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Riddim Awards 2009 REGGAE
 
レゲエと一言で言っても、ジャマイカ発のダンスホールから世界各国のストリートで奏でられるものまで一言では収まり切らない。当コーナーではレゲエに携わるスペシャリストに集まってもらい、2009年にリリースされた作品を通じて座談会形式で目まぐるしいシーンの動向を振り返る。
 
DANCEHALL REGGAE
【JAMAICAN DANCEHALL REGGAE SINGLES & RIDDIM TRACKS】
教授:7インチのアナログ盤は2年前まで毎月必ず100タイトル以上は出てたんですが、今は平均50〜70タイトルといった感じで100タイトルをきることが多くなりました。しかもBig ShipかDon CorleonかDasecaがメインといった感じで、それにBig YaadやBirchillが続く感じですかね。No DoubtやTad's等も良質なミディアムのリリースで頑張っています。そんな中、今年を振り返ると、前半の断トツはLaden「Time To Shine」で、中盤からChino「Never Change」が来て。どっちもStephen McGregor制作ですが、共にメロディアスな曲調が特徴的で、聴きようによっては「これレゲエ?」という感じもします。でも現場とセールスが一致したのがこの2曲でしょうね。あとはRas Penco「Thousand Miles Away」とG-Whizz「Life」はレコードが売れました。特にG-Whizzはサウンドマンが軒並みダブを録ってるし外せないですね。あとはシンガーのRomain Virgo「Wanna Go Home」も評価が高かったですね。「Can't Sleep」に続きロング・ヒットになってます。
八幡浩司:彼の「Alton's Melody」も良かったね。
教授:自信が無ければAltonは歌えないでしょうけど、これならAltonファンも納得ですよね。
八幡:Alton+Penthouse+若いシンガーってことで、幅広いファン層にアピール出来る要素も揃っているし、聴きたくなる要素が詰まっているし。
道正和行:あとゴスペルがブームだったんじゃないですか? "Mercury Overdose"でBusy Signalが歌った「Praise & Worship」とか。
  

Tarrus Riley
 
馬渕信彦:確かに。09年と言えばVybz Kartelですが、実際どのくらい曲を出したんですか?
教授:さあ、どれだけでしょう? でも誰でも知ってる曲と言えば「Ramping Shop」でしょうね。勿論他にも女の子と絡みもあったり、Stephenとの絡みの「Careful」もあったりと挙げたらキリはないですけど...。
八幡:「Romping Shop」は今、NYでも当たってるからね。まあどっちにしてもKartelとMavadoの対決に振り回された1年でしたね。でも、彼ら以外にさっき出た様な若手が出て来たのが良かったんじゃないかな。
教授:良質な歌ものとしてはMorgan Heritageのメンバーも今年ソロをリリースしてるけど、中でもGrampsの作品が断トツです。
八幡:こうして挙げて行くと実に良い曲が多いよね。30曲ぐらいすぐ挙っちゃう。
編集部:リディムで括れば何になるんでしょう?
教授:09年と言えば、"Good Life" (Liv Up)と"Street Team" (Fire Links)と "Baddaz"(Birchill)かなって気もしますが。
道正:"Beauty & Beast"(TJ)と、さっき出た"Chrome" のリメイク "Mercury Overdose"(Loud Disturbance)も固いでしょ?
教授:そうですね、ここら辺は現場でも絶対にかかってたし、認知度も高いですよね。"Mercury Overdose" だったらElephant Manの「Sasa Step」がお馴染みですね。

編集部:去年と比べて変わった点と言えば?
教授:Kartelの話に戻っちゃうんですが、Stephenが作るR&Bやヒップホップっぽいリディムやバッド系のダークなリディムって次から次へと投入されたと思うんですよね。それらは、現場では掛かったけど、実際に流行ったかと言えばそうではない気がしますね。だから掛ける側も聴く側も納得したのはさっき挙げたリディムではないかなと思いますね。
道正:ミディアム系だと何だろう?
教授:7インチは出てないですけど、"Good Love" (Baby G)でしょうね、Jah Cureは絶対現場でかかってますし。あとはAlaineやBujuも歌ってた"Changes" (Don Corleon)とか。期待したのが"New Chapter"(Big Ship)だったんですけど、評価は今イチでしたね。あと去年からヒットしてる"Feel Good"(Penthouse)は今でも掛かり続けてますね。個人的には "Karma"(Arrows)も押したいところですが。あと去年辺りからミックスCDに入ってた "Relationship"(Freshear)も7月に7インチが出てからずっと売れてますね。まあリディムに関してもリリース量としてもBig ShipとDon Corleonが2トップだけど、その他老舗から新鋭まで頑張ってると思います。
 
【JAMAICAN DANCEHALL REGGAE ALBUMS】
八幡:ジャマイカのシーンがダンスホールのムーヴメントの核となっているのは当然なんだけど、アルバムに収録されるまでにタイムラグと言うか、アルバムのリリース・タイミングとシーンの動きが結び付いていないですね。今に始まった話ではないけど、今年は特にそれを感じたかも。例えば2009年のシーンの顔役と言えば間違いなくVybz Kartelなんだけど、CDではアルバムは出してないしね。ただ、アルバム単体として、特にシンガー物で内容のいいアルバムが多かったと思います。Courtney John『Made In Jamaica』やTarrus Riley『Contagious』やLukie D『Love Again』とかね。Tarrus Rileyなんて『Parables』が序章に過ぎなかったってくらい素晴らしい内容だったし。
 

Queen Ifrice
 
教授:Buju Banton『Rasta Got Soul』やSizzla『Ghetto Youth-Ology』は満を持して出した感がありますよね。あと来日したAlaine『Lub A Dub』は現場でも掛かるしヒット曲も多いからどこへ行っても人気がありましたね。R&Bファンにも評価が高かったし。歌物ではStevie Face『Tell It Like It Is』も押したいです。
馬渕:歌物ならLukie D『Love Again』とTarrus Riley、あとBujuの作品は曲の良さは勿論、音楽的な幅広さもあってよく聴きましたね。トップとなるとBujuとSean Paulの『Imperial Blaze』、この2枚ですかね。
教授:09年のダンスホールを総括できるアルバムと言うとSean Paulしか思い浮かばないですね。Stephen McGregorやDon Corleonによる最新のテイストを織り込みつつミディアムもバランスよく配置して、しかも殆どの曲を一人でマイクを握ってアルバム一枚通して聴かすという事ではちょっと別格だったかなと思いますね。
八幡:個人的には、メジャーのフィールドに向けて、ジャマイカの最先端の音で臨んでいるその心意気を特に評価したいです。R&Bやヒップホップとのコラボレーションとかに頼らないでドメスティックな音で挑戦する姿勢が良いと思います。
 
平山知佳:Alaineの作品もそうでしたけど、Sean PaulやT.O.K.(『Our World』)とかメジャーでしかも内容のいいものはレゲエ・ファンだけでなく色んなタイプの人が買ってくれましたね。
道正:でも僕は、Sean Paulはピンと来なかった。それなら僕はQueen Ifrica『Montego Bay』を押したいですね。内容も素晴しいけど、ヒット曲もあって、話題性もありましたし、トータル的に評価したいですね。あとは話題に出てないけどJulian Marley『Awake』が良かったです。
教授:Serani『No Games』はお洒落で明らかにアメリカのマーケットを狙ったDasecaらしい色が出ていて、ヒップホップ・R&Bファンも聴ける作品かもしれないですね。
道正:実際の売上枚数なら何になるんですか?
八幡:一般的にはSean Paulでしょうね。
教授:専門店的には1位Alaine、2位Jah Cure『The Universal Cure』、3位Buju、それに続いてTerry Linen『A Better Man』といった感じでしたね。アルバムとなるとやっぱり歌物を求めている人が多いんじゃないですかね。
八幡:あと、歌物だとGramps Morgan『2 Side Of My Heart-Vol.1』の内容も素晴らしかったと思います。
 
【JAPANESE DANCEHALL REGGAE ALBUMS】
平山:去年に比べると新人は少なかったですけど、逆にヴェテランは皆さんきっちりと出された印象ですね。Mighty Crownの『Life Style Records Compilation Vol.3』やRyo the Skywalker『Love-A-Dub Showcase』、あと出たばかりですがChozen Lee『Rize Up』は内容も良かったですし店頭での動きも良いですね。個人的にはAkane『Straighter』を押したいところです。今回はダンスホールで突き進んだ作品で男前感/女前感がかっこ良かったですね。
馬渕:レゲエに接する態度がたぶんEnt Deal League(『ABCDEnt.』)とも近い感覚なんでしょうね。僕は09年って見るとサウンド発の作品が目立ったかなと思います。今年『Platinum Compilation Vol.2』も出したSunsetがプロデュースしたSing J Roy『Dee Jay Daddy』は凄く良かったですし、Rudebwoy Faceも『Bob』で幾つかサウンドとタッグを組んだり現場感を出したりと、いい作品が多かったですね。あと『Life Style〜』はその後の「レゲエ祭」と繋がっている作品でMighty Crownにおけるこの1年の流れを上手く作ってましたね。
 

Mighy Jam Rock
 
教授:大阪はまた違った流れがあって、例えばDaddy Dragonの『Pride』は2年ぐらい前から鬼ボスしている曲をまとめた作品ですけど、大阪のお店では凄い反応でしたね。あとラガラボMusiq(『I Am Raggamuffin』)にしてもMighty Jam Rock(『The Three Musketeers』)にしても地元のサポーターが熱烈です。
八幡:日本全国地域毎にサウンドがいて、その地域で作品を作っている状況が一段と増えたよね。大阪だけ切り取ってもアメ村辺りとBurn Down(『Sounth Yaad Muzik Compilation Vol.4』)らがいる泉州では違いがあって地域性がちゃんと出ているし。
教授:大阪は多くのアーティストがみんなアメ村まで自転車で通える範囲に住んでいて、歌う現場もあって、上は下に教えてくれて下が育つという。しかもホームスタジオも幾つかあって、録ろうと思ったらその夜録音して、曲が良ければサウンドがそれを掛けるっていう環境がありますからね。そういう意味ではZuraさんのベスト盤(『Aruz Studio Presents The Best Raggamuffin In Da Universe』)は大阪の象徴的作品とも言えますよね。
 
編集部:若手だったらどうですか?
馬渕:導楽の『Just Start It』は色んなコンピに入っていたのをまとめつつ新曲も入れた作品でしたが、バランスよく作ってましたね。あと「Road To レゲエ祭」で勝ち上がったたなけん『たなけんいいじゃん』もありました。
教授:Tak-Zも自分の色を出してたけど、Chehon(『Rhyme Life』)は大阪で長年やってきた人達の中にポンと入っても何ら遜色ないと言うか、たまに食うぐらいのパフォーマンスを見せてくれますからね。この作品も評価高いですし。あとラガラボMusiqは大阪でじわじわ人気が上がってるんですが、今や中高生にも人気なんですよ。
八幡:Boogie Manには腕のいい若い奴らを上手くダマしたなって言っときました(笑)。あとそうした地域性もあるけど、レーベル単位でファンも着いてたりしてね。
 

ラガラボMusiq
 
馬渕:安心感と言えばHome Grown『Do The Reggae!』は完成度が高かったですし、バンドならではのアルバムでしたね。他に安定感と言えばH-Man『不退転』とかMighty Jam Rockかなあ。
八幡:MJRって何のためにアルバムを作るのか意思が伝わってくるし、作り方が丁寧なんだよね。
教授:分ります! 常にジャマイカを意識し進化し続けているという点は揺るがないですね。でも最後の最後に出たChozen Lee『Rize Up』はかなりヤバかったかなと思いますけど。
全員:意義なしですね。
 
【2009年を振り返って】
平山:日本のレゲエ・シーンではコンスタントに作品を出している様なヴェテランの方がもっとレゲエを広めようという姿勢を凄く感じられました。そうした彼らの作品を聴いている若い世代が次の時代を作ってくれればいいなと思います。
道正:一例ですが、今年Steely Johnsonが亡くなってブログを含め様々なメディアで報道されましたが、大抵Steely & Clevieの作品ばかりを取り上げたんですけど、彼のキャリアを考えるとそれ以外にもRoots RadicsやBlack Rootsとかもっと色々あるんですよね。そういうところまで視点が行かないのはもったいないと思います。新譜を含め、ジャマイカの音楽をもっとトータルで聴いてもらいたいですね。
馬渕:Mighty CrownやSunset、もちろん他にも色々出てたんですが、今年はそうしたサウンド発の作品が印象に残ってますね。
八幡:ネットを含め膨大な数の曲が飛び回っていて、より身近で簡単に聴けるようになっている分、聴く側が音楽を雑に扱うようになっているのではないかなと危惧してます。便利になっているし、情報も溢れているけど、その分、それに流されない判断力が求められていると思うし、自分なりの楽しみ方を見つけていくことが大切かなと思います。
教授:ジャマイカに目を向けるとゴリVs.ガザでゴシップに追われてたかなとも思いますけど、いざこうして1曲1曲振り返ればグッドな曲が多くあったのは良かったですね。ただCapleton等のカルチャー系が弱かったので、2010年には彼らにもヤバいヴァイブスを放り込んで欲しいなと思います。


SKA, ROCK STEADY, ROOTS & DUB
【海外のスカ/ルーツ/ロックステディ】
大石始:スカやロックステディを深く掘り下げる作品だけじゃなく、そういう括りを越える作品の中で面白いのが多く出たと思います。例えばBitty McLean『Movin' On』はヴァラエティに富んだ作品で、ジャマイカの中からは出て来ない発想の作風だし。UKだけじゃなく、ヨーロッパ全体やハワイ、そして日本でもそういう動きがあって面白いですね。
岡部徳枝:一言でルーツ・レゲエと言っても現在進行形のジャマイカのそれとヨーロッパのそれとはテイストが全く違いますよね。
中村かづき:ヨーロッパの方が土着的というかベタですね。でもこのテイストって未だに世界中に存在するという。例えばハワイでは今でも王道的なレゲエを綿々と受け継ぎつつ独自のレゲエを育んでますからね。
宮内健:それが例えば日本でサーフ系と呼ばれる作品とリンクするのかな?
中村:日本ではMishkaやLee Everton、Nattyなどのファンと客層が似ていますね。
岡部:こうした土臭いレゲエって実際みんな好きですよね。ただブランニューのダンスホール・レゲエを聞いている人はこういうのは聞かないんでしょうね。その橋渡し的な作品になるのかな、Stephen Marley『Mind Control』のアコースティック版(『Mind Control Acoustic』)が凄い良くって。オリジナルより良いんじゃないかなって。
宮内:レゲエって基本的にリディムで語られてきた音楽だと思うけど、そうしたアコースティックな作品を通じてその基にあるものを捉えようとしている人達が増えた気がしますね。例えばThe SlackersのVic Ruggieroの作品を聞くと彼のバックグラウンドであるソウルだったりリズム&ブルースといったレゲエのベイシックなものが見えて来てそれは凄く良い事だと思う。多分ジャマイカ人じゃないからこそ色んな音楽をフラットに捉える事ができて面白いものが生まれるのかもしれませんね。
 

Bitty McLean
 
岡部:Satori(『A Shade Of Grey』)やRoot Diamoons(『With Other Eyes』)もそうだけど、Ska In The Worldの作品はどれも面白かったですよね。
宮内:Ska In The Worldって今や世界各国のスカやロックステディ・バンドの窓口になっているかのようにリリースしてますからね。
大石:あと00年前後のダンスホールの音を非ジャマイカ人が捉え直したものとして衝撃だったのは、Major Lazer『Guns Don't Kill People, Lazers Do』ですね。
宮内:去年の『Strictly Dancing Mood Vol.1』辺りから、レゲエから影響を受けてたり、レゲエと融合したものを楽しんで解釈する作品にスポットが当たるようになったけど、これって凄く日本人っぽい楽しみ方ですよね。
岡部:そこを知らない方がもったいない気もしますし。そういう作品を聴くとレゲエの初期衝動みたいなものが詰まってて面白いんですよ。
大石:そういう意味ではドイツのレーベル、Jahtariの編集盤も押したいですね。
中村:7インチの時から秘かに話題になってたんですけど、作り手が凄くレゲエを聴き込んでるなあって感じますよね。
大石:80年代半ばのジャマイカのトラックをチープなテイストで加工してるんだけど、こういうちょっと違う視点からアプローチした作品こそ聞いてもらいたいですね。
宮内:世界同時進行的にそういう動きってありますね。リスナーも気付かない内にレゲエっぽい楽しみ方を覚えちゃった人が増えてる気もするし。
大石:例えばデジタル・クンビアとかバイリ・ファンキってそうした動きとは確実に繋がっているものがあって、今挙げたMajor Lazerを気に入ったなら、そっちの世界にもズブズブ入っていけるっていう自由度の高い音楽ですよね。
 

Major Lazer
 
【日本のスカ/ルーツ/ロックステディ】
岡部:私はLikkle Mai『Mairation』を強く押したいですね。「こんなMaiさんが聴きたかった」というのが第一の理由ですが、ミュージシャンとのリンクがしっかりしていて、みんなが彼女の良さを引き出しているし、逆にMaiさんもそれに応えているし。地に足が着いているけど爽快にルーツ・レゲエを乗りこなしていますよね。
大石:異議無しですね。今までは敢えてDry & Heavy的なルーツな音を温存してたのでは?と思ってたのですが、今回は彼女が持ってるそうしたルーツ的なものを全部吐き出した気がします。勝負に出てちゃんと結果が出ていると思うし。
宮内:ルーツ・レゲエをやりつつもこれだけ上手く時代感を融合させるのはなかなか難しいしね。スカだったらCool Wise Man(『Rundown』)はどう? 今やシーンの中心にいると思うけど。

 

Likkle Mai
 
ジョゼ斎藤:CWMは勿論押したいんですが、その前に僕にとって今年のベスト・プレイヤーがicchieなんですよ。icchieがCWMに全面的に参加した事によって彼のスカに対する思想や姿勢などがCWMに浸透して、65年以降のスカが時代を飛び越えてこの作品に繋がったなって思います。
宮内:今年見たベスト・ライヴとも言えるのが春先に観たicchie Session Bandのライヴだったからね。本当、来てる感じがあるよね。
中村:スカと言えばThe Rude Pressuresの『Intensified』もそうだけど、この2つのスカ・バンドの作品は信頼感がありますよね。
宮内:スカと言えば石川道久セッションのライヴは素晴しいですね。石川さんはスカのサックス奏者ですけど、回りはレゲエの人やカリプソの人で固めてて、ラウンジっぽいんだけどイビツ感があってそれがまた最高で。あとちょっと毛色は違うけどReggaelation IndependenceとかThe Tchiky'sとかね、実際作品を出すところまでは行ってないけど、この手のバンドのライヴは凄く盛り上がっている。ライヴが凄くて作品も出してるとなるとRiddimates『Seven Gods In A...』、El Skunk Di Yawdie『Ragga Mariach』、EKD『Fantasma』が面白かったかな。
大石:特にEKDは今の雑食系アンダーグラウンド・シーンの象徴的アーティストかもしれないですね。
岡部:雑食系がどんどん増えてくれて楽しいんですけど、こうした音楽を聴いてて思うのは、色んな音楽を吸収できる日本人ならではの自由な音楽だなって。そういう意味では大阪の濃厚なシーンが垣間みれた『Tribe Called West Vol.3』も凄く面白かったし。
宮内:そうしたレゲエをフィルターにして色んなものを吸収して今の音を出している彼らは、本流ではないにしろある意味デカイ潮流になっているって思うんだけどね。
 
【2009年を振り返って】
大石:今のジャマイカにはない表現がヨーロッパや南米や日本で生れてきていて、今回挙げた作品はそれを象徴する作品だと思います。逆に言えばヨーロッパや日本でしか生まれ得ない表現に今後の可能性を感じています。本誌読者にもぜひそうした音楽を聴いて色んなものを発見してくれたら嬉しいですね。
宮内:ライヴを観に行けば日本のレゲエが動いていると実感できるし、実際、レゲエをフィルターに色んなものを吸収して別のものを生んでいる現場も多いので、なるたけ生で接する機会を増やして欲しいですね。今回挙げたものだけでなく、もっと面白いものも絶対にあるはずですから。
斎藤:僕はスカという狭い範囲を見ているのですが、悲観するより前に今の東京に住んで良かったなって思います。それはジャマイカのあの時代の続きを今ここで見せてくれるバンドがこんなにいるんだって思うからです。だからオールド・ファンにはターンテーブルを見つめるんじゃなくて、もっともっと現場に足を運んで欲しいですね。
中村:レゲエという括りの中だけでもダンスホール以外にこれだけの色んなものがあるので、CDショップやレコード・ショップでぜひ掘って、自分にとって良いなって音楽に出会って頂きたいなと思います。
岡部:他ジャンルからも注目されるほど、とんでもなく面白いって人はまだまだ少ないでしょうが、日本、海外共に全体的にレゲエの層は確実に厚くなってますよね。だからこれからもっともっとレゲエは面白くなると思いますし、皆さんの話を聞いて様々なシーンにもっと面白い人がいるっていう事実に興奮しています。きっと益々型破りな人や正統派でももっとスキルの高い人がどんどん出てくると思うので、これからがレゲエは楽しみだなって思います。
 

 
 
SELECTORS
● 大石 始
レゲエのみならず、中南米やアフリカ、地中海の音楽など、常に面白い音楽を探し続けているライター。本誌でも執筆多数。
 
● 岡部徳枝
本誌は勿論、その他音楽専門誌からファッション誌に至るまでレゲエを中心に執筆。真摯な取材及び文章は各方面から評価が高い。
 
● ジョゼ斉藤
CD配給会社勤務のライター。ジャマイカン・ミュージック全般に詳しいが、特にスカ、ロックステディ系がストライク。
 
●宮内健
スカからミクスチャーまで古今東西の面白いものを追い求める編集者。面白い音を発する現場には必ず彼の姿がある。
 
● 中村かづき
渋谷にてレコード・ショップ、Coco-Isle Music Marketを経営。メントからダンスホールまで手堅くフォローするが、カリブ系全般とハワイの音楽にも精通。
 
● 道正和行
西新宿にて時代に関係なくジャマイカン・ミュージック全般を扱うレコード店、Reggae Shop Natを運営し、セレクターとしても活動。
 
● 教授
ジャマイカの現在の音を発信し続けるレコード・ショップRockers Island大阪店店長。今ジャマイカで何か起こっているかを注視し続けダンスホール・シーンを冷静に分析。
 
●馬渕信彦
日本のダンスホール系アーティストを中心に積極的に取材を続ける音楽ライター。丁寧な取材による丁寧な文章を提供してくれている。
 
● 八幡浩司
24×7 Records代表。会社名の通り常にジャマイカン・ミュージックを各方面からサポートしている。本誌でも多くの原稿を執筆している。
 
● 平山知佳
タワーレコード渋谷店においてジャパニーズ・レゲエの売り場を担当。レゲエへの愛情の深さと共にバランス感のすぐれたバイヤー。

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