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323    ARTISTS    SANCHEZ

SANCHEZ
RETURN OF THE KING
 
Interview by Minako Ikeshiro / Photo by Wonder Knack
 

 優れた歌い手揃いのレゲエ界と言えど、ここまで「歌える」人はなかなかいない。サンチェス。1987年のデビュー以来、コンスタントに名曲を届けて来た細身の横綱を、クリスマス・イヴの朝に電話でキャッチ。最新作『Now & Forever』の話を中心に語ってもらった。
 
●調べたところ、今回の『Now & Forever』は通算30作目になるようですね。
Sanchez(以下S):全くその通りなんだよね(笑)。前作から3、4年空いたから、特別な盤だと思っている。ペントハウスと組んだのも久しぶりだし、サンチェスのアルバムでベストな出来の一つだと自負しているよ。
 
●ペントハウスとは93、94年頃に、当時流行っていたふたりのアーティストが1枚に入っている形で、ウェイン・ワンダーと一緒のアルバムを作ったきりですよね?
S:そうだね。こちらの意向とは関係なく、レーベル側で録り溜めた曲をまとめたアルバムだけどね。確か、ブジュ・バンタンも参加していたし、あれはあれでいい作品だったとは思う。
 
●87年にデビューし、翌年に「Loneliness」を大ヒットさせましたよね。以来、ずっとトップ・シンガーとして活躍して来たわけですが、キャリアの中で特に印象的だった出来事はありますか?
S:最初の「サンスプラッシュ」。89年のことだね。7回もアンコールがあったんだ。そこまでアンコールがあったアーティストはほかにはいないと思う。3、4回まで盛り上げられる人はいるけれど、7回まで観客が狂喜したからね。俺の人生の中でも最良の瞬間だったんじゃないかな。No.1と描かれた白いスーツをを着ていたはずだ。
 
●ゴスペル・アルバムを2枚出しているくらいですから、クワイヤーで歌を覚えたタイプかと思いますが、子供の頃はどれくらいの期間、教会で歌っていたのでしょう?
S:クワイヤーに入るのは10才から13才が一般的なんだけど、その辺りから19才まで熱心に活動していたよ。歌の練習としては最良の方法だと思うね。学校で習うより、クワイヤーに加入して定期的に教会で歌う方が上手くなる。教会の雰囲気は独特だからね。
 
●ちなみに、週に何時間くらい練習していたのでしょう?
S:木曜日から日曜日まで、毎晩。毎回2時間くらい練習していた。
 
●本作からのファースト・シングル「Longing To Come Home」がすでにヒットしていますね。この曲をシングルに選んだ理由は?
S:それが、サンチェスの人生だからだよ。場合によっては、なかなか家に帰れない。大体、私の曲は実体験に基づいていて、特にあの曲のリリックはすべての言葉が本音だ。リリックは、自分の周りで起きていることを吸収するようにして書く。アーティストとして目にしたこと、耳にしたことが曲になって行くんだよ。
 
●なるほど。ジャマイカの現行シーンにも注意を払っていますか?
S:もちろん。今のダンスホールの曲には品行の良かった若者に悪影響を与えるような曲が多いような気がする。女性には体を見せびらかすようなことを勧めて、男性にはそのものズバリ、殺せと言ってしまうような。それが残念だから、私は"精一杯生きよう、神の言葉に耳を傾けよう"という曲を作っているんだ。全部が全部とは言わないけれど、ラジオ局やダンスではそういう曲を好んでかけるような気がするね。でも、本当はみんな、気持ちが明るくなるようなリリックを聴きたいはずだ。
 
●今、大人気のアーティストであなたの曲なら全部歌える、と話していた人がいますよ。
S:それ、誰だか知っているよ。マヴァードでしょ。私たちは同じ地域で一緒に育ったようなものだからね。まだ子供みたいだったマヴァードがダンスに来ていたのを覚えているよ。彼も小さい頃から音楽が好きで、よく歌いたがっていたんだ。彼にマイクを回したこともある。
 
●話を戻しますね。最新作でのドノヴァン・ジャーメインの役割は?
S:ほとんどの曲が、彼の側からトラックが届いて、こちらでリリックを書く形で進めた。中には彼がリリックまで用意した曲もあるけれど。
 
●カヴァー曲もあるようですね。
S:「Dearest」と「Feel Good All Over」を吹き込んだよ。「Feel Good All Over」はデルロイ・ウィルソンのカヴァーだけど、「Dearest」のオリジナルは誰か忘れちゃった(注:「Dearest」は本作に収録されていない)。カヴァー曲のヒットでサンチェスは有名になったからね。それ抜きでアルバムを完成させるわけには行かないんだ。みんなが楽しみにしていることには、ちゃんと答えないと。
 
●レゲエ・ファンの中には、あなたがカヴァーしたから、ルーサー・ヴァンドロスやブライアン・マクナイトを知った人もいると思います。
S:そうかもね。逆に、レゲエをあまり聴かない人に、私がよく知られている曲をレゲエにして歌うことで、(レゲエに)耳を傾けてもらえた面もあると思う。
 
●次のステップは?
S:次はクラシックのカヴァー・アルバムを作るつもりだ。トム・ジョーンズやスティーヴィー・ワンダー、サム・クックなどのみんなが知っているような曲を、私の能力すべてを賭けて歌ってみたい。
 
●スタジオ・ワンなどのジャマイカのクラシックはどうでしょう? デニス・ブラウンやアルトン・エリスの曲は、ライヴで本人の口からはもう聴けないわけですし。
S:そうだよねぇ。彼らの曲を生かし続けるためにも、その次はそういうアルバムを作るべきだろうね。
 
●最後に、付け加えたいことがあれば。
S:日本のファンに伝えたいのは...サンチェスの音楽を愛してくれるという、私がどうしても手に入れたいたった一つの願いを叶えてくれて本当にありがとう、という一言に尽きるね。


 

"Now & Forever"
Sanchez
[VP / VP1873]

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