(U KNOW)What the deal is
●今月のベネフィット
あれからもう8年経つとは個人的には信じがたいが、9/11に殉職したNY市警と消防署の職員達と遺族の為に、ジェイZがベネフィット・コンサートをマジソンスクエア・ガーデンで9/11に行った。どういういきさつでそうなったのかは不明で、予測と噂が飛び交っているが、司法取引ではないらしい?
●今月の復活?
復活なのか、ただメディアに黙殺されていただけなのか詳細は不明だが、フィリー・ヒップホップの先駆者の一人、スクーリーDが9/14、グラマシーのブレンダー・シアターにシノビ・ニンジャなどと共にライヴを行った。肥満はベテラン・ラッパーにはありがちだが、彼もそれにもれず貫禄を見せていた。しかしながら、名作中の名作、「Saturday Night」は、NYでもきっちりヒットしていたので、年配のファンは盛り上がった?
●今月の訃報
BMIUというブルックリンのクラウンハイツのクルーの一員で、ラッパーのサー・ウォラントが、8月23日に同地区で凶弾に倒れた。BMIUのシャティークのレコードや、ライヴでもおなじみだった彼だが、丁度ミックスCDをリリースしたばかりで、今後の活動が、期待されていた。8/25、同地区でメモリアル・サーヴィスがしめやかに行われ、まだ若い彼の友人や、家族達の悲しみ様に出席者の涙を誘った。残念ながら、NYでは"よくある話"でニュースにもならなかったが、今一度、ガンコントロール、こういった地区での治安改善を選挙中に誰も叫んでいないのが、気になって仕方がない?
●今月の映画
現在、NYとLAで公開されている『Soul Power』というドキュメンタリーだが、これは'74年にザイールで行われたモハメド・アリと、ジョージ・フォアマンの歴史的ファイトの余興として行われたコンサート・フッテージをまとめたもので、ジェームス・ブラウン、ビル・ウィザース、セリア・クルズ、ミリアム・マケバ、スピナーズ、BBキングなどが出演している。ソウル・ムーヴメントまっただ中の彼らの姿を見れる事も凄いが、アメリカで生まれたファンク・ミュージック、またはソウルをアフリカが受け止める姿というか、彼らを奴隷の末裔として軽蔑することはおろか、むしろヒーロー視している姿が印象的であった。なんとなく、今のアフリカも2パック、ジェイZ、50なんかをそういう目で見ている様で、不思議な感じ?
●今月のストリート
クイーンズは、ホリス地区はランDMCの出身で有名だが、その地区の205丁目とホリス・アヴェニューのブロックの道が、「RUN-DMC JMJ Way」と正式に改名された。そのオープニングというのか、改名式に本人達を含む、多くのラッパーなどが駆けつけた。印象深かったのはハイティーンになったジャム・マスター・ジェイの息子ジェイ・ジュニアが、父親の代わりに感謝の意をステージで述べたことだった。ヒップホップをよりメイン・ストリームに紹介した彼ららしいNYでの出来事となった?
●今月の誕生日
6月に急逝したマイケル・ジャクソンの誕生日を祝って映画監督スパイク・リーが、ブルックリンはプロスペクト公園でブロックパーティ・スタイルの誕生会をプレゼントした。マイケルのプロモーション・ヴィデオを監督したこともある彼だが、当初会場をフォートグリーン公園に設定していたが、メキシコやヨーロッパで同様な追悼会で予想以上の人出を記録しているので、ブルックリン最大の公園であるプロスペクト公園に急遽変更となった。約束通り、ブロック・パーティは、マイケルのジャクソン5時代の音楽から最新作までがプレイされ、時代を越えたファン達が、思い思いに楽しんでいた。ゲストにローカルの議員から、ファン代表などがスピーチをし、ブルックリン地区の知事、マーティ・マーコヴィッツは、8/29をマイケル・ジャクソンの日とすると約束した?
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]