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RING RING RING
 
【躯に侵入する未確認物体の巻】
おなじみのお話を今月も一席。いつもとは趣向を変えてアピチャッポン・ウィーラセタクン監督に敬意を表した構成(?)でお送りいたしま〜す。
 
いくつかの発言とレヴュー。
 
宇多丸師匠といえば、ご存知の、ライムスターのMCの1人、というだけではなく、ラジオ番組などでも活躍中であり、その見聞の広さ、とただ広いだけではなく、独特の視点を支える思考と志向が冴えている人。彼は、今はなきヒップホップ〜R&B雑誌、『Blast』での連載を通して、日本の文脈ならではのヒップホップ美学、を提示した、と言われている。サブ・カルチャーを縦断する態度は現在のライムスターのPV(「Once Again」)などにも通底するものがある(特に3分41秒から52秒ぐらい......笑えるようにもデザインされているのは明白)しかし、多分、忘れてはならないのは、ヒップホップ美学とは何か?はもちろんなのだが、そこに何を求めているか?ということ。問題の設定の仕方によって、答えはいつも異なる。
 
VERBAL:日本の音楽界に世界デビューの新しいスタイルを提案してるかな?って感じがするので、そういう意味では「本当の」っていうところもあるかもしれないですね。ぶっちゃけ、今までって「全米デビューします!」って大袈裟に言ってるわりには実体がついてないケースが多い気がするんですね。でも、僕らの場合は、石橋叩きながら、海外の人たちと触れ合いながらスタジオ・セッションしてきて、とってつけたような感じは何にもなく、ホントに自然な流れでここまで来たから。そういう意味で、「本当の」日本でやってるミュージシャンたちが向こうに行くっていうところはあると思いますね。(Musicshelfでの発言を引用)
 
TERIYAKI BOYZを批判するのは容易かも知れないが、そういう時間もないので、ひとつだけ。ここでも、このVERBAL氏の発言は、日本のグループが海外でのマーケティングをきちんとするなら、そこに需要はあると言っているのか、それとも彼らだけが選ばれる存在意義があると言っているのか、それはあまりはっきりしない。
 
一方、こういう発言もある。
 
「売れるか売れないかなんてどーでもいい世の中になってきた。だったら自分たちのやりたいようにやるだけだ」(Killer Bong、DJ Holidayのフライヤーより)
 
日本のヒップホップのヴェテランであるスチャダラパーは、DVD『スチャダラパーの悪夢』を発売する。議論の多いドキュメンタリー映画『ダーウィンの悪夢』を意識したパッケージングは、きわめて80年代な統一見解と90年代的な意匠を無視すると見せかけ、やはり(開かれた風刺と諧謔よりも)インターナルな視点/楽屋落ちを楽しむ姿勢を重視する。たぶん、ライヴがメインのDVDということでそれをよしにした、と思われる。逆に言えば、ライヴ部分を評さないと意味がない(?)さらりとした決意表明があるのが、いつものこのグループらしい。
 
Azzurro Interview
●Azzurroさんは、最初遊びのような形でヒップホップというゲームに参加したと思います。これは間違っていますか?
Azzurro(以下A):間違いありません。専らビート・メイクという意味での遊びではありましたが。渋谷と数寄屋橋のハンターには随分通いましたし、Mellow Yellow初期は、Dr. Looperの自宅に行ってはビートを組んだものです。百円で売っているCTIは競うようにして買っていましたね。Milos Garageに遊びに行って、DJ Doc Holidayさんに"大学生がヒップホップできんのかよ"と怒られたのを覚えています。その日はECDがリリースされたばかりの「Come Clean」をかけていました。
●ヒップホップにハマったきっかけを教えて下さい。
A:高校生の頃はずっとニューウェイブを聴いていて、そこからレアグルーヴやワイルド・バンチ、ソウルIIソウル等に行きました。福岡で浪人していたころの先輩にゴー・ゴーやファンクを教えてもらって、大学1年生のときにネイティヴ・タンがガンときた感じです。とにかく1970年代のレコードからサンプリングしたドラムの質感に身体が反応したというか、"よく分からないけど、これは自分が好きなものだ"と圧倒的に受け入れました。
●かつて、ご自分の活動について"業"という単語を使って形容しておられましたが、さしつかえなければ、いつからそのような意識をお持ちか教えて下さい。
A:今年の春、『The B-Side』を出した際に古川耕君にインタヴューしてもらったのですが(http:// www.ilmareazzurro.com/interview/interview_vol04.html)、アルバムのビート感がオーセンティックなものを基にしていることを彼に指摘されて、"ああ、おれはこの感じを背負って死んでいくんだ"という道筋が見えた気がしました。大体、40歳越えて"Impeach The Presidentが......"とか真顔で語っている時点で、ある種の狂気を孕んでいると思います。経済的に見れば、わざわざAzzurroなんて名乗って音楽を作らなくとも家族は養っていけます。それでも活動を続けているのは、ビートを作ることで救われたいとか、人間的な欠落を埋めたいという欲求があるとしか思えないです。
●ご自分のトラックで物語を語っているということはありますか?
A:自分は言葉の人間ではないと自覚していますが、作るビートには何らかの詩情のようなものが込められればいいと思っています。アナログ・レコードやCDパッケージはもちろん、データ化された自分の作品がネットの沃野に解き放たれ、いつの日か(200年後とか)名も無き詩人の一編の詩のように、誰かに発見されるような未来にロマンを感じています。
●音楽で語られた物語(他人の作品)で、印象的なものを教えて下さい。
A:同じ頃に日本で活動を始めた連中がブレずに紡ぎ続けている良いビートには、その人の生きざまが透けて見えるというか、例外なく感じ入るものがあります。
●音楽制作のために、日常生活で気をつけていることがあったら教えてください。
A:社会人や家庭人としての自分があった上で、可能な限り時間を作り出して音楽に捧げるという感じでしょうか。
●日本でヒップホップをやっているからこそ、何か変更された部分、はあるでしょうか? もしあったら教えて下さい。
A:今の自分が変更された姿そのままです。今現在、自分が日本のヒップホップに深くコミットしているとは思っていませんが、ヒップホップと出逢わなかったら今の自分ではないのは間違いありません。自分にとって、ビート・メイクは最早やめるやめないの問題ではないのです。

 
荏開津広(One Hand Clappin')
EGAの今月:P・クルーグマンが「景気はよくなるが、たぶん5年から10年ぐらいかかる」と予測。BBC対クリスティーン・ラガルデ経財相、ラガルデの勝ち。北京に仕事場を1ヵ月移すのか?等々。

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