HOME > 319 > RECORDS & TAPES from No.319

topics

Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
 
ALBUM 
 
1. Jay-Z / The Blueprint 3 (Roc Nation / Warner)
デフ・ジャムを離れ、新設したロック・ネイションからの第1弾リリースとなる噂の『BP3』が遂に...。T-Painとのビーフも生んだ「D.O.A.」、そしてRihanna、Kanye Westとの「Run This Town」の2曲だけでは計り知れなかった...という"帝王"ならではのスケール感を誇る本作は、これまでの(1枚ものの)オリジナル・アルバムでは最多となるゲストを配し(しかも、すべてJay-Z+誰々と表記されている)、Drake、Kid Cudi、J.Cole、Mr Hudson、Luke Steeleら"新しい血"から、Alicia Keys、Young Jeezy等との絡みも楽しめる、サウンド含め他にはないタイプの1枚に。
  
2. Raekwon / Only Built 4 Cuban Linx, Pt. 2 (Ice Water)
Wu一族からの刺客の中でもソロ第1作が成功した1人としても記憶されるRaekwon。Dr.Dreのレーベル=アフターマスからBusta Rhymesのプロデュースでリリースされる、と告知されていた4年位前から期待していた人も多い(?)1stの続編がようやく公開。自身のアイス・ウォーターよりリリースされる運びとなった本作は、その古巣(?)で制作した物が中心となり、Dr.Dreを中心にRZA、Pete Rock、Marley Marl、J Dilla、Scram Jones、The Alchemistら強力な制作陣がスキルフルな主役を支え、相棒=GFK他ゲストも豪華な1枚に。
 
3. Anti-Pop Consortium / Fluorescent Black (Beat)
90年代にNYのアンダーグラウンド、ポエトリー・シーンを中心に人気を博したAnti-Pop Consortiumが解散→それぞれのソロ活動を経て7年ぶりに復活! ヒップホップとエレクトロの中間を行く様な実験的な音作りでも知られる彼らにとって、ソロでも世話になったUKのビッグ・ダダは居心地がいいハズで、ここでは過去最高ではないか?と思える位のパフォーマンスと、先鋭的ビートの止揚的効果を存分に発揮している。しかも小難しさは皆無で、じわじわと真綿でクビを締める様にその毒を効かせる、という危険な1枚に。
 
4. Warren G / G Files (P-Vine)
彼の作品としては中途半端な内容だった前作から実に3年ぶりとなる6thが登場。結論から先に言うと、このバランス感こそを望んでいた!という位の傑作に。Ray Jとのシングル曲「Crush」での爽やかなシンセ・サウンドを含めた"イマドキ感"に「今回は何か違うぞ!」と思った人はまず間違いないでしょう。そこに、あのメロウな"Gファンク"もタップリ、というのだから...。ゲストは盟友Snoop Dogg、Nate Dogg、RBX、Raekwonから、ヒップホップ・アーティストとの交流も盛んなBlink-182のドラマーTravis Barkerなど。

 
5. DJ PMX / The Chronicle - Best Works (plusGROUND)
ここ日本でのウェッサイ・スタイルの創始者であり、ECDを始め、東京シーンの初期からDJ、トラックメイカー、マニピュレイターとして数々の作品に関わってきたPMX。そんな彼のソロやプロデュース・ワーク、リミックス・ワーク(DS455作品以外)をCD+DVDのコンボ・スタイルで纏め上げた"ベスト"となるのが本作。例の「Miss Luxury」のブランニュー・リミックスから、最古参では91年のMAZZ+PMXでのレア音源「Violator」まで、オリジネイターの凄みすら漂う1枚、いや2枚に。
 
6. AK-69 / The Cartel From Streets (MS Entertainment)
シングルのみならず、このアルバムでもオリコン・インディーズ・チャート1位(総合でも10位!)を記録した、東海地区のみならず全国区で支持されるラップ&シング・スター、赤い彗星ことAK-69。その彼のさらなるジャンプ・アップが期待されるこの最新作は、「Lookin' In My Eyez」「雨音」「Only God Can Judge Me」などの人気曲を配し、オートチューン使いのサウス・ビーツの登用や、(名古屋らしく)ハードコア・バンドと組んだり、多彩かつ芯は一切ぶれない過去最高のクオリティを誇る1枚に。ストリート発にこだわり続ける彼の"本気の汗・泪・言葉"を感じて欲しい。
 
7. SD Junksta / Go Across Tha Gami River (諭吉レコード)
相模オリージナル・ヒップホップ・クルー=SD Junkstaの初フル・アルバム。その看板的存在のNorikiyoを筆頭に、KYN、Bron-K、TKCといったソロ作もドロップした者やWax、Ojibhaを含む7MCに、Seedaと『Concrete Green』を仕切る陰のフィクサーDJ Isso。そんな彼らがIsso率いる諭吉レコードよりリリースした本作は、それぞれに個性的なスタイルで鎬を削りあうクルーの「まとまらなくて当り前」という常識(?)から逸脱したタイトかつ遊びと学びの多い1枚に。The A3からBach Logicが用意したドープなトラックに、炸裂するディープなリリック。その人間交差点はもちろん...。
 
8. 8th Wonder / ヴァルハラ (Aphasic Tone)
まさにジャンルレスな音と言葉のレイヤー。「ケルベロスからの手紙」などで知られる8th Wonder。Masashi(MC/ビートメイカー)、KSK(MC)、Fake?(MC)の3人からなる彼らの初となるこのフル・アルバムは、CD2枚計90分越えの流れで、リリカルというよりももはや物語性すら感じさせる3人の詩と、エレクトリック云々だけでは説明不可なビート、ハードコア・バンドというバックボーンも見えるエレクトロ・ゴシック・ヒップホップと呼ばれる独自のジャンルさえ生み出している。目の前に立ちはだかる現実の中でもがきながら、ヴァルハラを目指す彼らのその先にあるものとは? そのストーリーはまるで映画のよう。
 
9. Gaggle / Slow But Steady (Knife Edge)
仙台の星から全国区の存在となって久しいワンダー3=Gagle。ミニ・アルバムとなる前作から約1年ぶりとなる本作は、兄貴=Mitsu The Beatsの繰り出す"凝っているのに耳馴染みのよい"Jazzy云々を超越したトラックに、弟=Hungerの唯一無二のラップ・スタイルと、ヒップホップ文学そのもののリリック、そしてDJ Mu-Rの的確以上の何かを感じさせるスクラッチの融合で、確実に最高傑作と呼べるレヴェルのものを生み出した。まさに"ゆっくりと、着実に"というタイトル通りの1枚。Bonnie Pink、椎名純平らも好演。
 
10. 鬼 / 獄窓 (赤落Production)
レペゼン福島いわき、鬼一家その筆頭格=鬼。歯に衣着せぬハーコーな語り口、鮮やかな情景描写で魅せる彼の地下の名声は、「見えない子供、見てない大人」や 、「小名浜」をリードにしたコンピ、ミックスCD『鬼ころし』など日に日に高まっているが、このファースト・ソロこそがその決定打となるだろう。『獄窓』という題名からも判る通り、服役中に書き溜めたリリックを仮釈放決定後に形にした、という本作はやはり"濃い"。プロデューサーには、早くからその才能に目を付けていたI-DeA他、協力面子。
 
11. PITGob / 53 (D.Office)
練マの一員で、D.OのサイドMCとしても活躍してきた"キャラも声も立ってる男" PIT GObが、逮捕後延期となっていた初のソロを遂にリリース。"念仏フロウ"、"魅惑の低音ヴォイス"、"NB変態"などの個性を誇る彼は、このアルバムで、フロウもキャラを巧みに使い分け、そのアーティスト・スキルを見せ付けることに成功している。雷勢を始めとするフィーチュアリング・ゲスト、そしてプロデューサー陣の豪華さ(集結具合)からも、シーンでのこの男への期待値の高さが窺えるだろう。力作!!
   
12. PSG / David (File)
東京都板橋区発信のPunpee(MCとしては「UMB 2006」東京予選優勝等、トラックメイカーとしては「Goldfinger's Kitchen 2009」優勝等の実績あり)、ソロ名義でのストリート・アルバムでも話題を呼んだ S.L.A.C.K.(先のPの実弟。Zeebraのリミックスにも参加)、謎多きMC=Gapperの3人が織り成す世界は、まさに予測不能。つまりはネ申クラスのデビュー作。しかもヒップホップとして真っ当にカッコいい!! あの天才プロデューサーにして昨今のフロウの流れを変えた男でもあるBach Logicがラップのみで参加、という点にもヤラレる...。

top
top
magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

columns

GO BACK

ISLAND EXPRESS
UK REPORT
WHAT THE DEAL IS
PLAY IT LOUD
RECORDS & TAPES
RAW SINGLES
CHART
RING RINg RING
BOOM BAP
Day In Da West

columns
columns

columns
columns
columns
columns
page up!
Riddim Nation

"Riddim"がディレクションする
レゲエ番組「Riddim Nation
第19配信中!

Go RiddimNation!

nation