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323    ARTISTS    L.U.S.T.    LUKIE D

L.U.S.T.
Lukie D, Thriller U, Singing Melody & Tony Curtis
 
Interview by Toshiaki Ohba / Translate by Ichiro Suganuma / Photo by Shizuo "EC" Ishii
 

 レゲエ・シンガーのドリーム・チーム、L.U.S.T.が突然の来日コンサートの合間に編集部に来てくれた。今更ながらレゲエのポジティヴなスタンスを確認する事になったのがこのインタヴュー。中でもThriller Uは昨年8月17日、フロリダで彼の妻と娘が強盗に襲われ妻のCamilleは一命こそ取り留めたものの顎から頬骨にかけて弾丸が貫通。娘のNikitaにいたっては残念ながら帰らぬ人に...。この世で一番悲しい出来事を体験したばかりのThriller Uを含め、全員が自信に溢れたインタヴューに終始したL.U.S.T。きっとメンバー間での深い絆とレゲエ・シンガーとしての自負があってからこそ、こうしてマイクを握っていられるのだろう。尚、取材当日は丁度今は亡きNikitaの16歳の誕生日でもあった。
 
●10年以上前の話になると思いますが、最初に誰がL.U.S.T.を結成しようと提案したのですか?
Lukie D:もう12年前の話だね。それはここにいる皆のアイデアから生まれたんだ。とにかく皆、今までジャマイカには無かったスペシャルな事をしたかったのさ。その想いがL.U.S.T.を生んだ。だって4人全員がソロ・アーティストとして活動しているグループなんてジャマイカにはいないからね。
Singing Melody:世界のレゲエ史上に於いても4人のソロのアーティストによるコーラス・グループは初めてだと思う。結成のアイデアは皆がそれぞれ出し合ったんだ。俺たちは元々長年の知り合いだし、お互い音楽で育ってきたからね。実際、俺とThriller UとLukie Dは4歳からの知り合いなんだよ。Tony Curtisとは、オレがNYに滞在していた時に初めて会ったんだ。あっちのスタジオで何度か遭遇したりしてね。で、ある時、ジャマイカに戻ったら一緒に活動しようって話になったんだ。それでこの4人で集まって、アイデアを発展させてそこから全てが始まったのさ。何でL.U.S.T.が2人や3人のグループじゃなくて4人なのかって言うと、さっき言った様な深い絆があるのはもちろんだけど、4人だったらサウンドを4パートで構成できるのも大きかった。
Tony Curtis:ウェイラーズやヘプトーンズ は3人だからね、俺たちはそれとはまた違うものを望んでいたんだ。
 
●主にグループとしての方向性や曲の構成を決めるのは誰なのですか?
Thriller U:いや、リーダーはいないんだ。全てにおいて事前に皆でコミュニケーションしながらアイデアを出し合って、議論しながら決めていくんだ。普通どんなコーラス・グループでもリード・シンガーっているだろ? そして結局リード・シンガーが主導権を握る事になる。でもL.U.S.T.は皆がリードを取れるから誰もがリード・シンガーだし、バックにも回れる。だからリーダーはいらないし、こうして特別なサウンドもクリエイトできるのさ。
 
●そういう意味では、構成が素晴しい「Just As I Am」が最もL.U.S.T.の持ち味が出た象徴的な曲と言えますね。これは確かAir Supplyの曲ですよね?
Lukie D:この曲は元々個人個人の声の質や音に合っているし、きっと良いヴァイブスをクリエイト出来るはずだと思って選んだんだ。曲の構成をきちんと分析して、誰がどのパートに合うか話し合って最終的にああいう構成に仕上げたら予想以上にビッグ・ヒットとなったんだ。それぞれのキャラクターもよく出ているだろ?
 
●どうやってグループとソロの活動のバランスをとっているのですか?
Tony Curtis:俺たちは皆プロフェッショナルだ。コミュニケーションをとって対応すれば何ら問題ないよ。お互いのスケジュールだって分かっているしね。
Lukie D:ソロ・アーティストとしての活動が忙しければ、L.U.S.T.も忙しくなるんだ。まあそれは逆も言えるけどね。とにかくそれぞれがソロで世界中を回っていると、今度はL.U.S.T.を観たいっていう要望がとにかく多いんだ。だから一時だけでも個人の活動を少なくして、皆で一緒にスタジオに入って何か作ろうって話し合ったんだ。だから今は皆、L.U.S.T.に全てを注ぎ込んでるんだ。
Singing Melody:ここにいる誰もが今でもソロとしてのキャリアを追求していてる。実際、俺の新しいソロ・アルバムは既に仕上がっていて、いつだってリリースできる状態なんだ。でも同時にL.U.S.T.のセカンド・アルバムだって制作してきたし、こっちも既に完成している。そう、俺たちは皆で全てをうまく回るようにスケジュールしているんだ。だから俺たちには全く時間がないんだけどね(笑)。
 
●そのL.U.S.T.としてのニュー・アルバムはどんな内容に仕上がったのでしょうか?
Singing Melody:14曲を収録することになっていて、タイトルはもちろん『Just As I Am』。昨日、初めてメンバー全員でリスニング・セッションがあったんだけど、心から感動してしまったよ。大好きな日本でこうした特別な時間を持てたのは嬉しかったね。きっちりプローモートして皆の耳に届きさえすれば、前作の『Sweetness Of Your Love』よりもっと大きな存在のアルバムになるはずだよ。
Lukie D:何度も言うように、次のL.U.S.T.のアルバムは望まれたから急いで作ったものではなくて、綿密に計画され構成されたアルバムなんだ。あとは皆の手に届けるだけさ。
Thriller U:色んなプロデューサー達とガッチリ組んで制作しているから、とてもストロングなアルバムになったと思うよ。例えばPenthouseのDono-van Germain、Mikey Bennett、Joe Frasier、それからSly & Robbieも参加してくれたしね。あとは俺たち4人とマネージャーのGarcia Campbellがエグゼクティヴ・プロデューサーだ。そうそう、いまJoe Frasierからリリースされた「Touch Me」がマイアミとNYのチャートでNo.1を獲得したよ。
Lukie D:このアルバムは全ての要素を持ち合わせている。落ち込んでいる時やバッドな日には「Smile」って曲が励ましてくれるだろうし、踊りたければ「Do You Love Me」って曲があるんだ。
Singing Melody:このグループを結成した時に思い描いていたのは、今のレゲエ業界から失われてしまったフレーヴァーを出せるグループ、例えばThe Mighty Diamondsのような暖かいヴァイブスやメロディを生み出すグループだったんだ。次のアルバムはその時の想いのまま正しい道を進んできた事を証明しているはずだよ。
Thriller U:なぜかグループだとお互いの長所が引き出されるんだよ。例え調子が良くないからといっても手を抜くなんて出来ない強さやエネルギーがこのグループには溢れていてるんだ。
Singing Melody:俺たちはL.U.S.T.のメンバーとして今まで素晴らしい経験を積んできたし、お互いそれを知っている。だから俺たちはこのグループにいる事がとても幸せなんだよ。だからこの先、このグループが解散する事なんて決してないだろうね。
 
L.U.S.T. @OVERHEAT

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