Raw Singles
Text by Takanori Ishikawa
1. Vybz Kartel / Gaza Commandments (Big Ship))
Gaza出身のギャングスタ、その生き様をリリックスにしたアンセム。オートチューンをふんだんに使用して表情が目まぐるしく変わるヴォーカル・パートと、思い切りの良い大胆なミックスが最高。リズム・パターン自体はシンプルだが、サウンドはオリジナリティ溢れる流石の仕上がりです。
2. Beenie Man / Gaza Mi Seh (Big Ship)
1.と同トラック使用ですが、ミックスはかなり違います。控えめなキーボード類がヴォーカルとリズム・パートを引き立たせています。抑制の効いたBeenieのDJもクール。Gaza出身の自分をレペゼン、Gazaの為に戦うぜって内容。
3. Assassin / Hand Inna Di Air (Big Ship)
単発のオリジナル・トラック。これもカッコイイですよ。ディープな音色をたっぷり使っているが、全体の印象は超ポップ。ミディアム・テンポで歯切れの良いジャグリン・サウンド。「皆ダンスでは日常を忘れて目一杯楽しもう"Hand Inna Di Air"」とDJ。弾けてます。
4. Mr.Vegas / Winning Team (Birchill)
"Nine Night" 系のドラム主導のダンサブルなトラック。90年代前半のジャグリン・サウンドを思い出させる様な音作りでもあります。サイレン音のサンプリングも入ったアッパーなチューンでVegasも絶好調。ワイニー推進ソング。
5. Elephant Man / Mi Nuh Wah Nuh Fren (Birchill)
4. と同トラック "Mush Up"。ゴスペル・タッチのキーボードを加えて更に華やかなサウンドになっています。グルーヴィなシャッフル・ビートに"ズビズビ"響くシンセの組み合わせが絶妙。「オレに反感を抱いている奴らとは絶対に仲良くしないぜ」ってリリックス。
6. Shaggy / Long Time (Big Yard)
スロウ・テンポのオリジナル "Street Bully"。ゆったりとしたスケールの大きなサウンドで、ボトムはズシッリと重量感あり。サンプリングで使用されているドラム・パートとShaggyのDJはオールドスクール感たっぷり。久しぶりに会った女性とパーティで楽しみたいという内容。
7. Ding Dong / My Own (VP)
DJ Frassからジャマイカ盤で発売されている "Clearance" リズムの追加リリース。「神様はいつでも俺の側にいてくれる。俺の持ち物、金、人生は俺自身の物だ。誰もジャマするな」とDJ。ヘヴィなHip Hop系トラックと相まってシリアスなチューンに。カップリングされているMavadoも良いです。
8. Aidonia / Oh Oh Oh (Big Ship)
オリジナル・ジャグリン "Fit-ness"。ダイナミックなドラムが特徴のシャープなサウンド。コテコテのDJとのコンビネーションで大ヒット中。キレキレのミックスも文句なし。このセンスは相変わらずスゴいですね。超ストレートなベッドルーム・リリックス。
9. Vybz Kartel / Genie Wine (Big Ship)
"Fitness"。8.とはドラム・パートのミックスが全然違います。迫力のあるキックを効果的に使ったサウンドは遊び心満点。KartelのDJもイケイケ。オレのためにベッドでワイニーしてくれる彼女は最高、って感じのセクシャルなチューン。
10. Charly Black / Money Preamer (Lazeme)
今回もMoneyチューン。「オレは金がないのは嫌だ、絶対に大金を稼いでやるぜ」と歌っています。スロウなオリジナル・トラックはHip Hopビートを基調としたメロウなサウンド。ですが、現在のアメリカでは全く聞かないタイプでたまらなくジャマイカならではの音になっています。
11. Vybz Kartel / Anything Goes (Pleasure Time)
このトラックはいいですよ。ハデなストリングス・シンセと変則パターンの打ち込みビート。高速ブレイクビーツやダブ・ステップ系とは一線を画すダンスホールのクールネスが実感出来るサウンドだ。「彼女のためにオレは何だって手に入れられる」とDJ。このトラックでこんなに見事にDJ出来るのに感心します。
12. Tippa Irie / Tippa On Da MIC (Necessary Mayhem)
UKのプロダクションからのニュー。トラックは何とSuper Cat「Come Down」のリメイク。ほぼオリジナルに忠実な焼き直し。超ヴェテランUK MCが名人芸の早口をかましてます。B面にはPapa Levy「Speed Rappin'」収録でマニア向けの1枚。
13. Jah Cure / I'm Free (Tad's)
相変らず絞り出す様なヴォーカルで自由の素晴しさを熱唱。それにJahranimoのいなたいシングジェイが絡むラスタ・マン・チューン。今時珍しいチープなシンセ・ホーンが逆に良い味出しているオリジナル・ミディアム使用。
14. Lutan Fyah / Joy Of My Life (Tad's)
同レーベルからリリースされたRoman Virgo「Wanna Go Home」と同じトラック "Love is The Answer"。Sonya Pottingerが制作したDelano Stewart「Dance With Me」のリメイク・トラックというよりは、Bunny LeeのJohnny Clark版が元ネタですね。ラスタ・マンのラヴ・ソング。