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(U KNOW)What the deal is
 
暖冬と思いきや、12月に入りいきなり普段のNYの冬となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか? 今年ももう僅かとなりましたが、ヒップホップ・シーンというものが一般ではポップ・カルチャーの一部となり、新聞やTVのゴシップ・コーナーの常連というのが当り前になり、数年前まで懸念されていた広告媒体の一つのフォーマットにすらなっているのは、NYに住んでいるから感じる事ではなくなってきました。しかしながら、巷ではヴェテランDJ達がラウンジでしのぎを削り、黄金時代と呼ばれた時代のアーティスト達は非常にクオリティの高いショウを定期的に行っているという現状もあり、なんとも分かりにくい世の中となりました?
 
●今月のリリース
7年ぶりにラキムが新譜をドロップした。ローカル紙『ヴィレッジヴォイス』でも特集が組まれる程、地元ではエキサイティングなニュース?だったが、『ヴォイス』紙でもその評価は微妙な内容となっている。ドクター・ドレと決裂した余韻なのか、プロデューサー陣は殆どローカルか無名で、"今"のサウンドを意識した作りとなっている。勿論、ライム、フローに於いてのラキム節は健在だが、そのバランスは長年のラキム・ファンにとってはいささかもの足りないというのが正直な感想だ。しかしながらそのアルバムの発表に合せた11/19のBBキングでのライヴは、さすがなショウマン・シップと熟練したスキルを見せるものだった。更に翌日、マンハッタンはSOHOのアップル・ストアでインストア・ライヴを行い、本当のファン達とのコミュニケーションを楽しんでいる様に見えた。今後、もっと頻繁に作品を発表してくれる事を願う?
 
●今月のギャング・カルチャー
そのヒップホップの関連性については賛否両論であるが、約40年前、NYにはギャング・カルチャーが存在し、そのメンバー数人が後のヒップホップの立役者となったのは事実である。例えばクール・ハークの相棒だったコーク・ラ・ロックは、ギャングに在籍はしていなかったもの、MCの際、隠語でギャング達にシャウトしていたし、後のアフリカ・バムバータは、ブラックスペイドというギャング・メンバーだった。ギャングの抗争の迷惑を被ったDJ達も多く、グランド・ウィザード・シオドロ、ミーン・ジーンのサウンドシステム、Lブラザース(後のグランドマスター・フラッシュを輩出したシステム)では、抗争に巻き込まれた客が射殺され、活動停止を余儀なくされた。ギャング抗争に嫌気がさし、ダンスでバトルを始めたというのは美しい説だが、全くのデマで、ダンス・バトルというのは、ブラック・カルチャーやNYのストリートのシーンでは伝統的なものとしてその前から存在するもので、ここでそれははっきりさせておこう。とにかく、その時代のギャング・カルチャーに関する出来事が今月色々あった。まず、いつ上映されたのか分からないが、『Style Wars』のヘンリー・シャルファントと、リタ・フェッチャーによるドキュメンタリー映画『Flyin' Cut Sleeves』のDVDが発売された。資料によると93年に完成したヴィデオ作品で、当時のフッテージ、写真、90年代に入ってからの当時のメンバー達のインタヴュー等によって構成されている。以前紹介したロックステディのフェイブルによる『Apache Line』というドキュメンタリーと酷似した内容だが、こちらの作品はややトーンを押さえた内容となっている。そのギャングチームの一つ、ヤングローズの40周年を記念したイベントも12/2にハンターカレッジで行われ、当時のメンバーやギャング・カルチャー、ストリート・ユース・ムーヴメントを研究する学者などが集まった。ヤングローズも他のギャングに漏れず、NYのストリートから生まれたプエルトリコの移民やその子供達で構成されたものだったが、後に政治的なムーヴメントに流れ着くという運命のギャングであった。しかし、それを専門に研究するという人々が存在するとは、全く知らなかったし、それを受け入れるカレッジってのも凄い話?
 
●今月のショウ
ラジオ、TVでは新譜を出しても全く無視されているが、忠誠的なファンは決して死んでいないキース・スウェットが久々にNYでライヴを行った。11/29、BBキングでバッド・ラビッツを前座に従え、2時間以上に渡るキース節を聞かせた。会場は最初からしかめっ面のファンキー・フェイスで一杯であった(分かるかな?)。どういう訳か、彼のみならず一時一世を風靡したこういったシンガー達は、ある時期を越えると黙殺されるが、ティーンのマーケットに売れないというバカな理由にあるにしろ、彼らは確実に上手くなっているし、素晴しいショウを行っている。例えば、フェイス・エヴァンスなんて歌はもの凄く上手くなっているし、より教会というルーツに戻った感じがあるが、ラジオでは一切聞こえてこない。CDが売れないとぼやくレコード会社は、こういった現状を見極め、本当の音楽ファンを獲得、キープする事を考えださないとヤバいんじゃない?
 
●今月のプロップス
米ケーブル局、BETがセントリックという姉妹局を開け、名番組『ソウル・トレイン』の放映権を獲得、それを記念してソウル・トレイン・アワードを11/29に放映し、チャカ・カーンが受賞した。授賞式では新旧のアーティストがチャカの名曲の数々を歌い、最後のアンジー・ストーンが無理矢理チャカに歌わせるというひと場面もあった。実は裏でロックの殿堂も放映されていたのだが、一応ロックのルーツは黒人音楽であると認めつつも、出演しているアーティストのほとんどがその黒人の匂いを消して行ったアーティストであった。だって、メタリカとか、U2、ブルース・スプリングスティーンの音楽から、ブルースとかチャック・ベリーが聞こえてくる?
   
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]

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