトランペットの音色に導かれ、初代ヴォーカリスト奥山みなこがクールに歌い上げる名曲「夕ぐれ(Original Mix)」、暖かく深みのある有坂美香の歌声に載るYoyo-Cの絶妙なマイク捌きが光る「Rainbow」、ナイヤビンギなリズムとアコースティック・ギターという面白い編成で甘くソウルフルな竹本健一のヴォーカルをフィーチャーした新境地「Mother Earth」といった人気オリジナル楽曲はもちろんだが、シュガー・ベイブ「蜃気楼の街」、サイモン&ガーファンクル「Bridge Over Troubled Water」、ジャズのスタンダード「In The Wee Small Hours Of The Morning」、バート・バカラック「A House is not A Home」といった個性の強く振り幅の広い楽曲群が並列でカヴァーされている様は圧巻。その他、かのHorace Andyをフィーチャーした現在入手困難な「Bless You」も収録と完璧な内容。しかも、そのどれもが長い年月を経てもなおヴィヴィットな発色。
 
高宮「これだけ多くリリースしてこれたっていうのは凄いなって、選曲してて考えましたよね。当時は『3枚くらいアルバム作ったらやることないよね?』って言ってましたし。まして他のアーティスト作品のリミックスとかプロデュースをするなんて考えませんでしたよね。......ベストって、シングル・コレクションみたいな方法もあるけど、シングルで出してきたダンスホールなんかをピックアップするよりは、敢えてラヴァーズっぽい楽曲を集めるのが自分達らしいかなと思って、このラインナップにしました」
 
 実は、現在スタジオに入りニュー・アルバムを制作中とのことで、本ベスト・アルバムにも1曲だけ新曲が収録されているのだが、それがランディ・ヴァンウォーマーの1979年のヒット曲「アメリカン・モーニング」のラヴァーズ・カヴァー。原曲の繊細なタッチを崩すことなく、温かみのあるフルートの音色と艶っぽいギターで肉付けされ生まれ変わった新たな表情に、思わず誰もがキュンときちゃいます。"Best Of Lovers Rock"と銘打たれた本作に敢えてこのラヴァーズ・カヴァーの新曲を当ててきたのは、過去を一気に飛び越えてしまう自信の表れかも知れない......それほど、研ぎ澄まされたアレンジに仕上がっているのです。
 
高宮「(新曲は)15年やってきて、大人の成熟した感じが出てるかな」
西内「モアベター、モアベターでやっていく所存であります」
 
 RDRの過去と未来を繋ぐ本作を聴いていると、年内に予定されているというアルバムが楽しみでしょうがない。成熟してなお加速する彼らからまだまだ目が離せそうにない。

 

BEST ALBUM (2010年) "Any Love -Best of Lovers Rock-"
[Flower / FLRC-065]
 

1ST ALBUM (2000年) "Oasis"
[Flower / FLRC-006]
 

2ND ALBUM (2003年) "Reggae Magic"
[Flower / FLRC-021]
 

3RD ALBUM (2004年) "Rainbow"
[Flower / FLRC-026]
 

4TH ALBUM (2005年) "Morning Glory"
[Flower / FLRC-034]
 

5TH ALBUM (2007年) "Melodies"
[Flower / FLRC-051]
 

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