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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
 
MIX CD
 
1. Kid Cudi / Man On The Moon : The End Of Day (Universal)
カニエ・ウェストのレーベルG.O.O.D.と契約し、彼の『808s & Heartbreak』や、ジェイ・Zの新作にも参加したばかりのオハイオ出身新進ラッパーのオフィシャルのデビュー作。全5章からなる構成(コンセプト)といい、声を張らずに物語を伝えるシング・スタイルのラップといい、静謐さもあるサウンドといい、どこかプログレ(ロック)っぽく感じるのは気のせいか? いや、前述したカニエのアルバムにも影響を与えたとされる彼のこと、カニエ、コモン参加の例の「Make Her Say」でさえ目玉に聴こえない圧倒的な世界観を早くも築いている。恐れ入りました! DVD付きデラックス盤がベストかも。
 
ALBUM 
 
2. Drake / So Far Gone (Cash Money / Universal)
リル・ウェインがキャッシュ・マネー傘下に興したヤング・マネーとサインしたカナダ出身のラッパー兼アクターの初のオフィシャルEP(ミニ・アルバム?)。色んな意味で今年一番話題を呼んだミックステープ『So Far Gone』から、全米ポップ・チャートで2位を記録した今年のベスト・シングル「Best I Ever Had」(スウィズのRMXも)は勿論、トレイ・ソングスと最多登場のウィージー入りの「Successful」を始め、UGKのバン・B やヤング・ジージーとの人気曲を押さえつつ、DJカリル制作の未発表「Fear」等充実の内容。ジェイ・Zが新作に招いたのも解せる華と実力の持ち主。
 
3. Pitbull / Rebelution (J-Records)/span>
「Culo」のヒットでレゲエ・ファンにも侵食した(?)P人気。キャリア通算4作目となる本作は前作で見られたバラード路線も無視した(?)イケイケ1本勝負的なHi-NRGそのもの(?)の構成。フェデリコ・フランチ「Cream」使いでリル・ジョンが吼えまくる「Krazy」、ニコラ・ファサーノ「75 Brazil Street」使いの「I Know You Want Me」、ナイトクローラーズ「Push The Feeling On」(MK mix)使いの「Hotel Room Service」といった「The Anthem」ばりのハウスねたのフロア・アンセムを続々搭載しかつてのマイアミ・ベースから最近のエレクトロ迄をカヴァー。ブッチギリのダンス・アルバム!
 
4. Fat Joe / Jealous One's Still Envy : J.O.S.E Vol. 2 (Terror Squad)
テラー・スクワッドの親方が9thアルバムをドロップ。タイトルからも判る様に、これは01年にプラチナム・ヒットを記録した4th続編的作品(正確には2ndの?)。TSメンバーでもあるDJキャレド作品でヴァージニアのインクレディブルズや、本作の総合責任者で歌モノで売れっ子のリコ・ラヴやジム・ジョンシン、ロ ン・ブロウズ、スウィズ・ビーツ他多数のプロデューサーが駆けつけ、相性最高のリル・ウェインやエイコン、リル・キム、レイクオンらゲスト満載の作りもここ2作で復調した親方パワーもしっかり発揮。

 
5. M.O.P. / Foundation (Koch)
結局のところロッカフェラやG-ユニットでの正式なリリースはなかったブルックリンのヴェテラン・デュオの待望の新作。バンド体制で挑んだマッシュ・アウト・ポッセ作やここ最近の未発表音源のリリース、リル・フェイムのプロデューサー・ネーム=フィジー・ウォーマック、といった"関わり"からも想像出来た様に、この久々の正式な新作はコッチ改めE-1からのリリースとなった。制作陣は、外部ではDJプレミア、D.R.ピリオド、ノッツ、DJグリーン・ランターンと、彼らのハーコーさ加減を熟知した面子で、レッドマン、スタイルズ・P、ターマノロジーらゲストもひたすら熱い! こんなの待ってました!というバンギン度。やはり彼らには"直球勝負"がよく似合う。
 
6. G.K. Maryan / Heart Of Hiphop (Delux Relax)
雷家族のゴールキーパー、G.K.の5枚目となるソロが完成。今回は相性のいいDJ Andoのタイマン・プロデュースで、ゲストは共にユニット=Soul Camp A.Gを組んでいるNatural MovementsのChu-ChuとNitty、そしてYellow Diamond CrewよりバラガキとZeus(期待したい次の世代)のみ。Andoの繰り出す90sのニオイの強いビートに乗せて熱い想いをぶちまける主役...そのG.K.節は「鬼に金棒」的な威力を発揮している。雷でお馴染み「Hazikeru Ichiya」のG.K.の新Ver.ではオートチューン・エフェクトにも挑戦。黄金の左は健在どころか最高潮にある様だ。
 
7. Hokt / 21 Century Rock Star (Hood Sound)
北の本気な軍団North Coast Badboyz改めN.C.B. B.のリーダー=Hoktの3枚目。ヒップホップ以前にロックンロールに出会いバンド活動していた過去を持つ男だけに、このタイトルも伊達や酔狂ではない。実際本作は今迄でも一番彼のルーツとなる音楽(80s)が感じられる。同じくロックやブルースにも明るいDJ QuikことLil'J制作のロッカバラード「True Love」には、あのTony The Weedも参加。その他にはN.C.B.B.のバウンス・マスター=Spock、北の大器E-Buki、更にはDJ PMX、Icedownも極上のビートを提供し、聴いた事のないタイプの大作となった。
 
8. Zen-La-Rock / The Night Of Art (AWDR/LR2)
「Zen, Zen, Zen」から約5年、『Zen-La-Rock』から約2年...オールドスクール・ラップをこよなく愛する"宇宙ファンク・パーティの申し子"が、"Cosmic Urban Midnights With Talkbox"というコンセプトに基づいたアルバムを完成。ゴッドファーザーがグラサン越しに睨みを効かすプラネット・ロックをトランジットに、メロウに、そしてエレクトリックに展開するその新世界は、プロデューサーのBTBが操るトークボックスがドンピシャなメランコリックで冷房甘美(?)なもので、秋の夜長に気持ちいい。ゲストは、Punpee、S.L.A.C.K.、鎮座Dopeness、ロボ宙等。
 
9. 鎮座Dopeness / 10O% Rap (EMI)
「ラップって知ってる?」「ああ念仏みたいな奴でしょ?」という会話が当り前の様に飛び交ってた約30年前...だが、この鎮座のスタイルはある意味「念仏」の様。そう、聴く耳さえあれば「ありがたい=めったにない」お話に聞こえるリリックはその域に達してILL? その歌心最高のフリースタイラーのソロ名義では初となる本作。DJ YasからSkyfish、UC、Hifana、Young-G、Ove-Naxx、Evisbeatsなど多才なプロデューサー陣が投げてくる多彩な音に、マイク1本で挑む鎮座はやはり高僧の様。つまりは、ヤベー!の連続って事デスヨ。
 
10. S.L.A.C.K. / Whalabout? (Dog Ear / Ultra-Vybe)
PSGのメンバー=S.L.A.C.K.のソロ、しかも今年2枚目が早くも登場。Zeebra「Jackin' For Beats Remix」への参加も記憶に新しいこの"類稀なスキル"と"新感覚のフロウ"を持つ彼は、「シーンのルールには興味がない/ミュージックのみ(Nah Mean!)/誰かがまたくだらない事/気にしてる間に/また曲を作る/受け入れられない/ならそれまでさ」というラインにもある様に、何も気にせずにただトラックを作り、すらすらとラップを録る(のだろう)。そのリズミカルな言語感覚で貫かれた本作は、ゲストは仙人掌のみで、注目のBudamunkyが2曲、16Flip(Monju)が1曲トラックを提供した他は、D.I.Y.スタイルに。ソウルフルな鼻歌(?)もいい。
 
11. 林鷹 ex. Gangsta Taka / The World Is Yours (Ultra-Vybe)
Scars、Seeda、Norikiyo、マイクアキラ等の作品に参加し『Concretre Green』シリーズや『Black File』のストリートPVでも注目を集めた"ハマのリリシスト"林鷹の初アルバム。Ozrosaurus、Rude-bwoy Face他の仕事で常に評価の高いKnockが全曲に関わった本作は、横浜愚連隊:林鷹という「勝ち上がり」を目指す男の生き様だけでなく、アーティストとしての確かな才能を見事に照射したトータル性の強い映画の様な内容。ゲストはSeven StarのGodzilla、SN-Z、Yuuki Flava、Momoで、ラッパーは主役のみ。ネオンが眩しい。
   
12. Jam Kane / Special Code (Flying High)
'07年にスタートしたVnoとUrotaによるプロデューサー・チーム=Jam Kane。昨年、Doberman Incや般若にトラックを提供し注目を集めた彼らは、短期間で国内外のアーティスト達と制作した初アルバムを完成。「カッコいい音に国境はない」とばかりに、ジェイソン・ミラーやゴールディ・ゴールド、Mr.コリパークの弟子=ホームボーイといったUSのウェスト、サウスの連中が半数を占めている点にまずビックリ。また、Deli、Jazzy Blaze、Jay'ed、Anty The 紅乃壱、Shingo☆西成、Mint、Wolf Packら日本勢の人選も面白く、その渾然一体感が「音ありき」の本作をより魅力的なものにしている。

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