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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
 
ALBUM 
 
1. Timbaland Presents Shock Value II / Timbaland (Universal)
約2年ぶりの3作目。今回もJustinやNelly Furtado、Keri Hilson、新人のSoShyらファミリー総動員のオールスター・アルバムとなっているのは言わずもがな。で、独特の低音で歌うTimboのパートも増えたような...。Drakeや、Brandy=Bran' Nu、Estheroなどとの大半の曲は単純にカッコいいが、Katy Perryを始め、ドラマ『ハンナ・モンタナ』でお馴染みのMiley Cyrusや、Chad Kroeger(Nickelback)、The Fray、Jetといったクロスオーバー系はキツイかも。あと、Danjaの不参加も痛い。最先端、ではなく延長線と捉える分には決して悪くはないが。
 
2. Before I Self Destruct / 50cent (Universal)
以前から用意されていた「自己崩壊」をコンセプトにした4thアルバム。そのヘヴィでダークな内容は、"本作中、唯一のゲスト・ラッパー"でもある盟友Eminemの新作の隣に並べても遜色ないものとなっている。Dr. Dreを中心に、Ty Fytffe、Mark Batson、Tha Bizness、Havoc、Rockwilder、DJ Khalilといったプロデューサーがビートを用意。そんな中でPolow Da Don制作のNe-Yoとの「Baby by Me」はやや浮き気味ではあるが、トータルの聴き応えは充分なラップ・アルバムとなっている。
 
3. The Seventh Seal / Rakim (Argus)
最も神クラスのMCといえば? やはりこの人。ソロ2作目から約10年ぶりとなった本作は、自身のレーベルRa Recordsからのリリースで、話題のシングル「Holy Are You」などを制作したNick WizがA&Rを務め、Jake One、Notz、Needlz、Lofey、Neo Da Matrix、DJ SlyceらRakimと相性の良さそうな音を作るビートメイカーたちが参加している。実際、サンプリング、あるいはフィーチュアリング・シンガーの存在は目立っていて、前作からの流れを踏襲している部分も。それ以上にRakimの普遍的なラップ力が感じられるところがミソか。ボーナス曲は、例の豪華リレー。
 
4. The State Vs. Radric Davis / Gucci Mane (Warner)
A-タウン(アトランタ)で、いかにも極悪!という雰囲気を醸しだす声とフロウの持ち主は、T.I.、Jeezyだけにあらず。その2人よりも、声そのものは荒れてないが、ある意味ねちっこく、絶妙なタイム感で聴かせるのが、この男。今年の顔の一人といえる彼の4作目には、時をほぼ同じくしてオツトメが決定したLil Wayne、Rick Ross、Soulja Boy、Plies、Oj Da Juiceman、Bun B、E-40、Camron、Usher、Keyshia Coleらが参加しているが、どの絡みでも主役の存在感は光っている。プロデューサー陣のラインナップも最強の、まさに旬の1枚に。

 
5. DJ Khaled & E-Class Present Live From The 305 / DJ Khaled & E-Class (Victor)
Ace Hoodを擁するWe The Bestの成功を買われデフ・ジャム・サウスの舵取りを任され、早速Rick Ross率いるTripleC'sのアルバムでA&Rを担当したDJ Khaledと、同じくマイアミのタレントが揃うPoe Boyの設立者E-Classが贈る、最新のマイアミ選手名鑑的コンピ。Poe Boy絡みだけに、その稼ぎ頭であるFlo Ridaが活躍しているのは当然として、他にもTrick DaddyやTrina、Ace Hood、またRepニューオリンズのJuvenile、また既発の「Yeyo」にはRick Ross、Pitbullも入ってるが、若手の顔見世的な意図も成り立っていて、トータルのクオリティも高い。
 
6. Attention Deficit / Wale
Rootsの前作やJustice「D.A.N.C.E.」のリミックスへの参加、いやそれ以上にミックステープで"次代のホープ"の座を約束されていたワシントンDC出身の彼、ようやくのデビュー作。Lady Gagaとのシングル「Chillin'」は、ひとまず忘れて...。Mark RonsonのAllidoとの契約、ということもあり、他のサウンド・プロダクションは万全。ゲストにはBun B、Gucci Mane、J.Cole、Chrisette Michele、K'naan、Jazmine Sullivanなども。非ギャングスタなスタンスはコンシャスな「Shades」などにも表れている。GoGoなどの取り入れ方(?)や、スキルフルなラップが光る好盤。
 
7. Cocky & Confident / Juvenile (Atlantic)
快調なのはLil Wayneだけじゃなく、その兄貴分であるBirdmanやB.G...そしてこのJuvenileも約3年半ぶりとなる新作を完成させた。元から個性の強い声とファンキー・フロウで売っていた彼だけに、今回も彼らしさ、マグノリアらしさは全開。程々に暑苦しいラップ・アルバムに仕上がっている。Preciseが手がけた「Gotta Get It」、Shawty Lowが手がけ、Dorrough、Kango Slimと参加した「We Be Getting Money」、またシンガーではBobbie V、Pleasure P、Rico Loveとかなり力が入ってる。
 
8. 朝帰り / Crazy T (Kix)
カンザス・シティのMCバトル・シーンで名を馳せ、2Noble YouthsでアルバムをリリースしているCrazy Tのソロ初、しかも日本制作によるアルバム。地元のラジオ局KJHKにて、日本の音楽を流す番組をDJ Wasabiと共に担当する彼は、08年の3度目の来日の際、数々の日本のアーティストへインタビューを敢行し、意気投合したE.G.G.Manとの「喝采」、そしてソロEP「朝帰り」を発表したのだが、それをヴァージョン・アップさせたのが本作となる。E.G.G.Man、神、Norikiyo、Rumi、Ashra、65 Syndicateらが参加し、Lil' Ogi、Lucha、Zorroらがトラックで援護。ちょっとないタイプの英語ラップ・メイン作が誕生した。
 
9. 夜の盗賊 / Meiso (Ultra-Vybe)
03年のB-Boy Park MC Battleの覇者で、地元ハワイと故郷のある日本を中心に活動していた外人21瞑想改めMeisoの初作。言葉、いや詩が溢れ出す卓越したスキルを持つリリシストである彼は、過去にMichitaの『Two』で「ソラニシラレヌ」「雨の音」を吹き込んでいるが、前者はStillichimiyaのYoung-Gのリミックス、後者はChiyoriを迎え生まれ変わり、Vector Omega a.k.a. Shing02制作、共演曲「夜道」もアルバム版に。グサっとくるストーリーテリングを含め、かなりのハードリスニング作に。
 
10. ゆめものがたり / Erone (IFK)
今年のアワードでも上位入選した、韻踏合組合、Chief RokkaのErone、初のソロ・アルバム。フリースタイルでもその実力を如何なく発揮してきた(09年UMBの大阪代表)彼は、ガッチリ韻を踏みながら、意味を探ろうとするリスナーを煙を撒く様なリリックが得意な印象があるが、テーマ設定が割と明確で、全体の流れもいいこのソロはこれまで以上に不思議な聴き応えを感じる。そして、その感覚は他では得がたい魅力だったりするのだ。ビートメイカーは、キーマン的役割を果たしたと思われるAli-Kickに、Evis Beats、Mr.Fukusan、Akio Beats、Nao The Laiza、そしてDJ Watarai他。ハマると無限。
 
11. Where's My Money / Sticky from Scars (P-Vine)
ネガティヴ、と思われる事象を歌いポジティヴに転化させるのではなく、あえて冷徹な視線を貫くStickyのソロ。「テーマはズバリ金!」という本作は彼の個性を弁えたI-DeA がエグゼクティヴ・プロデューサーを務め(他のビートメイカーではSac、DJ Munari、Jakkpot、Diori aka D-Originu、 Mr.T.Kら)、主役の目に映る現実という名のストリート・ドラマを展開。実に淡々と、しかも時に力を抜いて語りかける様にシニカルにスピットする彼のスタイルは勢い云々ではない意味でかなりハード。ゲストは漢、Seeda、林鷹、Bron-K、鬼、Shiba-Yankee他。
   
12. Spellmatic / Nomad The Sex Garden (Ultra-Vybe)
06年より活動開始し、アカシック・レコードを設立後に磯友が合流し、空也MC、B-27との3MC/No DJ/No Track Makerスタイルになったという埼玉遊牧民の彼らの1st。 Eccyが全曲プロデュースした本作は、古い例えかも知れないがGoatsもしくはAPCの1stを初めて聴いた時の、カウパー放出的な衝撃に似ている...ような。要するに超フリーキーなライムぶっかけスタイル。主催するイベント「Night Garden」に出演したこともあるJuswannaのメシアtheフライや、タクザコドナも参加。

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