Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND
Young Buju Banton
Greetings Friends,
●アメリカの同性愛保護団体による猛烈な批難に晒され2009年後半のツアーのキャンセルが続出したBuju Bantonだが、彼は年末に更なるトラブルを起こしてしまった。この原稿執筆時点での情報だが、彼は2人の身元が確認できている人物と共に5キロのコカインを売りさばいた疑いでFloridaのTampaにある刑務所で裁判を待っているというのだ。もちろん彼はこれを全面否定している。このグラミー賞に4回もノミネートされた事もあるアーティストは"でっちあげ"とも報じられている容疑に対して犯罪擁護のトップ・スペシャリスト、David Oscar Markus弁護士を起用した。なぜBuju(本名:Mark Anthony Myrie)がこの様な事件の容疑者になってしまったのか知る由もないが、同性愛の件であれほど叩かれているのだから、もしこの容疑が一部であれ事実ならば、彼の人間性に疑問を感じてしまう。Bujuがひきおこした反同性愛関係のニュースも織り交ざり、ネット上の様々なフォーラムではこの事件について熱い論議が繰り広げられている。Bujuの友人でDJ/シンガーのAnthony BはBujuをサポートするため「Free Up The General」をTruckback Recordsから発売した。もしこの件が原因でBujuが音楽界から引退を余儀なくされれば、アメリカではそれを喜ぶ人がたくさんいると思う。Bujuに有罪判決が下された場合、彼は最低でも懲役20年、最高で終身懲役の刑が課せられる事になる。果たして、彼の様なメディアに激しく叩かれている人物にアメリカ当局が正当な判断を下せるのだろうか。今後この事件がどのような展開をみせるのか注視していきたい。
●ヴェテラン・レゲエ・シンガーDavid Isaacsが63歳で死去した。彼の代表曲はLee PerryによるStevie Wonder「A Place In The Sun」のカヴァーだろう。DavidはLloyd Rickettsが投獄されたため、彼の代わりにThe Italsに加入した経歴の持ち主で、実は今年のRebel SaluteショーでItalsの創立メンバーRonnie DavisとKeith Porterと共にステージに立つ予定だった。現時点で死因は不明。2009年12月22日の朝、KingstonのDenham Townにある彼の家で、彼の姉のBeverleyがDavidを起こしに行ったところ、彼はすでに床上で死亡していたとの事だ。レゲエ界はまた一人惜しい人を失った。
●Jimmy CliffがアメリカのRock and Roll Hall of Fameの殿堂入りを果たした。レゲエ・アーティストとしてはBob Marleyに次いで2人目。Cliffは今年の3月15日にABBA(Sweden)、The Stooges (US)、The Hollies(UK)、Genesis(同)と共に国際的な"音楽エリート"の仲間入りをする。おそらくCliffはMarleyの次に有名なレゲエ・シンガーであり、存命中にこの様な形で彼の功績を讃える事は評価できる。Jimmyはレゲエ以外の幅広いアーティストによりカヴァーされている数少ないシンガーの1人である事を強調したい。おめでとう。
Jimmy Cliff
●VPのリイシュー専門レーベル、17 North Paradeによる"Reggae Anthology"シリーズの最新リリースが明らかになった。Henry 'Junjo' Lawesという華々しい功績を残した今は亡きプロデューサーの音楽をアーカイヴしたそれは、同シリーズで最も興味深いタイトルかもしれない。1970年代後半から80年代前半に制作されたルーツからダンスホールまで様々なスタイルをカヴァー。その時代のトップ・アーティストが参加した曲を収録。彼自身のレーベル名をタイトルに冠した『Volcano Explosoion』というこのコンピレーション、期待できると思う。
●僕もそろそろいい齢になってきた。僕はレコードでレゲエを聴いてきた世代なので、今の中古アナログ盤の値段の高さにはいつも驚いている。それもいわゆる名盤と呼ばれるレコードが他のものよりいつも高いという訳ではないのだ。いたってフツーの曲とされているFreddie McKayの「Jah Love I」の45 rpm盤がUS250ドルもするのに、Studio Oneの名曲7インチは大体10〜50ポンド位。Burning SpearのダブルA面の傑作12インチ「Free The Whole Wide World / Jah No Dead」は"適正価格"ともいえる60ポンド位で取引されている。アナログ盤には絶対的な値段の基準はなく、レアなレコードはそれを買いたいと思った人が幾ら払いたいかでその値段が決まる様に思える。僕の友人(レコード・マニアでソウル、ジャズ、レゲエなどを収集している)は、レアだが再生不可能な7インチが700ポンドで売れたと話してくれた。このレコードの購入者はレーベルを眺めて手に持って愛しむだけのために買ったという事になるだろう。さて、探しているレコードが幾らで手に入るのかを調べるには「Popsike.com」(www.popsike.com)の様なサイトが便利だ。ここではそのレコードが過去のオークションでどれほどの値段を付けたかが分るのだ。このサイトは会員登録しなければ問い合わせできる回数が限られているのがネック。もしかしたら「Gemm」(www.gemm.com)の方が使い易いかもしれない。レアなレコードを販売している専門サイトの値段を調べるには「Lionvibes」(www.lionvibes.co.uk)、または「Reggae.co.uk」(www.reggae.co.uk)がいいだろう。僕の回りには名盤(または単に希少価値の高いレコード)を探して購入している友人がいる。もちろん彼らは現在の超インフレ・プライスのレコードには手を出してはいないと思う。僕は既に一生かかっても聴ききれないほどのレコードとCDを持っているので、ずっと前にレコード、そしてCDさえも購入するのをやめてしまった。たまにフリーマーケットみたいな場所で安くていいものが見つかれば購入を検討する程度だ。もし、このままアナログの値段が上がり続けるならば、僕が所有しているレコードが年金の代わりになってくれるかもしれない。
Till Next Time, Take Care.............
(訳/Masaaki Otsuka)