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PUSHIM
10th ANNIVERSARY STILL ON THE WAY
 
Text by Nobuhiko Mabuchi / Photo by Akira Okimura for D-CORD
 

 1999年、「Brand New Day」を携えてメジャー・シーンに身を投じたPushim、今年デビュー10周年というひとつの区切りに様々な企画が目白押しだが、11月18日には自身初のベスト・アルバム『BEST 1999-2009』をリリース。ここに収められた曲のひとつひとつは、日本のレゲエ・シーンの歩みと進化そのものだ。
 
 自身と同じ10周年のアニヴァーサリー・イヤーとなった「Soul Rebel」で、野外フェス・シーズンを締めくくったPushim。遡ること「横浜レゲエ祭」や「Highest Mountain」などのビッグ・フェスをはじめ、出演したすべての会場で大きな感動を届けてきた。特に今年はMichael Jacksonに対するR.I.P.の気持ちをアカペラで歌う「You Are Not Alone」やステージ衣装で表現するシーンもあり、さらに新人(!?)ユニットのC.A.M.P.(Criss、Akane、Moomin、Pushim)のお披露目など特別感があった。唯一無二で絶対的、完璧で圧倒的なパフォーマンスは、総じてデビュー10周年に相応しい内容だったと思う。それは彼女が厳しく貪欲にレゲエを追求してきた結果だ。そんなPushimの10th Anniversaryを記念してリリースされるのが、初のベスト盤『BEST 1999-2009』。しかしPushimはこのベスト盤を出すことに対して、猛烈に反対した。レコード会社とは約1年に渡って「闘った」と聞いている。
 
思い返せば、歌に焦点を当ててセレクションした『DAZZLEZ〜Song of Songs〜』(2005年)とミックスCDという形でベスト盤の枠から逃れた『PLATINUM PUSHIM』(2008年)をリリースしたときも、「ベスト盤は出したくない」と発言していた。そして今回はリリースに際し、「絶対出したくなかったアルバム」というオフィシャル・コメントまで寄せている。なぜそこまで反対したのか。それは彼女の音楽に対する強い愛情の表れだ。昨今の目に余るベスト盤リリース・ラッシュに同調するのは、自分が真剣に作り上げた楽曲たちを安売りするようで嫌だったのだろう。そしてベスト盤とは長いキャリアを積み重ねてきた者だけがリリースを許される総決算的なもの、という彼女なりの考え方もあった。「まだ納得いかへんから、レゲエが飽きひん」と言うように、貪欲に進化を追求することで彼女はアーティストとしての輝きを身につけていった。美しい歌声だけじゃなく、決しておごらないその向上心もまた、彼女のアイデンティティなのだ。
 
 さて、今作『BEST 1999-2009』は本人の意ではなかったにしても、クィーン・オブ・ジャパニーズ・レゲエ=Pushimを改めて理解するにはうってつけの作品だ。デビューした1999年当時のジャパニーズ・レゲエ・シーンはまだまだ小さなもので、盛り上がっているクラブ・イヴェントやストリートの主流はヒップホップやR&Bだった。そのため「Brand New Day」や「Strong Woman」などの初期作品には、非レゲエのR&Bナンバーが目立つ。当時を知る人は懐かしい思い出が蘇るだろうし、知らない人には新たな発見や聴き方ができるのも、やはりベスト盤の醍醐味だ。また今作にはPushim初のレゲエ・シングル「Greetings!」やラヴァーズ・ロックの名曲「Heavenly」、現在もライヴで歌い続けている「FOREVER」「Anything For You」「RAINBOW」「I pray」「ルネサンス」などの人気曲もしっかり収録されている。
 
さらに森俊也とTanco(Home Grown)が初タッグを組んでプロデュースした最新シングル曲「My Endless Love」までフォロー。このダンサブルなハートブレイク・ソングは新たな挑戦も感じられる楽曲であり、Pushimの今が詰まっている。彼女がどう音楽と向き合い成長してきたのか、それを端的に紹介しているのがこのベスト盤だ。収録されるのは既発曲だけではない。ジャマイカのトップ・プロデューサーDon Corleonによる「Strong Woman」のリミックスとStephen "Di Genius" McGregorによる「I Say Yeah!!」のリミックスがプラスされているのもポイントだ。今作でPushimの10年を振り返ってみると、デビューから毎年欠かさず名曲を生み出すという類い稀なクリエイティヴ能力に改めて気づかされ、レゲエをミス・リードすることなく丁寧に伝えることでジャパニーズ・レゲエ・シーンの興隆に大きく貢献してきたことがよく分かる。
 
 今作の他にもアニヴァーサリー・イヤーの今年は、C.A.M.P.「ROCK DI CAMP〜GIVE YOU LOVE」収録のワンウェイ・コンピ・アルバム『LOVE THIS MUZIK』とVP Recordsの膨大なアーカイブからレゲエ・クラシックを厳選した『My Town Top Rankin』が既にリリース済みで、今後も企画盤の発売が予定されている。ベスト盤を含めPushimの魅力を多角的に伝える作品群を楽しみつつ、来年のリリースに向けて絶賛制作中のニュー・アルバムの完成を待ちたい。


 

 
10th Anniversary Special Albums
 

"Best 1999-2009"(初回限定盤)"
Pushim
[Kioon / KSCL-1503-4]
※ミュージック・ビデオを繋いだPushim 10th Anniversary Cruisin' Mix DVD & スペシャル・ボックス仕様。
 

"Best 1999-2009"(通常盤)"
Pushim
[Kioon / KSCL-1505]
 

"My Town Top Rankin-Pushim's Favorite
Reggae Classics-"

V.A.
[Kioon / KSCL-1477] 
 

"Pushim Presents Love This Muzik"
V.A.
[Kioon / KSCL-1375]
 
 

 
10th Anniversary Special Events
 
■「Pushim 10th Anniversary LIVE!!!」
  11/20(金)18時 Open / 19時 Start
会場:Studio Coast
前売:¥5,500(税込/ドリンク代別)
発売日:Riddim読者に限り10/1(木)
    12:00よりイープラスにて先行販売
    (http://eplus.jp/riddim)
 
■「Fever〜Pushim 10th Anniversary DANCE〜」
  11/20(金)23時 Open/Start
会場:ageHa@Studio Coast
前売:一般¥3,500/ageHa Member¥3,000
   ※上記"Live"の半券をお持ちの方は¥2,000で入場可。
発売日:当日

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