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THE MAZE

""White by Christmas""
Text by Reiko NAGASE SMITH
　
　ヒット・チャートは見事にガリ、ガザ、ガリ、ガザと並んで上位、ダンスの現場でもストリートでも、公共バスに乗っても島中ガリとガーザ。「My Money (Ha Ha)」が一番の大衆チューンで、レッド・ストライプのCM、キャンペーン・チューンとしても使われてるから、島中いたるところで「モニモニはっはー」。
　
　マヴァードとヴァイブス・カーテルの音楽抗争は、ダンスホール音楽の子供への悪影響からつねに問題視されて、社会問題に発展してしまっている。首相ブルース・ゴールディングが国会や政党大会でこの問題をまじめにとりあげるほど。とくに中高生の校内暴力が問題となるなか、なにかにつけて叩かれるのはダンスホールで、アーティストたちの苦悩の種。
　
　スクール・バスの中で性的不純行為をする中高生が、ジャマイカの新聞『オブザーバー』紙によってルポされた。個々のアーティストに直接的な責任はないものの、問題のバスが窓を黒く塗りダンスホール・ミュージックを爆音でかけていることから、ダンスホールのティーンエイジャーへの悪影響がさらに問題視されて、とくに、中高生に人気のカーテルに矛先が向いているようだ。
　
　ガリ・ガザ抗争は、アーティストのリリック合戦から離れて爆走中。ガザ・グッズ、ガリ・グッズを違法に制作し、学校前の露天商で売られて摘発された騒動も大きく報道された。校門前には学校公認で屋台がでていて、ドリンクや食べもの、スナック、文房具や生活必需品など売っているのだけど、問題となったのはカーテルとマヴァドの写真を使ったバッジやカード類などで、これらグッズはすべて、カーテルにもマヴァードにも無関係なところで作成されたもの。これがけっこう人気でこの不景気のなか、よく売れていたという。生徒たちはドリンクや食べものを我慢してまでこのグッズを買ったりしたらしい。
　
　マヴァードのバースデー・バッシュが12月5日に予定され、ダンスホール年末年始イヴェント目白押しのシーズンをビッグに皮切りするイヴェントとしてファンが待ち焦がれるなか、マヴァード自身がライバル・ガザの頭、ヴァイブス・カーテルを招待した！　ついにガリ対ガザ和解か？　終戦か？　で、一時湧いたのだけれども。ガーザは、ほかのショウに出演する予定があることを理由に、マヴァードのこの招待を断った。ちょうど同じ日に、ガーザの大ファンである世界的陸上選手のUsain Boltがダンスホール・パーティをひらくのだ。このパーティにヴァイブス・カーテルは出演予定。
　
　ガザのファースト・レディ的存在の女性アーティスト、リサ・ハイプが「Proud A Mi Bleaching」でジャマイカのタブーであるブリーチを奨励するようなチューンをうたい、論議を醸した話を先月号に書いたけど、その論議もさめないうちに、オーラル・セックスを示唆したリサ・ハイプ自身の写真がインターネットで流出。オーラル・セックスはジャマイカのタブー中のタブー。とくにレゲエ、ダンスホールでは昔から忌嫌われ嘲笑の的となる行為。問題写真流出後、即行でリサ・ハイプが釈明表明をしたのだが、それがまた釈明というより、やらせかな？と思わせるようなドライぶり。
I did it, so what?（やったわよ、それが何？）
ハイプ革命もさらにエスカレート。
　
　さて、このクリスマス・シーズン、ガザ対ガリはどんな動きをみせるかな。Bad man nuh bore tongue. Frass di baddest! Season's Greetings！
　
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