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BOOM BAP
CHILLIN' WITH WALE
 
昨年12/12、ワシントンD.C. の National Geographic Society にて、今年4月に発売予定のNasとDamian Marleyのアルバム『Distant Relatives』に啓発されアフリカ、ジャマイカ、そしてアメリカについて考えるイヴェント「Distant Relatives Symposium」が開催された。世界中から多くのラッパー、DJ、思想家らが集まった。超一流のゲストがラインアップされていたため、チケットは即完売。レゲエ界を代表しJunior GongとStephen Marelyが参加。そしてジャマイカのラップスターとして申し分のない実績とスタイルを誇るBig Youthが参加した。
 
ヒップホップ界からは、ジャマイカのサウンド・システム文化と深い関係のあるゴッドファーザーKool Hercの他、Rakim Allah、Red Alert、セネガルのラップ・トリオ Wagebleのメンバーであり、ヒップホップ情報サイト「Kingsize.sn」の編集者のWater Flow がアフリカを代表した。
 
他の著名パネリストは、Sirius/XM Satellite RadioのPat McKay、『Can't Stop Won't Stop: A History of The Hip Hop Generation』の著者Jeff Chang、そしてMTV NewsのSway Callowayが会議の司会進行を務めた。Swayは鋭い質問で論議を活発にしただけでなく、観客の質問に対する論議にも花を咲かせた。
 
では、ハイライトとなった発言の一部を掲載しよう。
 
Damian Marley:Nasから学ぶ事は多かった。彼のボキャブラリーは半端ない。更に歴史に関する知識やそれに対する見識もね。Nasは彼のアイデアを表現する媒体として音楽を使っている。いつでも何か重要で伝えるべき事があるんだ。変革のための表現者として自分も重要な物事を伝えなければいけないと思っている。
Nas:俺にはラップを救う事は出来ないし、救おうとも思っていない。ただ俺は問題を提起して、それについて人々に考えてもらって理解してもらう。そうやって何が起こるのかを見て次作は何を作ろうかと考えるのさ。D(Damian Marley)と制作した『Distant Relatives』もそう。自分にとってクリエイティヴで、何か今までと違うものを出す事によって、人々が注目してくれて、そしてインスパイアされる人がいる...俺はそれだけで充分だよ。
Stephen Marley:ジャマイカの音楽とアメリカの音楽が一緒にやる事はとても重要だ。そしてその音楽がどこから来たものなのかを知る事もとても重要だ。世界には多くの歴史があるんだ。全ては文明の母なるアフリカから来た。それは除外できない。俺たちは奴隷として西側に連れられた。そしてアメリカへ連れてこられた奴はアメリカンに、そしてカリブに連れてこられた奴はカリビアンに。だから俺たちは皆"Distant Relatives(遠い親戚)"なんだ。そして音楽と共に魂が一つになるんだ。
Big Youth:以前、俺たちは全く不公平な世界に暮らしていた。だから革命を起こし、Jahを崇拝し始め、世界の礎となるスピリチュアルなものを見つけたのだ。ヒップホップやラップはラスタ革命と同じかもしれない。Bob Marleyは正義を唱えた。なぜなら彼はラッパーでもあるからだ。多くの音楽家は魂を売るために音楽を創っている様だが、私達は魂を救うために音楽を創らなければならない。
Pat McKay:サウンド・システムはレゲエにとって非常に大事なものだ。なぜならレゲエはストリートに根差したものでレゲエにはその息吹が必要なのだ。レゲエのヒットはラジオからは生まれない。レゲエのヒットはストリートのダンスホールから生まれるのだ。
Kool Herc:俺は1967年にアメリカに渡った。当時はまだ子供でダンスには興味がなかった。街灯の支柱に誰かがダンス告知のポスターを貼るのをストリートで遊びながら見ていたのさ。やがてカートに乗せられたスピーカーがやってきた。そしてダンスがある晩にはClaudie Massopの様な大男たちが集まったのさ。まだチビだった俺は彼らを驚きの目で眺めていたよ。
Red Alert:俺たちはいわゆるヒップホップを"ヒップホップ"と呼んだことがない。"ジャム"をしに行くといつも言っている。人々は自分たちの文化についてもっと勉強するべきだ。様々なジャンルの音楽にはそれぞれ音楽というカルチャーがあった。でも今ではそれらから真の音楽というものがすっぽり抜けてしまっている。歴史を学びそれらを取り返さなければならない。
Jeff Chang:俺はいつも未来を見ている。いつまでも同じ場所には留まりたくない。かといっても過去は取り戻す事ができない。リミックスをし続けて新たな方向性を探るのだ。創造するためには音楽的な"余裕"がなくてはいけない。それこそが一番大事な事だし、ヒップホップとは正にその事なのだ。
Rakim:俺は音楽にハッキリとした主張を入れるのが好きで、リスナーがそれに対してどの様な受け取り方をするのかを見る。それによって俺の音楽もリスナーの考えもより柔軟になるだろう。もしかすると音楽を通じてこそ自分自身を理解できるのかもしれない。俺は音楽の質を上げリスナーと共に更なる高みに到達したいのさ。
Water Flow:一般的に世界を眺めた時にヨーロッパ、アメリカ、アジア、そしてアフリカといった具合にいつもアフリカは最後だ。だからアフリカ人は国際社会の一員と感じる事ができない。ヒップホップはアフリカからやってきたと感じている。我々の祖先がアフリカから西側諸国に渡ってきた様に、その旅路は痛みを伴うものだった。是非、今後リリックを書く場合は"Africa"という言葉を入れて欲しい。そうすればヒップホップによってアフリカ人は世界と繋がっていると実感できるはずだ。
 
シンポジウム終了後、DCのClub Zanzibarにおいて豪華なショーも開かれた。この模様はBoomshots.comでチェックを。
  
TEXT BY ROB KENNER
アメリカの『VIBe』マガジン、VIBE MEDIA GROUPのエディター・アット・ラージとしてREGGAEコラムを執筆中。HIP HOP/REGGAEに深い愛情を持つ。
Website → www.boomshots.com

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