THE BEST OF MORGAN HERITAGE -THE JOURNEY THUS FAR / MORGAN HERITAGE
[VP / VP1859 / 輸入盤]
鉄壁のチームワークに裏付けられた素晴らしいライヴ・パフォーマンスと骨太なスタンスで世界中のレゲエ・ファンから愛されているモーガン・ヘリテイジがベスト盤をリリース。「Don't Haffi Dread」以下、問答無用のヒット曲が並ぶ図は壮観ですらある。また、USツアーの模様およびアフリカを訪れた際のドキュメンタリーを収録したDVDも付属。彼らの世界観に多角的に迫ることができる内容となっている。(大石始)
FULFILLMENT / CHUCK FENDA
[VP / VP1865 / 輸入盤]
すっかり中堅ラスタ・シングジェイとしての立ち位置が板についてきたチャック・フェンダ。アルバムとしては2年ぶりとなる今作でも、時流などおかまいなしに超硬派なメッセージを投げかけまくる。重量級ワンドロップに乗る熱い咆哮も、不器用なまでの男気もそのまま。だが、この一本気なメッセンジャーぶりにこそ熱くさせられるのだ。サミー・ドレッドとの「Bad Boy」もナイス・コンビネーション。(大石始)
MAMA ROOTS / JERRY HARRIS
[LISTEN UP / LUR-1297 / 輸入盤]
ロイド・バーンズの片腕としてワッキーズを支えてきたジェリー・ハリスの最新作。バンドマンとして来日も多く日本でもお馴染みの彼だが、シンガーとしてもコンスタントに良質な作品をリリースしている。「Just A Little Love We Need」や「Global Warning」など本作でもベレス・ハモンドにも通じる渋い歌声と抑制の効かせた無駄のない良質な演奏で滋味に満ちた曲を多数収録。じっくりと耳を傾けるべき作品。(大場俊明)
WARRIOR AT ARIWA STUDIO / JOE ARIWA & YOUNG WARRIOR
[ARIWA / ARICD221 / 輸入盤]
ジャマイカ同様、UKでも才能溢れる2世アーティストは確実に育っている。正にそれを象徴するSons Of AriwaことJoe AriwaとSons Of ZuluことYoung Warriorの本作。正統派モダン・ルーツからダブ・ステップ・テイストと多岐に渡り、父親達とはまた一味違う彼らの世代ならではの感性を感じさせてくれる。84年にリリースされた両者の父による『Jah Shaka Meets Mad Professor』と合わせて聴いてみるのも面白い。(楳原豊人)
LIVE AS ONE REMIXED / ZION TRAIN
[UNIVERSAL EGG / WWCD049 / 輸入盤]
『Live As One』のリミックス集です。驚いたのは15曲全て参加アーティストが違うということ。イタリア、イギリス、フランス、オランダなど世界のダブ・クリエイターがこぞって自らの鳴りを表現しています。つまりZion Trainを通じて世界のダブ勇姿を知るチャンス到来やね。解体と言うより再燃だ。地を這い、立ち上がり、突っ走る...そんな衝動に駆られる現在進行形ダブにメラメラしまっせ。(磯野カツオ)
INDUBSTRIA / B.R.STYLERS
[ALAMBIC CONSPIRACY / AC005 / 輸入盤]
女性ヴォーカルを含む6人編成のイタリアのバンド。00年に結成されEUでは新進気鋭の実力派として知られる。4枚目のアルバムとなる本作は、ヴォーカルを前面に出したヘヴィなバンド・サウンドのショウ・ケースとなっている。母なる大地のような強さ、優しさ、暖かさを感じさせるヴォーカルと確かな演奏力を兼ね備えた作品は過去アルファ&オメガがリミックスを手掛ける等アーティストからの人気も高い。(楳原豊人)
WARRIKA DUB / RICO RODRIGUEZ
[NO CREDIT]
77年に発売されたリコの代表作と言えるホーン・インスト『Man From Wareika』のダブ・アルバム。78年にごく少量のみプレ・リリースされたが、そのレアさ故に滅多にお目に掛かれなかった。以前、本編&ダブの2in1CDとしてリリースされたがLPとしては初再発。本編を手掛けたカール・ピターソンとディック・カセルによりロンドンのアイランド・スタジオにてダブ・ミックスされたという説もあるが真相は謎。(楳原豊人)
OLD SCHOOL YOUNG BLOOD 2 / V.A.
[PECKINGS / NO NUMBER / 輸入盤]
往年の名演奏を用いたPeckingsの7インチ・レコードでリリースされていた楽曲を集めた第2弾。オールド・ファンからヤングまで魅了する蜜の味が詰まった作品です。歌とリズムが溶け合って新しいスウィーツの誕生。注目はプロモーション・ヴィデオもゴージャスだったCourtney Johnの「Lucky Man」。何度も聴きたくなる好曲さ。Tarrus Rileyの「Young Heart」も私のハートをノックするラヴァーズや。(磯野カツオ)
ジャータリ・プレゼンツ・アステロイド・ダブ/V.A.
[ルーディメンツ / JARTARI / RMT-CD020 / 国内盤]
ドイツを拠点にするジャータリは、デジタル・ラップトップ・レゲエとも称されるサウンドで注目を集めるレーベル。"Stalag"や"Tempo"のような80年代初期のリディムをミニマル・ダブ解釈で再構築したコミカルなスタイルには、プリミティヴな凄みも潜む。今作は同レーベルの楽曲から選曲された日本編集盤。選曲を手掛けたのは本コーナーでもお馴染みのDisc Shop Zeroの飯島直樹だ。その禍々しさは衝撃的。(大石始)
ライプツィヒ・ダブ/キラー・ボング
[ルーディメンツ / JARTARI / RMT-CD019 / 国内盤]
そしてこちらは左で紹介したジャータリ音源集を元にしたDJミックス。手掛けるのは異端音楽家としてドープすぎる音源をリリースしまくっているKiller-Bong。DJミックスとはいえ、怪しい音の数々を重ね合わせてリエディットしたKiller-Bongワールド全開の仕上がりだ。ジャマイカとは異なる形でレゲエの可能性を提示するジャータリ、その破壊力と独自性を見事にあぶり出した会心の一撃。原曲集と併せてぜひ。(大石始)
DUB喫茶 VOL.1/アパッチ田中
[DR.プロダクション / DRCD-035 / 国内盤]
今は無きナツメグ・レーベルの数ある名作に関わり、現在はレゲエ、ヒップホップ系以外でも信頼を得ているエンジニアでありトラックメイカー、アパッチ田中。彼名義としては確か初の作品となるダブ集。元ネタは自身がドクプロに提供したファウンデーション・リディムを基調としたトラックばかりなのでミックスはお手のものだったのでは? お馴染みのあの曲この曲がかなりコントラスト深めに生まれ変わってます。(大場俊明)
アウト・オブ・メニー, ワン・スカ・ピープル〜スカ・イン・ザ・ワールド・プレミアム / V.A.
[スカ・イン・ザ・ワールド / SIWI-122 / 国内盤]
DJ Yahmanが脚本、監督、演出、主役を務めた映画のようなMix CDが遂に披露された。世界の現役スカ・バンドを相手に挑んだこの勝負はスリル満点だぜ。1曲の繋ぎに彼のスピリットとライフが注ぎ込まれている。スカと共にロック、パンク、ジャズも混ざるYahman流儀こそチャンピオンの証。幕は開いた、躍動と握手と抱擁のスカで汗をかきましょうよ。聴いた人が心躍って初めて完結する物語なんだよ。(磯野カツオ)
D.N.A./マリオ
[BMG / BVCP-40090/ 国内盤]
2年ぶりとなるこの新作は、彼がアーティストとして新たな段階に入ったことを告げている。ショーン・ギャレットやトリッキー・スチュアート、ザ・ドリームらの参加により、全体像としてはきっちりトレンドが押えられているものの、ここで繰り広げられる世界観は、徹頭徹尾マリオ印。シンガーとしてのみならず、クリエイターやアクターを含めた活躍は、自らの表現者としての幅を格段にストレッチしたようだ。(石澤伸行)
ミスター・ヒューストン/マーカス・ヒューストン
[ソニー / SICP-2264/ 国内盤]
2年半ぶりの4作目。前作で"ヴェテラン"を名乗った彼は28歳にして17年のキャリアを持つが、本作では"時流のキャッチ"に主眼を置いているような。制作陣には新進勢を起用、自らもオートチューンを多用して、随所随所でイマの気分を盛り上げる。しかしながら、その魅力が輝くのは、やはり"歌い込み"を感じさせるひた向きなミッド群だ。重ねられる歌声から醸し出される滋味深い味わいは、実に沁みる。(石澤伸行)
ザ・ブリーディング・エッジ/ザ・レヴェレーションズ・フィーチャリング・トレ・ウィリアムス
[ウルトラ・ヴァイブ / DECCDJ-705 / 国内盤]
アポロ・シアター出演を経て、デビュー前にはナズらヒップホップ勢との交流も盛んだったトレ・ウィリアムス。彼が率いるバンドと共に今春にリリースし、既に大きな話題となっているミニ・アルバムに新曲を追加した盤がこれだ。とめどなく流れ出すディープな歌声、それをしっかと支えるイブシ銀なバッキング...時代錯誤すれすれの塩辛い世界には、気が付けば抜け出せないほど浸かってしまうこと必至の推薦盤!(石澤伸行)
イフ・ディーズ・ウォールズ・クッド・トーク/ダリエン
[BBQ / BBQ07CD / 国内盤]
NY州出身の男性シンガーによるデビュー作。リール・ピープルらクラブ畑の仕事等を通じ腕を磨いてきた彼が発表した本作は、既にインディーの域に留まらない形で大きな評価を得ている。系譜で言うならスティーヴィ。温もり溢れるサウンドとヴォーカルは殊のほか力強く、聴く者の耳を捉えて離さない。特に、生感覚たっぷりのバッキングを得て軽やかに歌う様や、曲の良さで引っ張っていく姿は、相当に魅力的だ。(石澤伸行)
ラウンド・トゥー/ティモ・ラッシー・フィーチャリング・ホセ・ジェイムズ
[T.A.C.S. / TACM-0012 / 国内盤]
フィンランドを拠点にジャズをアップデイトし続けるファイヴ・コーナーズ・クインテットのメンバーによるセカンド作。スウィンギーなアップだったり、アーシーなラテン曲だったり、唯でなくとも生ジャズの魅力が全開の演奏は、主役のサックスで静かに放熱。最高なのは、フロントに招聘されたホセ・ジェイムズだ。彼のスモーキーな喉の響きは、作品全体に格別のヒップな空気を盛り込んでいて、引き込まれる。(石澤伸行)
ディス・イズ・マイ・タイム/ダニー・K
[デジタル・ラボラトリー / DLCL-09092/ 国内盤]
南ア出身にして欧州でキャリアを積み、現在はNYでデンジャらとの共同作業を重ねているという変り種による日本デビュー盤。既発3作からの選り抜き形式となった本作は、一連のプロダクションがここ数年のR&Bのトレンドの変遷を表しているようで面白いし、総じて仕上がりも上々。特に彼によるヴォーカリゼーションは、ある種の勢いに満ちたものであり、どんなタイプの楽曲でも乗りこなしてしまっている。(石澤伸行)
IN THE STUDIO / MAGIC DRUM ORCHESTRA
[LION HEAD / LHCD011 / 輸入盤]
Rockers Hi-Fi〜Lightning Headと、経験と比例してリズムの深みも増してきたGlyn Biggabushの新チャレンジはパーカッション楽団。10人を超える大所帯で基本的にはブラジルのバトゥカーダをアレンジした本格リズムのオンパレード。全編太鼓と笛だけなのに飽きないのは、リズムの抜き差し含めたアレンジが見事だからか。Snoopのカヴァーもあり。大音量で解像度が一気に上がるミックスも見事。(飯島直樹)
DUB TERROR / DUB TERROR
[UNIVERSAL EGG / WWCD48 / 輸入盤]
ザイオン・トレインのリミックスでも人気のグループ。ヨーロッパらしい感覚の生な感触のグルーヴとダブステップのヘヴィなサウンドのバランス、緩急ある流れも見事。ホレス・アンディ「Spying Glass」を、本人の声(?)を変調させつつ、ウォンキーなベースが活きるヘヴィで緻密なダブステップにした曲もあり。ニュールーツの新しい流れとして、またレゲエ寄りダブステップとして、双方にオススメできる一枚。(飯島直樹)
RHYTHM COLLISION RELOADED / RUTS DC
[ECHO BEACH / ECHO BEACH077 / 輸入盤]
ザ・クラッシュ同様、パンクにレゲエ/ダブのサウンドを取り入れたバンドによる、82年にマッド・プロフェッサーの手により全編ダブ・ミックスされた名作『Rhythm Collision』のリミックス・アルバム。おそらく現役で彼らを聴いていたであろうRSD(スミス&マイティ)やドレッドゾーン、そしてバンド自らが四半世紀を経過した耳で仕上げたサウンドは、そのマインドも含め現在形にアップデートさせることに成功している。(飯島直樹)
インスピレーション インフォメーション4/ジミ・テナー / トニー・アレン
[ウルトラ・ヴァイヴ / STRUT / STRUTCDJ043 / 国内盤]
ホレス・アンディなどレゲエの大御所も登場するベテラン×気鋭のガチンコ・コラボ第4弾。フェラ・クティのバンドを支え、現在も第一線で活躍するリズムの魔術師トニー・アレンと、モンドで宇宙指向のエレクトリック・サウンドを追求した結果アフロセントリックなバンドまで組んでしまった鍵盤奏者ジミ・テナー。どちらの要素も存分に出つつ、その結果どちらも持っていなかった要素まで出てしまった傑作に。(飯島直樹)
ザ・ハウス・ザット・ダート・ビルト/ザ・ヘヴィー
[ビート / COUNTER / BRCT028 / 国内盤]
ブリストルの隣町バースを拠点にするバンドの2作目。当初から"Curtis MayfieldとLed Zeppelinがセッションしたら"なんて形容されていたが、今回もラウドなブリティッシュ・ファンキー・ロック・サウンドを軸に展開。前作より曲調がバラエティに富んでいて、モンド・ブルーズな曲、外様レゲエな曲など、更にファンを拡大しそうなナイスなグルーヴ&サウンド。シングルのダブステップ・リミックスも話題に。(飯島直樹)
トゥルー・ソウツ・10thアニヴァーサリー/V.A.
[ビート / TRU THOUGHTS / BRTRU201 / 国内盤]
ブライトンの民家地下から始まり、現在ではそのリリースも200を数えるまでになったTru Thoughtsの10周年を記念したコンピ。その膨大なカタログから、歴史を飾りつつ現在もオフィスで愛聴されている進行形のサウンドを2枚のCDに厳選。軽快なブレイクビーツを出発点に、ジャズやソウル、ファンクにクンビア、ダブまでがクロスオーヴァーしながら深みを増していったレーベルのサウンドを存分に楽しむことができる。(飯島直樹)