Day In Da West
今回は、音楽の話題とは少しずれますが、震災したばかりのハイチの話題を。ちょうどハイチからボランティアに行って戻って来たばかりの知り合いがいるのでその人から得た情報を少し。
その人は長野にあるレストラン、カナディアン・ファームのオーナー長谷川さん、通称ハセヤン。信州の山の中でオーガニックの野菜を育て100%自給自足の生活を続ている超人。今までに廃材から作った手作りの丸太小屋はすでに30棟以上。ハセヤンはテレビから流れるハイチの報道を見て自分も何かしたいと貴重品が入ったウエストポーチただひとつを腰に巻き、たった一人でハイチに向かったという。家族のみんなには心配されないように「ヨーロッパに旅行に行く」と言って家を出て、成田空港のカウンターでアメリカを経由するドミニカ共和国行きのチケットを入手し、その後、ハイチまでは陸路で入ったそうだ。
ドミニカからレンタカーで入ったハセヤンは、車のトランクいっぱいに水とパンを詰めて各地を廻った。ある村でハセヤンが孤児たちにパンを与えながらコミュニケーションをとっていると、国連が派遣したキリスト教の牧師がハセヤンに「あなたは医者か?」「どこの団体の者だ?」と質問攻めにあったそうだ。「俺は日本から個人的に助けに来た」と答えたところ、「あなたには救助をする資格はない」と罵ったという。ボランティアをすることに組織に所属していることがそんなに必要なことなのだろうか?
国連が派遣している援助部隊のオーガナイズの悪さについてもハセヤンは指摘していた。スマトラの災害時には食料の配給をチケット配布制にしてどの家族にも平等に行き渡るように多少はシステム化していたはずなのに、今回は大きなコンテナに詰め込んだ山積みの食料をバラ巻いているらしい。それじゃ暴動が起きるって。
一方、アメリカはどうかと言うと、100億ドルのバジェットを出すというニュースを見た時は凄いと思ったが、結局のところ派遣したアメリカ軍の兵隊の給料に使ってパーだとか。その兵隊は現地では完全武装して手にはマシンガン。腰には手榴弾を装備しているという...。スコップとかシャベルを持たないのかな? 実際、復興作業もしないから洋服には塵ひとつ付いてないそうだ。
唯一の救いは、地震が乾期に起きたこと。雨が降れば死体がすぐに腐敗し、そこから疫病や伝染病が世界中に流行っただろうとハセヤンは言っていた。実際、スマトラの時より臭いはマシだったそうだ。
ひとついいニュースは、2/9現在、死者は23万人以上と報道されているが、これも正しい数ではないだろうということ。震災後、親戚や知人の家に避難していた人達が一ヶ月ぶりに帰宅しているそうで、そうした多くの再会シーンをハセヤンは見かけたそうだ。
日本では15年前に阪神・淡路大震災が起こった時に、多くの特別番組が放送されていたと聞くが、今現在、ハイチに関する特番はあるのかな?
TEXT BY DJ 2HIGH
98年に渡米後、Tha Dog Poundに参加。音楽制作の他、Blue Line Clothingも展開中。