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321    COLUMN    UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND
 

Levi Roots
 
Greetings Friends,
 
●先月のUKレゲエ界で特筆すべき大きな動きはなかったように思う。強いて挙げるならば、London発のローカル・ニュースとしてLevi Rootsの音楽活動再開だろうか。彼は2006年に『Dragon's Den』というTV番組(かつて日本で放映されていた『マネーの虎』のUK版)で"Reggae Reggae Sauce"を新ビジネスとしてプレゼンし見事資金を獲得。一躍、時の人となった。このクッキング・ソースはカリブ料理とはきっても切り離せない程の大人気商品になり、LeviはTV出演も多いリッチな有名人になった。もはや彼は音楽で生計をたてる必要はないのだが、音楽に対する愛着が彼を再びレゲエへと呼び戻したのだろう。彼は70年代後半からBrixtonをベースにしていたサウンドシステム、Sir Coxsone Outernationalでマイクを握り、80年代に数々のルーツ系ヒットを放った。また、UKの優秀なミュージシャンを使い、彼自身のレーベルから多くのシンガーやDJをデビューさせている。しかし、彼名義のデビュー・アルバム『Free Your Mind』は98年になってやっとリリースされたのだ。それから10年以上も経過した今年、Leviは彼自身のSound Boxレーベルから新作『Red Hot』を発表する。The Chi-Litesの「Stoned Out Of My Mind」(Mighty Diamondsも歌った名曲)を始め、「Black On Black」「Mix Up」「Border Avenue」「Try Try」「US Africa」等、ルーツ音楽に余り馴染みのないリスナーのための気配りが曲のタイトルにも表れているようだ。TVの料理番組で音楽と料理を巧みにブレンドした(番組のBGMはクラシック・レゲエ・ファンにはたまらない選曲だ)彼の事だから、店舗ディスプレイ等のアルバム・プロモーションにはどのような仕掛けを施してくるかが楽しみだ。LeviはTVのトークショ−等にも頻繁に出演しているので知名度は抜群。そして彼は今、新人アーティストの発掘に力を注いでいるそうだ。Leviには引き続き運がついてくる事を願う。
 
●日本から発信されているポッドキャスト「Pirate's Choice」があまりにも素晴らしいので、僕なりにレコメンドできるポッドキャストを紹介しよう。Podmaticから配信されている「Soulshake」と「Ska Nick」だ。ルーツ、ロックステディ、スカをバランス良く聴く事ができる。
 
●最近、Chancery LaneにあったWinston RileyのTechniques Recordsが火事により焼失してしまった。伝説的なプロデューサーでかつてのロックステディ・ヴォーカリストのRileyは新たなスタジオとレゲエ博物館をKingstonのダウンタウンにある有名なOrange Streetに建築すると発表した。建設費用は約5億ジャマイカ・ドルを予定しているらしい。この数字だけを聞くとかなりの金額のように思うが、100ジャマイカ・ドルが約1ポンドというレートなので費用は約50万ポンドの計算になる(約7,480万円)。この数字ならば、建物の規模からすればそれほど高額ではない事がわかるだろう。Techniquesのプロダクションを全て同じ建物内で完結できるのは彼にとって有利な事だろう。そして、レゲエの歴史に関するアイテム(書物など)を陳列し、この音楽を作った人々に敬意を払うというアイデアも評価できる。
 
●1977年にリリースされたThe Congosのファースト・アルバムにして最高傑作、『Heart Of The Congos』(96年にBlood & Fireより再発売された)のプロデューサー、Lee 'Scratch' PerryとThe Congosが新作『Back In The Black Ark』のレコーディングを始めた。彼らが共作するのは実に30年ぶりの事だ。フランスのMediacomが共同プロデューサー(つまり出資者だ)として名を連ねている。僕はどんなアルバムが出来上がるか非常に楽しみにしている。Black Arkスタジオはもう存在しないが、Dumbarton AvenueのMixing Lab(Black Ark があったWashington Gardensからそれほど遠くはない場所にある)で作業が行なわれている模様だ。彼らはBlack Arkを物理的な建物ではなく彼らの心の中にある精神的な存在として捉えているのだろうか? YouTubeには「The Congos and Lee Perry Reunited」というエントリーがあるので是非観てもらいたい。この映像を観る限り、3人のオリジナル・ヴォーカリストとPerryの相性は、それぞれのシンガーの良さを引き出しているところから良好な事がうかがわれる。これなら新作アルバムにも期待できそうだ。特にWatty Burnettのヘヴィなヴォーカルに注目だろう。
 

Sonny Bradshaw (right) at Ocho Rios Jazz Festival 1992
 
●バンド・リーダーでトランペット奏者として尊敬されていたSonny Bradshawが、10月10日に2カ月前の脳卒中が原因で亡くなった。83歳だった。Bradshawは1940年代にジャマイカがアメリカのビックバンド・ジャズに夢中になっていた頃に頭角を現したミュージシャン。彼は長い間、Jamaican Federation Of Musiciansのプレジデントを務め、1991年にはOcho Rios国際ジャズ・フェスティバルを創設、またシンガーのMyrna Hague(Coxsone Doddのもとで素晴らしい「What About Me」等をレコーディングしている)と結婚していた。彼は、そのアカデミックなキャリアのせいで、メインストリームのレゲエ音楽にあまり関わる事はなかった。それが、彼の知名度が同世代のDon DrummondやTommy McCookといったミュージシャンに比べて低い要因だったかもしれない。EssexのGant's Hillで行われたBradshawの葬式にはジャマイカの在ロンドン高等弁務官や、Count Prince Miller、Eddie 'Tan Tan' Thornton、Michael 'Bammie' Rose、Vin GordonらUK在住のジャマイカン・アーティストが参列した。ジャマイカでの追悼式は11月9日にKingstonのWest Indies大学のチャペルで行われる。
 
Till Next Time, Take Care..............
(訳/Masaaki Otsuka)

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