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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
 
MIX CD
 
1. Muro / Diggersville-Stax Special Edit & Mix (Universal)
今年だけでも相当な数の大仕事をこなしている天下のKing Of Diggin'が、トドメとばかりにリリースするのが"メンフィス・ソウル"のメッカ=StaxのミックスCD(何と、世界初の快挙とか)。ヒップホップのサンプリング・ソースとしても活躍してきたそれらのお宝音源を、ブレイク部分を伸ばしたり、聴かせる曲はしっかり聴かせたり、と絶妙なサジ加減で手を入れた40曲。その"DJらしい"仕事ぶり、そして"Soulsville"の異名を取った同レーベルに対し、"Diggersville"というテーマで挑んだモチベーションの高さに舌を巻くしかない傑作。
 
ALBUM 
 
2. Snoop Dogg / Malice N Wonderland (Priority)
No Limit時代+αに籍を置いたPriority Recordsにアーティスト兼クリエイティヴ・チェアマンとして復帰しての記念すべきソロ10作目。レイドバック...とは言えども、気合の入り方が違うというもの。当代きってのヒットメイカー・コンビ=The-Dream & Tricky Stewart制作のシングル「Gangsta Luv」を始め、かなりフレッシュな仕上りで、他にはNeptunes、Teddy Riley、Danja、Battlecat、Nottz、Scoop Deville、Terrace Martinがトラックで、ゲストにはR. Kelly、Brandy、Jazmine Sullivan、Soulja Boyらの姿も。正に今年を締め括る強力盤。
 
3. Ghostface Killah / Ghostdini Wizard Of Poetry In Emerald City (Def Jam)
Wu-Tangいちソウルフルなラッパーの2年ぶりの8作目は、スウィートなR&Bアルバムに!?...Raheem Devaughn、John Legend、Estelle、Lloydといったシンガーとのコラボが半数以上を占める本作は、本人も「まるでMary J. Bligeとの『All I Got Is You』、Ne-Yoとの『Back Like Dat』の時みたいなクールなアルバム」と公言しているが、彼の夢であり現実でもある"大勢の美女をはべらかした自分の城"は、ここにしっかりと築かれているわけで、セックス・アルバムとしての完成度も高い? 屁のツッパリはいらんですよ!
 
4. Clipse / Til the Casket Drops (Sony)
Star Track第1号アーティストだったヴァージニアの兄弟デュオのColumbia移籍後の新作(3rd)。Kanye Westを加えた「Kinda Like A Big Deal」や、Keri Hilsonとのフロアバンガー「All Eyes On Me」など、発表済みのトラックはどれも強力だったが、実際アルバムとしての密度も相当高い。プロデューサーは彼らをサポートし続けるNeptunesを中心に、The HitmenのSean-C&LV、DJ Khalilの3組で、その構成も「ラップ・アルバム」にこだわる彼ら2人の個性を上手く引き出した。またもや、クラシック!

 
5. Blakroc / Blakroc (V2 / Hostess)
かのDamon Dashがネット上で発表、その後次々とフッテージが公開されている大型プロジェクト"Blakroc"の初アルバム。故Ol' Dirty Bastardを含め、Mos Def、Q-Tip、Jim Jones、Ludacris、RZA、Raekwon、Pharoahe Monch、Billy Danze(M.O.P.)、NOE、Nicole Wrayという11人のマイクの飼い主たちが、オハイオはアクロンが生んだ2ピース・ブルース・ロック・バンド=The Black Keysと11日間のセッションで完成させた本作は、これまでにないタイプのヒップホップ、ロック、どちらの層にも刺さる1枚に。さすがDamon、やってくれます!
 
6. KRS-One & Buckshot / Survival Skills (Duck Down)
Duck Down入りしたリアル・ヒップホップ魔人KRSと、同レーベルの看板となるBlack MoonのMC=Buckshotの共作がついに到着。生き延びるための秘訣、それはあらゆる意味でのスキルだ!と言わんがばかりのタイトル&ジャケ(ファイト一発!じゃない)からも伝わるように、真のMCとして2人はその技術と情熱をここにぶつけている。Mary J. Blige、Talib Kweli、K'naan、Rock、AtmosphereのSlug、Bounty Killerらとのコラボも熱く、Havoc、Black Milk、Illmind、9th Wonder、Nottz、Marco Poloらが提供したビートもまた熱い。
 
7. Del The Funky Homosapien & Tame One / Parallel Uni-Verses (Gold Dust)
Hieroglyphicsを率いるオークランドのライム・マシーン=Delと、ニュージャージーからEl Da SenseiとのArtifactsでデビューしたTame Oneという謎の(?)タッグも登場。この前にも何気にTame Oneのソロ作で実現しているこのコンビなのだが、サウンド・プロダクションの全てをそのアルバムにも貢献したParallel Thoughtが手がけたとあって、期待度大。実際、上がってきた音も、90'sど真ん中のジャズ&ソウル・サンプルが光る劇空間サウンドで、主役となるリリシスト2人も大ハッスル! 悪いわけがない、ってもんですよ、ハイ。
 
8. マイクアキラ / ジ・ラップ・ロボット (P-Vine)
いまや伝説の四街道ネイチャー、その看板を唯一背負う男(?)マイクアキラが今年2枚目のソロ(2nd)を早々とリリース。Nipps、サイプレス上野、Ali-Kick、Amida、Evisbeats、KZA、Site、タカチャ、Yasuri、Yoggy、神戸薔薇尻、Mint、Sonatine、Sugar Cru、KIKKOman、IQ、田我流、acharuといったジェネレーションやエリアの垣根を越えた"マイクアキラ・シンパ"が集結し、その唯一無二の存在のどこまでも人間くさく、弱さをさらけ出したラップを盛り上げている。ジャケットは宇宙、だがそれは彼のインナースペースなのか...。
 
9. Mekoli / The Freeman (Lebel Hitoli)
どんなカテゴリーを用意しようと、そこからスルリと抜け出してしまうような"ラップする自由人"。Littleとのユニット=Gakudanでも知られる彼のラップのスキル。それは恐ろしく高い......そんな噂のニューカマーのデビュー・アルバム。熊井吾郎が手がけた「Shiawase」を聴いた者なら、何の飾りもないアーティスト性からにじみ出る等身大以上の言葉にホッとさせられるだろう(字幕つきのPVも)。LAはD.P.G.所属のDJ 2Highや、PSGのPunpee(板橋区アンセム!)の参加も話題。
 
10. The Sexorcist presents B.D./Killa Turner & Nipps/Roberta Crack / Black Rain (Tarpit)
Sexorcistとは...ヘンタイ中の変体の編隊である、と言い切る!?とにかくマニアックで、"突き詰める"という意味ではハードコア。"Tetrad The Gang Of Four" でもガッチリ組んだB.D.(またの名をキラー・ターナー)& Nipps(ロバータ・クラック...例のジャケのネタ明かし?)が中心となり、その祈祷師集団(?)に参加するGradis Nice/K-Moon XをメインにMuroやIta-Choもトラックを提供。他のゲストもK-BombやJBMとヘンタイ尽くし? あのお方がこれだけラップしてるというだけでも事件!
 
11. O2 / Stay True (Libra)
"Libraのオカルト担当"を自負する(?)下町のボトル・キープなしのナポレオン=O2、その周回遅れの集大成となるソロ・アルバム。MSCの構成員としても暗躍する彼のそのイルな錬金術師ぶりが発揮される情景が浮かんでは消えるアブノーマルなワードプレイは、アルバム・サイズで接するとさらにアブナい。「六丁目団地」をRepした同名のシングル(未収録)から、「団地 Back In The Day」の流れを思うと...。Libraの戦友たちのサポートはもちろんのこと、ECD制作、共演の「火星呆景」(クラシック・ライムの引用も!)まで、聴くたびに発見のある濃密作。
   
12. Rumi / Hell Me Nation (Popgroup)
独自の言語感覚(リズム)を持つマイクマスター=Rumi、『Hell me〜』三部作の完結編? 感覚と思考のバランスがずば抜けてよく、その特性を活かしながら様々な音を繰り出すクリエイターとのコラボで見せてくれた前作と比較すると、言葉の伝え方やメッセージにストレートな部分が増え、改めて自身のヒップホップ・スタンスが打ち出された様な開かれた印象。The Heavymanners、e-mura、Skyfish、Tucker、Evisbeats等、サウンド面での共演者も多彩でありながら、ツボは外さない。Shingo★西成の名曲「U.Y.C」へのオマージュとなる 「A.K.Y」(あえて 空気 読みません)も、相当面白い!

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