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319    BOOM BAP    COLUMN

BOOM BAP
 
『Black Hawk Down』って映画を覚えているかい? 凄惨だったよね? あの映画でヘリコプターがクラッシュした辺りは、"地球上で最悪の地域"って国連が指定し、地元の住民は辺りを"ドブ"とか"血の川"と呼んでいた。K'Naan Warsameはそこで育った。彼は90年代に戦争が勃発するまで地元をこよなく愛していた。しかし友人達が銃撃を受け死ぬのを目のあたりにし、暴発した手榴弾によって学校は破壊された後、彼は地元であるMogadishuを離れなければならなかった。そんな彼のアルバム『Troubador』からカットされた最新シングルは"ラッパーをフィールド・トリップに連れて行く"というものだ。ビートはとても豪華に制作されているが(ピッチを上げたWailersのサンプルを使用していたりもする)、リリックは間違い無くソマリアからの叫びだ。アルバム『Troubador』のプロモーション中、山々を走り抜けていくツアー・バスの中で彼の話しを聞く事ができた。
 
●最近はどんなラップ・アーティストを聴いているんだい?
K'Naan(以下K):Big Daddy Kaneを聴いているよ。
●クラシックにこだわっているんだね。
K:そうさ、Jay PeriodがKaneばかりミックスしたヤツがあってさ。
●"Best Of Kane"だね。良く知ってるよ。
K:あれは最高だ。よく聴くんだよね。
●あなたはいつもオールド・スクールをレプリゼントしているよね。確かChubb Rockが今回のアルバムに参加しているけど、オファーの電話は彼にとって久しぶりだったかもしれないですよね。
K:そうだよね。
●その時期のヒップホップの何が好きなの?
K:フレッシュだし......分かるだろ? やっぱり斬新だったし、もっと正直でスタイルが重要だったし。そしてもっと個性的だった。俺はニュー・スクールの奴らのも聴くよ。オールド・スクールしか聴かない訳じゃない。でもリリック的に言って、Kaneにかなうヤツらはそんなにいない。
●そのミックス・テープの中で一番印象に残っているの曲は?
K:フリースタイルのヤバいヤツがあってさ、Kaneが公園かどこかでやってるヤツだ。最高さ。最近はあんな感じじゃないだろ。あんなにハードには誰もなれてない。最近であの位のヴァイブスを感じたのは、(Hot97の)「Summer Jam」でのJay(Jay-Zの事)しかいないな。
●「Death Of Autotune」の事かい?
K:そうさ。最高さ。皆オートチューンを使ってるし、友人達も使ってる。でもそれがクールじゃないと思ったらそれをそう言えるって事がさ。 
●謝罪する事もなく?
K:その通り。アーティストの力量を計るのにいい測りになるよな。Jayにとってみれば別に何の不自由もないし、安全地帯で心地よくしてる事も出来たのにさ。何一つ文句もなく、橋を燃やしてみたいなんてクレージーな考えもなく、皆といい関係にあってさ。なのに彼は出てきて、「だめだ、あれはクールじゃない」って言ったのさ。
●それにあのトラックはクレージーだね。ジャズのサンプルなのか他のなのか分からないけど。
K:そうだよね。あれはNo ID(カニエの師匠にあたるプロデューサー)のトラックだからね、はずさないよ。
●オールタイム・トップ5 MCについて色んな人が話しますよね。そんなリストを考えた事ありますか? また、誰がそのリストに入りますか?
K:Notorious B.I.G.だろ、Nasも入るよね。
●リリシスト達だね。
K:そうだね。それと間違い無く Pac(2Pac)もリスト入りだ。彼のスピリット、そしてMCとして我々を導いてくれた。あと、残念な事に短いキャリアだったけど、Big Lをリストに入れたい。
●確かに、彼には不朽な名作があるよね。
K:彼には思わず"ワオ"って唸ってしまうような曲があったよ。わからないよ。オレにはあんな風にオールタイム・トップ5みたいな事は考えられないな。でもRakimは間違いないだろうね。
●ナイスなリストだね。とてもニューヨーク的だけどナイスだ。
K:(笑)
 
●「T.I.A.」って曲をリリースしてるよね。その中で、ラッパーをフィールド・トリップに連れて行くって言っているけど、どういう意味合いなの? 最近のラッパーはソフトだという意味なのかな?
K:俺が言いたいのは、多くのラッパーが、自分がどれだけギャング・スターなのか、フッドなのかとかそういった事を言っているが、そういうのに慣れちまったって事だ。俺は本当にそういった事に何も感じない。だから、どれだけ苦境だったかの様な話には反応しないんだ。だってそれはみんな一緒だろ? 一緒にいる仲間だって一緒だ。彼らは俺と同じ辺り(ソマリア)の出身だしさ。だからみんなそんな事分かってるんだ。更に人生の半分はアメリカのフッドでも過ごしている訳だからさ。俺達はどちらの世界も知っている。だからつまり、俺はあなたの世界にいてあっちの世界にも住んでいる。でももし俺があなたを俺の世界に連れて行ったとしたら、あなたは生きていけないだろうって事さ。だから誰がよりハードかって事は重要じゃないって事なんだ。結局どんな経験をして、どう耐えれるようになるかって事さ。
●あなたは自分の音楽で誇張したり虚勢を張らないですね。
K:そうさ。あの曲でそうやって俺がダイレクトに語っているのは何故かって言うと、そうすべき時だと自分が感じたからだ。アメリカの若い世代の文化においては、不幸な事に"それがそれだ"ってダイレクトに言わないと彼らには分からないからな。彼らは俺達がどうやって生きているか理解出来ないし、俺達はもっとハードな経験をしてきている、でも俺達はそんな事は言わない。それはちょうど......Bob Marleyの歴史を知っている人達の場合と同じさ。当時彼がよく一緒にいた友人らとつるんでストリートを歩いてきたら人々は関わらないように道をあけて去っていったんだ。でもBobはそんな事は歌わなかったし、そんなBobをもちろん悪く言う奴らもいないだろ?
(翻訳:菅沼緯馳郎)
  
TEXT BY ROB KENNER
アメリカの『VIBe』マガジン、VIBE MEDIA GROUPのエディター・アット・ラージとしてREGGAEコラムを執筆中。HIP HOP/REGGAEに深い愛情を持つ。
Website → www.boomshots.com

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