HOME > 322 > Riddim Awards 2009 - REGGAE - Di DANCEHALL CONFERENCE / DJ BANA×SAMI-T×TANCO

topics

322    ARTISTS    BANA    RIDDIM AWARDS    SAMI-T    TANCO

Riddim Awards 2009 REGGAE
Di DANCEHALL CONFERENCE
DJ BANA×SAMI-T×TANCO
 
Text by Nobuhiko Mabuchi / Photo by iGa-c
 

 
Mighty CrownのセレクターSami-T、Home GrownのリーダーTanco、そしてラジオのDJはもちろん、現場のMC&セレクターとして活躍中のDJ Bana。様々な方向からレゲエ・シーンを支え続け、なおかつキモの部分を担う3人に2009年のレゲエ・シーンを振り返ってもらった。
 
●最初のテーマは2009年の海外のダンスホール・シーンについて。みなさんどんな印象でしたか?
Sami-T:音が変わってきたっていうのが強いかな。BPMも速くなってるし。特にジャマイカはヒップホップ寄りというか、アメリカナイズされてるんじゃないかな。あとはGully vs Gazaじゃないですかね、09年は完全に。(Vybz)Kartelが相当目立ってたし。まぁ最近和解しましたけど。
Bana:殺し合いにも発展しちゃってたしね。良くないことだけど、それだけジャマイカではレゲエと生活が密接だってことだし、改めてレゲエにはパワーがあるなと思った。
Sami-T:あと現場が偏り過ぎてたね。Kartelのチューンしかプレイしないセレクターとか、自分を持ってないっていうか選曲がワンパターンでさ。正直ジャマイカにいるときは面白くないダンスも多かったね。ワン・ドロップなんてほとんど聴かなかったし。
Tanco:昔はワン・ドロップからダンスは始まったんだけどね。
Sami-T:最近のアーリーはR&Bとかヒップホップ。まぁジャマイカ人は新しいもん好きだからってのもあるんだけどね。現場はもっとバラエティがあっていいと思う。
Tanco:俺がジャマイカで感じたのは、ラジオでヒットしてる曲と現場の曲がだいぶ変わってきてること。リリックの規制が厳しくなったのもあるんだろうけどね。あと09年のブランニューはR&B色が強かったね。ビートはまさにR&Bって感じだったし。
Sami-T:そうやって進化するのはいいことだけど、ひとつの傾向に偏っちゃうと面白くないよね。
Bana:09年はいい歌モノがけっこうあったのに、ジャマイカの流れがそのまま日本にきて、あまり現場じゃかからなかったなぁ。Penthouseの"Automatic"みたいなオケだったら、もっとかかると思ったんだけどね。
Sami-T:いい歌モノが多かったというのは09年のポイントだったと思うんだけどね。Tarrus(Riley)、Etana、Beres(Hammond)、Roman(Virgo)とか。でも、現場じゃかからない。
Bana:ちょっと寂しい気もしたね。
Sami-T:下手クソなDeeJayのチューンはバンバンかかってるのにさ。正直ジャマイカの音楽的なクオリティが下がってるようにも感じたね。
 
●いい歌モノのリリースが多かったこと以外で、09年のプラス要因を挙げるなら?
Sami-T:いろんなダンスがある中で、80'sとか90'sとかオールディーズ中心のダンスに人が入ってたこと。最新の流れが強い中でも、自分らがレゲエにハマった当時のグルーブとかビートが死ぬことはないってことを再確認できた。そこはさ、やっぱりみんな感じてるんだよね。俺も現場で「最近はみんなGully派だとかGaza派だとか言っちゃってて、そんなんで大丈夫なのか、ジャマイカ!」ってMCで煽ってオールディーズかけると、凄ぇウケるし、歌うんだよ。みんな本当は好きなんじゃんって(笑)。まだレゲエの根っこは腐ってないって実感できたのは、俺にとってプラス要因かな。
 
●転じて日本のダンスホール・シーンについては、どんな印象でしたか?
Bana:ダンサーの人たちが頑張って、あまりレゲエを知らなかった人たちも現場へ引き込んでくれた年なのかなって思う。
Tanco:地方に行っても新しいダンスをよく知ってるんだよね。よく勉強してる。でも、逆に踊れない人は輪に入っちゃいけないって雰囲気の現場もあったなぁ。別に全員が決まった振りで踊る必要はないし、もっと自由でいいと思うんだけどね。ジャマイカだとラスタマンが自由に踊ってる現場をよく見かけるけど、そういう決めつけがないのがレゲエだし。
Sami-T:セレクター視点で言うと、ジャマイカの流ればっか追っちゃって日本人をかけないセレクターだったり、ジャマイカと同じで偏りが気になった。やっぱ日本で生まれたレゲエもあるわけだし、そこをサポートするのが日本人のアイデンティティだと思うんだけどね。
Tanco:09年はさ、サウンドがやってるレーベルからのヒットだったり、サウンドがプロデュースした曲が多かった気がするんだけど。
Sami-T:確かに。
Tanco:そこで「俺は他のサウンドの曲はかけない」とか、そういう気持ちが働いちゃうセレクターもいるのかな?
Sami-T:いますね、けどその考え方は間違ってると思う。そんな対抗意識よりも団結するべき。日本のシーンをみんなで盛り上げていくことが必要なんじゃないですかね。誰かがリリースしたらサウンドマンもプロモーターも協力して、その曲がどこでも耳にできるような仕組みにするとかね。
Tanco:最近はレゲエが広まったぶん、いろんな考え方の人とかレゲエっぽい人も増えたからね。実際にシーンが大きくなって、じゃぁこれからどうするかってことを改めて考えていくことが必要なのかもしれない。シーンの第一線でやってるパフォーマーは、誰ひとりとして胡座かいてる人はいないからね。みんな一生懸命やってるし、スキルは年々上がっているし。
Sami-T:海外の連中よりもプロ意識が高いと思うね。来日したアーティストは、みんなクラって帰るから。
 
●09年、若手で気になったアーティストはいますか?
Bana:『不退転』に入ってた「デバンダ」でH-ManとコンビネイションやってたApolloは、実際にライヴ観てこれからが楽しみだと思った。あとは風輪も面白いな。自分たちの色がハッキリしてるから。他にもTak-ZとかG2とか......。
Sami-T:若手は普通にレベルが高いよ。Rueedなんて10年後はどうなんだよ(笑)。
Tanco:俺がパフォーマンスで目立ってると思ったのは、ChehonとRudebwoy Faceかな。
Sami-T:(ラガラボMusiqにも所属する)Arm Strongも一緒にやってみて凄ぇと思った。やっぱ目立つ奴って勢いあるよね。上に噛みつくくらいで丁度いいと思う。
Tanco:あと大阪のDeeJayの先輩たちは後輩に凄いティーチしてる。「あの間はよくなかった」とか「歌い過ぎだよ」とか。シーンの厚さをキープしてるのは、先輩が後輩へ引き継いでるものが大きいと思ったね。
 
●あと09年はH-Man×Nanjaman×Jr.Deeの「Triple Cross」など、ヴェテランの存在も見逃せなかったです。
Tanco:ヴェテランはヴェテランでどんどんクオリティが上がってる。年々一緒にやってて楽しいよ。
Sami-T:NG(Head)とかBon(Papa B)くんも凄かったね。
Bana:09年はアルバムを出さなかった分、次の作品が楽しみな二人だよね。もちろんその二人だけじゃなくて、次にどんなことをやるんだろうって思わせてくれたのがヴェテランだったかな。毎年『Di VIBES』の選曲とミックスをやらせてもらってるから年末が近づくと若手からヴェテランまで作品を聴き直すんだけど、ヴェテラン勢は必ず進歩を感じさせてくれるからね。
 

●今年の『Di VIBES』は、どんなテーマで制作したんですか?
Bana:単純にレゲエってテーマがあって。ミックスの方(Disc-2"Cruisin' Vibes")を聴いてもらうと分かりやすいけど、ジャマイカのアーティストやサウンドの名前が出てくるんですよ。しかも相当な数の名前がね。そういうレゲエのキーワードが自然と耳に入ってくることで、あとから何か気づいてもらえれば、ってところが狙いですね。あとは例えばPushimのファンがTak-Zも聴くようになったり、もしかしたらその逆もあるかもしれないし、そういう広がりのキッカケになればと思ってます。いろんなアーティストのチューンを織り込めたし。
 
●そんなビッグ・チューンの他に今作ではブランニューが1曲、Moominの名曲「キミを想う夜」のカヴァー(New Generation Mix)が収録されています。
Bana:前回はSpitzの「空も飛べるはず」をTak-Zにカヴァーしてもらったんだけど、今回は日本のレゲエ・アーティストの曲をそのままカヴァーするのも面白いかなと思って、ハイジとMoeastとMison-Bのコンビネイションにしたんですけどね。しかもMoominにプロデュースしてもらって。で、またMoominのオリジナルを聴くキッカケになってもらえればと。
Sami-T:そういう考え方は大事だよね。
Bana:音楽って初めて聴いたときがその人の新曲になるから。そういう想いで毎年『Di VIBES』を続けてます。
 
●最後に2010年に向けて、みなさんの抱負を聞かせてください。
Tanco:日本で生活しているといろんな音楽が聴こえてきてブレそうになるときもあるんだけど、そんなときはジャマイカへ行ったりしてオーソドックスにレゲエを突き詰めていきたいと思ってます。あと今年も他ジャンルとのリンクがスケジュール的に実現できなかったんで、来年は形にしたいなと。
Sami-T:2010年、まずは景気回復ですかね。期待してるし良くなる気がする。あと個人的には、やれることをやるっていうのが基本。自分がハマった頃のダンスホールを若いコに伝えていきたいしね。「横浜レゲエ祭」も2009年で第1章が終わったんで、2010年は内容重視でいく。選曲ひとつにしても今年を越えなきゃいけないし。
 
●その『横浜レゲエ祭2009』のDVDがリリースされましたが、本編はもちろん見どころ盛りだくさんの内容でした。
Sami-T:映像特典でいろんな人からいろんな視点のコメントをもらってて、俺も観てて面白かったですね。景気が悪い世の中だから、Crownファミリー的には逆に09年は何事も派手にやろうって感じだったからね。「レゲエ祭」もCrownの動きも含めて、すべて結果オーライだったと思います。2010年は年男なんでかましますよ。噛みつく虎で!
 
●では、Banaさんも虎年に向けてひと言お願いします。
Bana:昔のチューンを掘りつつ新曲も現場で伝えられるように頑張りたいですね。もっともっとレゲエしようと思います。



"Di VIBES - Japanese Reggae Selection 2009 Selected & Mixed by DJ Bana"
V.A.
[Neosite / KSCL1478-9(CD2枚組)]
2009年のジャパニーズ・レゲエ・シーンを揺るがした44アーティストによる32曲を収録(16曲入りのDisc1"Pure Vibes"と29曲をミックスしたDisc2"Cruisin' Vibes"の2枚組)。ハイジ, Moeast & Mison-BによるMoominの「キミを想う夜」カヴァーも初めて収録。



"横浜レゲエ祭2009 -15周年-"
V.A.
[EMI / TOBF-5655(DVD2枚組)]
脚本・監督・主演、Mighty Crown。2009年9月5日横浜スタジアムにて開催された同イベントを完全収録。ライヴ場面では今回の座談会に参加してくれたTanco率いるHome Grownの演奏ももちろん収録。貴重な映像や証言等で構成されたDisc2を含め歴史に残る貴重なドキュメント映像集。

top
top
magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

columns

GO BACK

ISLAND EXPRESS
UK REPORT
WHAT THE DEAL IS
PLAY IT LOUD
RECORDS & TAPES
RAW SINGLES
CHART
RING RINg RING
BOOM BAP
Day In Da West

columns
columns

columns
columns
columns
columns
page up!
Riddim Nation

"Riddim"がディレクションする
レゲエ番組「Riddim Nation
第19配信中!

Go RiddimNation!

nation