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THE MAZE

(U KNOW)What the deal is
　
VH1なるアメリカのケーブル・テレビ局が毎年、『Hip Hop Honors』なる特別番組をやっている。まあ、タイトル通りいわゆる名球会とか、殿堂入りのノリなのだが、今年はヒップホップのレーベル、デフ・ジャムの25周年を記念したものとなった。
　
犬猿の仲となっていた創始者、リック・ルービンとラッセル・シモンズ両氏が同席のインタヴューは興味深いものだったが、ヒップホップ黄金期の立役者となった多くのデフ・ジャムのアーティストたちはなぜか黙殺されており、非常に内容の薄い番組だった。それを埋め合わせるかの様にエミネムがLLクールJのトリビュートを行なったり、不参加だったジェイ・Zの代わりに酔っぱらいのカニエ・ウエストがトリを務めた？
　
デフ・ジャムと言えば、Tラ・ロック、ジャジー・ジェイ、スリック・リック、LL、パブリック・エネミーじゃないでしょうか？　前述の3組は、名前すら出てこなかった？
　
●今月のジャム
ニュー・アルバム『Ghostdini The Wizard Of Poetry In Emerald City』をドロップしたばかりのゴーストフェイス・キラが、ツアーの一環で、地元NYで11／11、タイムズスクエアのBBキング・ブルース・クラブ・アンド・グリルでライヴを行った。自身の新旧曲、ウータンでの参加曲のメドレー、シオドロユニットとのコラボなど非常に濃い内容のライヴで、ゲストに、盟友、レイクワン、カパドーナなどを迎え会場にWサインが乱舞した？
　
●今月のアニヴァーサリー
年々、黒に戻って行く感じのこの企画だが、前述のデフ・ジャムが25周年なら、こっちは36周年という、まあ、想像もつかなかった数字だが、アフリカ・バンバータ率いるズールー・ネイションの記念イヴェントが、この原稿を書いている時点でNYの各地で行われている。今年はいつものズールー陣に、この20年間皆勤賞のKRSワン、数年間レギュラーっぽいキャンプ・ロー、懐かしいラキム・シャバズ、更にまた懐かしいトラブル・ファンクが出演している。しかし、なぜある一定の世代から、ズールー・ネイションに参加しないのかは、疑問に感じる。現代っ子達の性格なんでしょうか？
　
●今月の誕生日？
NYラジオのミックス・ショウのパイオニアの一人であり、一時期はグループでも活動していたチャック・チルアウトの誕生日を祝って、これまたBBキング・ブルース・クラブ・アンド・グリルにおいて11／6にライヴが行われた。出演は、なんとソウル・ソニック・フォース、ミルク・D（！）、ポジティヴ・K（!!）、スクーリー・D、そして最高のパートナーだったクール・チップ、MOPともう止まらない親父たちばかりで、感涙でした？
　
●今月の出所
10年余りの刑期を終え、シャインが10月半ばに出所した。個人的には知らなかったが、彼は中米のベリーズ（旧イギリス領、ホンジュラス）出身で、父親が現首相で、強制送還されたシャインの引き取り人となり、この報道となった。P.ディディの身代わりの様に入所して、結局出所してもサポートされないというかたぎも怖いが、服役させておいて永住権を剥奪する政府も恐ろしい。なお、シャインの長年の刑務所暮らしが原因とされている健康状態も相当悪く、生命の危険もあると首相のステートメントにある。なんとも後味が悪い？

　　
沼田 充司
DJ／プロデューサー。 レーベル＜ブダフェスト＞主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]