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""White by Christmas""
Text by Reiko NAGASE SMITH
 
肌をブリーチすることが、最近またキングストンのインナーシティー地区で目立つ現象となってます。漂白クリームをつかって肌の色をうすくしようと試みるブリーチ現象は、ジャマイカでは今に始まったことじゃないけれど、以前みたいに隠れてブリーチしなくちゃいけない風潮でもないようだ。ブリーチを堂々とうたっちゃう女の子アーティストがいることに驚かされる。
 
歌ってるのはヴァイブス・カーテル率いるポートモア・エンパイアのファースト・レディー、リサ・ハイプ。
 
インナーシティー地区の、ダンスホールを聞く層にこのブリーチ現象が見られる。ハイプなスタイルに言葉使い、露出の多い服装、ブリンブリン。以前はブリーチといえばアンチ・ブリーチが歌われるものだったのに、リサ・ハイプはブリーチ賛美チューンを堂々とうたってるんである。タイトルもずばり、「Proud A Mi Bleaching」。
 
I am beautiful no matter what they say, words can't bring me down(アイ・アム・ビューティフル、誰がなんと言おうと。なんて言われたって私、凹まないわ)
I am beautiful in every single way, words can't bring me downnnnnn(アイ・アム・ビューティフル、どこから見てもビューティフル。まわりからどんなこと言われたって......私、凹まないわよ)
 
インタヴューに答えてリサは言う。
「肌をブリーチしてること、恥ずかしいなんて全然思わないの。このチューン、ヒットしてるし、とくにブリーチしてる女の子たちに人気なの。いまどきブリーチくらい珍しくもないよ。ナディノーラくらいだったらみんな塗ってるよ。顔に塗って、かわいくなろうよって」
ナディノーラは市販の、肌の色をうすくするローション。ブリーチ、Run Di Place!
リサはつづける。
「それって、自分に手をかけてあげてるってことなのよ。女の子には必要不可欠!」
White by Christmas
クリスマスまでに痩せるわって決意する女の子の話は日本でよく聞くけど、ジャマイカでは、「クリスマスまでに白くなるわ」
 
とはいっても、ブリーチを支持しない人が多いのは確か。アンチ・ブリーチのチューンといえば'90年代ナード・ランクスの「Dem A Bleach」、ブジュ・バントン「Black Woman」など有名チューンがある。
 
リサの言い分。
「みんなBun It(=ブリーチのこと)してるのよ。この曲だってべつだん非難なんかされてないし。それに、私もう2年くらいブリーチしてるけど全然大丈夫」と、ブリーチの危険性にも楽観的。
 リサはそう言うけど、実際このチューンのYouTubeを見たら、コメントのほとんどは反対意見だったよ。ガザ派の人でもこのチューンは支持しないって言ってるよ。
「ブリーチしたあとのスキンってさ、きれいじゃないよね」「メンタルな部分がイケてないと思う」「白人至上主義の名残りだ」「くっだらなーい」「パペット・ショウじゃん」
 このチューンのリサは無知な歌いかたで、この曲自体がアディ・ティーチャ(カーテルの別称)によるプロモーションの一環なのかな、と思わせる。
 
最近では、メッセージ色の濃いチューンを得意とするクィーン・アイフリカが、「Mi Nah Rub」でブリーチ現象をとりあげている。
Di person weh black nah wear again insecure wid demself, So nuh follow dem.(ブラックの私たちにはそんなものいらない。そんな人たちのこと真似しないわ)
Mi nah bleach mi nuh care if dat a di trend.(私はブリーチなんかしない、今のトレンドだからって何よ)
Proud to be black.(ブラックであることに誇りをもとうよ)
 
たしかにジャマイカでは、差別とまでいかなくとも、肌の色のうすい人がどことなくいい思いをしてるようなそんな気にさせられるのは否定できない。肌の色がうすいというだけでちょっとだけ人から信頼されたり、お金持ちに見られたり、いい仕事をゲットしたり、そして何よりモテる。まわりからちやほやされる、ような気がする。
 
プチ整形したり、バストを大きくする手術を受けたり、ヘアカラーしたり、まわりから見て奇妙なものが流行っても、美を求めてはいりこんでしまうことってある。そんなに目くじら立てることじゃないんだろう。
 
女の子ばかりじゃなくて、男の子のブリーチ使用も多くなってる。ピアスやタトゥーもひろまってきて、カーテルの舌ピアスの有無が、ボウンティ・キラーとヴァイブス・カーテルのリリック戦争のもとにもなっている。
 
このブリーチ・シンドローム、人の魅力は肌の色より行いだと思うけど、どお?
 
★ricoのジャマイカArt Life → www.ricoart.com
★ricoのスケッチ・ダイアリ→ http://ricoart.exblog.jp

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