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THE MAZE

JAPANESE TRACK MAKERS NOW
ZURA from ARUZ STUDIO
　　
Interview by Masaaki Okino / Photo by Kurofin / Cooperated by Trick Star
　

　関西シーンではいち早くエンジニア／トラック・メイカーとして活躍するZuraが、前項で紹介した『Riddim Island』と時を同じくして若手アーティストをフィーチャーした最新作『Raggamuffin Road 2K9』をリリースする。自身のスタジオでありレーベル、Aruz Studio Muziqの運営の他、ラガラボMusiqもサポートする彼の制作方法について伺った。
　
●『Raggamuffin Road』は今回で3作目ですが、このシリーズのコンセプトを今一度確認させてください。
Zura（以下Z）：次世代のアーティストや、去年から今年にかけて頑張ったと僕が思う人達といっしょに、僕自身もエンジニア／トラック・メイカーとして毎年の自分への試練、修行、試行錯誤を発表する作品です。若手も俺も頑張ってる！みたいな（笑）。
●ジャマイカでミックス・ダウンするということは敢えてしないのですか？
Z：それは曲にもよりますが、出来て来たものが自分のイメージしていたものと違ったり、バランスに違和感を覚えたりして結局、こっちでやり直したりすることがあるんです。自分で作ったものはジャマイカ任せにせずに自分の手でミックスしたいですね。マスタリング以外ほぼ全ての行程を自分達で、というのもコンセプトのひとつです。
　
●Zuraさんの作る音は、どこか80'sや90'sのダンスホールのテイストがありますが、音作りについてこだわっているところは？
Z：それ、結構言われます。自分がドップリとハマった時代の音が軸になっているので、そこはやっぱり抜けないですね。その基本的な部分に今風の音色を組み合わせたり。ついていかなアカンかな、みたいな（笑）。でも、今のダンスホールの音って単純に格好いいし好きなんですよ。ちょっと前には「これ、レゲエの音じゃないよな」と思って全く使わなかった音色を今は選ぶことが多いです。こだわりというか、フレーズやメロディはシーケンスをループさせるだけでなく手弾きで録音したり。実際、今作のミディアムものでは自分でベースを弾いています。
　
●アーティストに対してリリックやフレーズのディレクションはかなりする方ですか？
Z：ある程度の方向やイメージを伝えてリクエストすることはありますが、アーティストの言葉なのでそれほどは。僕が音を鳴らして抜き差しするのを聴きながらリリックを書いてもらったり、歌ってもらっていっしょに考えていくこともあれば、逆にアーティスト側が僕に幾つかのリリックを提示してきて選択させてもらうこともあります。
　
●今作の出来に関しては？
Z：まあ満足です。ジャマイカでスティーヴン・マクレガーらの最新形のリズムの制作を勉強してきたこともあって、前作と比べるとバランスや音の作り込み方は成長したなと思う部分もあれば、今回もまだまだだなと感じる部分もあったり...。これもラガマフィンへの道ですね（笑）。
　
●日本のシーンの現状としては、ジャマイカと比較すると制作のスタートからCDの発売までの期間が長いと思いますが。
Z：そうですね。でも、制作過程自体にかかる時間はこれまでとそう変わっていないのですが、CDやMP3がメインになってからは、サウンドやセレクターの手に渡ってプロモーションされるまでのスピードは早くなりましたね。やはり作り手としてはダブばかりでなくプロダクトをもっとプレイして欲しいですし、実際、ダンスでもそういうセグメントが活発になってきているように思います。簡単にダウンロードできる状況は時代の流れと受け入れていますが、CD自体を手に取って、ジャケットやクレジットをじっくり見ながら聴いて欲しい、という想いは当然あります。