HOME > 322 > BOOM BAP #22 No.322

topics

322    BOOM BAP    COLUMN

BOOM BAP
CHILLIN' WITH WALE
 
正直に話そう。オレはRick Ross を初めて聴いた時、いたってフツーなヤツだと思った。「Hustlin」や「Biggest Boss」のようなヒット・シングルがあったもの、アルバムの内容がそこそこで、それほど注目していなかったのだ。
 
最近、Rossには色々つらいことがあった。例えば、50Centからは激しい攻撃を浴びている。ThisIs50.comにアップされた「Officer Ricky」や、Rossの元彼女とのビデオなどはRossに恥をかかせるには十分だっただろう。また、彼がかつて刑務所で働いていたことも彼の名声に傷をつけてしまった。しかし、この逆境の中、彼のラップやミックステープ、そしてレコードのクオリティは確実に上がっている。
 
苦難を乗り越えれば強くなれる、と昔から言われているようにRossのアルバム『Deeper Than Rap』は彼のキャリアの中で文句なくベストだろう。このアルバムは50Centの最新作『Before I Self Destruct』とほぼ同数売れている(『Before〜』 が158,000枚対して『Deeper〜』160,000枚)。また、BillboardのHot 200で『Before〜』は第5位に対して『Deeper〜』は第1位にチャート・インしたのだ。「男も女もウソをつくが数字はいつも正直だ」とJay-Zがいつも言うように、今どちらが笑っているのか想像してほしい。
 
The Bawse(Ross)は彼の Maybach Musicのアーティストを着実に増やしている。たとえば、長年一緒に活動してきたCarol City Cartel (a.k.a. Triple Cs)や、ダンスホール・アーティストのMagazeenだ。「Magazeenはレゲエとダンスホールの未来形なのさ」と、2009年初め、Newark New JerseyでのRossとTriple Csとのショーを終えたMagazeenは言う。「オレはレゲエにとらわれない活動をしたいんだ。レゲエとヒップホップ、ラテン、ロック、あらゆる音楽をミックスしたいと考えている。言葉と音とそしてパワー、それが音楽なのさ」
 
2年ほど前のMagazeenはKingstonのBack BushからMiamiにやってきて、カーディーラーで働き始めた若者だった。「オレは(ダイムラー・クライスラーの高級車)Maybachを洗う者からMaybachを運転する者になった。夢は現実になるのさ」とは、ステージ直後の本人の弁だ。そんなMagazeenを『Deeper Than Rap』の「Yacht Club」のフックで聴くことができる。また、彼はミックステープ『Select One』とデビュー・アルバム『Jamaica Gates』の制作中だ。ところで彼は、自分のネーミングが"雑誌"なのか"マシンガンに装着する銃弾装填カートリッジ"に由来するのか、決して明かそうとはしない。
 
オレはRossほどレゲエ・アーティストを大事にするラッパーを知らない。そこで彼にその理由と彼の"レゲエ愛"について訊いてみた。「Miamiで育ったので」とそっけない感じでRossは話し始めた。「オレの小さい頃からの親友はジャマイカ人だった。だからオレは彼らの文化を間近で見ながら育ったのさ。7月4日(アメリカ独立記念日)に友達の父親がヤギを1頭持ってきたんだ。オレはペットにでもするのかと思っていたら、そのおやじさん、洗濯物干しロープにそいつをぶら下げて、その下にバケツを置いて...。翌日、オレ達はヤギ・カレーを食べていたよ。そんな環境だったから、Peter Tosh やBob Marleyはいつも聴いていた。Bob Marleyの力強い声と彼の音楽はオレに最も影響を与え続けているし、レゲエとそれを生んだジャマイカをリスペクトしているのさ。そこで色々と探っていくうちにMagazeenのようなヤツにめぐり会うことができた。彼はストリートで生き、そこで音楽を創っていた。彼は金で動くような男ではないよ。
 
RossはMagazeenの落ち着きのある性格が非常に気に入っているようだ。「この世界に入ってくる若い連中は業界の華やかな雰囲気にやられてしまうんだ。ジュエリーをたくさんぶら下げてみたりしてな。Magazeenは控えめなヤツだよ。朝6時にスタジオで起きて聖書を読む。ガンジャを1本吸っては一日中曲を書いていたりするんだ。そしてその集中力が凄いのさ。だからオレは彼と仕事がしたくなったんだ」
 
これほどまでにラップ・アーティストであるRossが1人のレゲエ・アーティストと深く関わる理由は何なのだろうか。
 「オレはとにかくレゲエが好きなんだ。Beenie Manは、オレが最も好きなアーティストの一人だし、Shabba Ranksも最高だな。ジャマイカの文化も食べ物も好きさ。あそこは一番のヴァケーション・スポットだな。約1カ月前にKingstonでビデオを撮影したんだ。この記事が出る頃にはウェブにアップされているかもしれないからGoogleで『Illustrious』と検索してみてくれ。ビデオはHellshireで撮影したんだが、そこでオレ達はUS1,000ドルをロブスターなどのシーフードに費やしたんだ。King Fish、大きなSnapper、そしてFestival Breadなどを食べたな」。彼らはBennie Manの「Summer Sizzle Stage Show」にも出演したのだが、とにかくRossはHellshireビーチのシーフードが忘れられないらしい。「まあ、きいてくれよ」と彼は続ける「とにかくあそこはNo.1スポットだよ。新鮮な魚介類を電気ではなく薪で焼くんだ。ロブスターや魚、なにもかもが新鮮なんだ。Kingstonに行ったら絶対行くべきだよ」。Rossの成功の秘訣はいつも彼がハングリーだからかもしれない。
  
TEXT BY ROB KENNER
アメリカの『VIBe』マガジン、VIBE MEDIA GROUPのエディター・アット・ラージとしてREGGAEコラムを執筆中。HIP HOP/REGGAEに深い愛情を持つ。
Website → www.boomshots.com

top
top
magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

columns

GO BACK

ISLAND EXPRESS
UK REPORT
WHAT THE DEAL IS
PLAY IT LOUD
RECORDS & TAPES
RAW SINGLES
CHART
RING RINg RING
BOOM BAP
Day In Da West

columns
columns

columns
columns
columns
columns
page up!
Riddim Nation

"Riddim"がディレクションする
レゲエ番組「Riddim Nation
第19配信中!

Go RiddimNation!

nation